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伊東良徳の超乱読読書日記

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意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く

2025-03-18 21:48:23 | 自然科学・工学系
 コンピュータに脳の記憶と意識を移し(アップロードし)デジタル世界で永遠に生きることに向けた研究とその可能性を語る本。
 プロローグ段階で衒学趣味的なあるいは自己陶酔的な(15歳にして自慢の美尻だったそうだし)語りに既に倦怠感を持ちつつも、攻殻機動隊のイメージの世界にどこまで理解がたどり着けるかの関心から読みました。
 しかし、神経科学の実験の話はいいのですが、肝心の機械脳への置き換えで意識は持続するのか、機械脳に意識が生じるのかという問題になると、科学から哲学にトーンが変わるように思えます。機械脳に置き換えても意識が持続するという根拠/論証?は、思考実験としてニューロン1つの置き換えがきちんとできればその前後で意識に影響がない状態にできるというようなこと(30~42ページ)ですが、ミクロ部分の1つが果てしなく同じように繰り返せるという仮説自体に不確かさがあり、繰り返しの中でどこかに臨界点/特異点があり意識が失われるとか、そもそも意識はある/ないではなくレベルの問題で置き換えの過程で少しずつレベルが下がりどこからか意識が一部残ってもそれはもう意識として機能しないというようなことの方が、私にはよりありそうに見えます。ミクロに区切ったところに注目させた論証というのは、どこかアキレスはカメに追いつけないと言われているような気持ち悪さを感じます。それに、論証できたと言っては、その後また問いに戻りという繰り返しで(少しずつ置き換えれば大丈夫という議論は327~333ページでもまた登場します)、私には最後まで腑に落ちず、読み終わっても攻殻機動隊は攻殻機動隊のままの理解に留まったという思いです。


渡辺正峰 講談社現代新書 2024年6月20日発行


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