昨日西行の歌で今回惹かれたものを引用した。追加で3首。西行の述懐の歌に惹かれる時もあるが、今回は自然詠に惹かれている。
★横雲の風に別るゝしのゝめに 山飛び越ゆる初雁の声 (新古今集)
この1首が定家の有名な「春の夜の夢の浮橋とだえして 峯に分かるる横雲の空」に影響を与えた、という指摘がかかれている。
★白雲をつばさにかけて行く雁の 門田の面の友したふなる (新古今集)
この1首は記憶に残っていなかった。
★古畑の岨の立つ木にゐる鳩の 友呼ぶ声のすごき夕暮 (新古今集)
荒れた畑の傍に立つ多分異様な姿の木、そこで鳩が不気味な声で「友」を呼ぶ。荒涼とした寂しい風景と声に「友」が配され、人との関係を求める西行の孤独感が醸し出される。自然詠でありながら、述懐・感傷と一体。このあたりが西行の魅力とされるのであろう。