伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

成功する「準備」が整う 世界最高の教室

2020-06-20 00:02:03 | 人文・社会科学系
 アメリカ西海岸(カリフォルニア州、ワシントン州)に少人数制で生徒の自主的なグループプロジェクトを中心にして教師とは別にメンターを付けて各生徒の事情と個性を把握し教師は助言サポートを担うというような方針の高校「サミット」を経営する著者が、サミットを立ち上げるに至る経緯、立ち上げの試行錯誤、サミットの方針や教育スキル等を解説した本。
 知識詰め込み型ではなく、子どもの好奇心と自主性を引き出し、具体的に問題解決の工夫をさせることで知識や技能が身につくという指摘はその通りだろうと思います。
 懐疑的な/我が子さえよければの保護者たちとの軋轢については、さらりと書かれ無事に解決できたように読めますが、現実には本に書かれているよりも多大な苦労があっただろうと思います。
 高校教育の可能性は、大学の現実に制約されざるを得ません。大学入学二際して、高校からの推薦状の実質的な内容が比較的大きなポイントとなり、入学自体はそれほど困難ではない(卒業することが難しい)アメリカでは、高校が生徒の自主性・問題解決能力を伸ばしてその個別の能力を把握して具体的で詳細な推薦状を書けることが大学入学実現に大いに貢献することになるでしょうけれども、ペーパーテストの結果を重視する日本では、この試みが大学入学実績を上げ、また保護者の支持を得られるかは心許ないところです。


原題:PREPARED What Kids Need for a Fullfilled Life
ダイアン・タヴァナー 訳:稲垣みどり
飛鳥新社 2020年4月7日(原書は2019年)
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