妻に先立たれて生きる意欲をなくした78歳の健康体の男性が安らかな死を希望して医師にペントバルビタール剤の致死量処方を求めているという設定で、医師はそれに応じるべきかという問題について公開の場で論じるという劇の戯曲。
倫理委員会の委員長の司会の下、医師による自死幇助に反対の意見を持つ委員と自死を求めている本人とその依頼を受けた弁護士が、参考人として招かれた憲法学の教授、医師会の役員、司教に対して質問・討論をする形で、法律、医学、神学の観点からの問題点が整理して示されるという構成です。
著者( F.v.シーラッハ)は、「テロ」(2015年)で緊急避難(より多数の被害を避けるための加害)について論じている(それについて、私のサイト「モバイル新館」で「『テロ』( F.v.シーラッハ)を題材に刑事裁判を考える」というブログ記事を書きました)際と同様、シンプルで力強い問題提起をしています。同種の問題提起をしている本は数多あり、情報量は専門家が書いた本の方が多いのですが、構成の妙というか、より心に残るというか、考えさせられるように思えます。
ただ、普遍的なテーマが論じられてはいるのですが、当然にドイツでの事情が前提となっており、相当に事情が異なる日本では、ここで論じられていることがそのままには当てはまらず、そこで入り込みにくいところがあります。
原題:GOTT
フェルディナント・フォン・シーラッハ 訳:酒寄進一
東京創元社 2023年9月8日発行(原書は2020年)
倫理委員会の委員長の司会の下、医師による自死幇助に反対の意見を持つ委員と自死を求めている本人とその依頼を受けた弁護士が、参考人として招かれた憲法学の教授、医師会の役員、司教に対して質問・討論をする形で、法律、医学、神学の観点からの問題点が整理して示されるという構成です。
著者( F.v.シーラッハ)は、「テロ」(2015年)で緊急避難(より多数の被害を避けるための加害)について論じている(それについて、私のサイト「モバイル新館」で「『テロ』( F.v.シーラッハ)を題材に刑事裁判を考える」というブログ記事を書きました)際と同様、シンプルで力強い問題提起をしています。同種の問題提起をしている本は数多あり、情報量は専門家が書いた本の方が多いのですが、構成の妙というか、より心に残るというか、考えさせられるように思えます。
ただ、普遍的なテーマが論じられてはいるのですが、当然にドイツでの事情が前提となっており、相当に事情が異なる日本では、ここで論じられていることがそのままには当てはまらず、そこで入り込みにくいところがあります。
原題:GOTT
フェルディナント・フォン・シーラッハ 訳:酒寄進一
東京創元社 2023年9月8日発行(原書は2020年)
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