今はマサチューセッツ州で弁護士のシャーロットと共に児童福祉・支援団体の電話相談のボランティアをしている日本生まれの黒人女性夏木笑美理が、母親に捨てられ義理の伯母に育てられた日本での少女時代を回想する小説。
アメリカ東海岸を舞台に黒人女性の語りで始まるこの話を、アメリカではなお根強い人種差別が続いているから…と受け止めると、作者自身、読者がそう受け止めることを期待し、見越していると思いますが、自らの思い違い、思い上がりを恥じ入ることになります。このお話は、徹底して、日本社会でいかに外国人差別、とりわけ黒人差別がなされているかをテーマとして紡いでいるものです。作者もそこから着想したのかもしれませんが、テニスの全米オープンで優勝して大坂なおみが注目を浴びた後のネット世論などの暗いいやらしさを思い起こしました。
明るく強い子どもだった笑美理が翼をもがれていく様は、人種差別であれ性差別であれ、痛ましく思えます。かなりストレートな固さを持っているため小説として楽しめるかには疑問がありますが、問題提起としては成功していると思います。
小手鞠るい さ・え・ら書房 2022年7月22日発行
アメリカ東海岸を舞台に黒人女性の語りで始まるこの話を、アメリカではなお根強い人種差別が続いているから…と受け止めると、作者自身、読者がそう受け止めることを期待し、見越していると思いますが、自らの思い違い、思い上がりを恥じ入ることになります。このお話は、徹底して、日本社会でいかに外国人差別、とりわけ黒人差別がなされているかをテーマとして紡いでいるものです。作者もそこから着想したのかもしれませんが、テニスの全米オープンで優勝して大坂なおみが注目を浴びた後のネット世論などの暗いいやらしさを思い起こしました。
明るく強い子どもだった笑美理が翼をもがれていく様は、人種差別であれ性差別であれ、痛ましく思えます。かなりストレートな固さを持っているため小説として楽しめるかには疑問がありますが、問題提起としては成功していると思います。
小手鞠るい さ・え・ら書房 2022年7月22日発行
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