太陽系外の惑星が1995年に初めて見つかると、その後は恒星の近くの軌道を回るガス惑星(ホット・ジュピター)、偏心した楕円軌道のガス惑星(エキセントリック・ジュピター)が次々と発見され、近年は木星よりはるかに小さな岩石惑星と思われる「スーパーアース」、さらには地球サイズの惑星「アース」の検出も可能になり、今では銀河系内に地球のような惑星はあまねく存在すると言われている状況を説明し、それを踏まえて惑星が誕生するプロセス/太陽系の形成モデルを再検討し、生物が居住可能な惑星の成立条件を論じようとする本。
太陽系外の惑星を発見/観測する手法/技術の進展の説明が、地味ではありますが、私にはむしろとても興味深く思えました。恒星と惑星が共通重心を中心に回るため恒星がわずかに軌道を描いて回り、その際に地球から遠のく動きと近づく動きを周期的に繰り返すことによる発光波長の変化(ドップラー効果)を観測する視線速度法(短周期の方が観測しやすいので公転周期が短くなる恒星に近い惑星が発見しやすい)で変動周期から軌道半径を求めるとともに波長変化から速度→質量を推測、惑星が恒星の前(地球側)を通るときの「食」から観測する「トランジット法」(食を起こす頻度から考えてやはり恒星に近い惑星が発見しやすい)で惑星の大きさを求めるとともに大気を推測するなど、地道な観測が知識を広げてゆくところがいいなと思います。高校生の頃にいっときそういう道に進んでみようかという思いを持ったことがあり、こういう話は夢があっていいなと。
太陽系の成り立ちに関するモデル/理論のところは、太陽系の惑星は今ある軌道で別々にそれぞれできたのではなく地球型惑星(水星、金星、地球、火星)は地球軌道ないしその少し内側でまとまって形成され跳ね飛ばされて軌道が移動した、ガス惑星(木星、土星)と氷惑星(天王星、海王星)も同様という新説(100~101ページ、104~106ページ)を始め、さまざまな仮説/説明が加えられ、ほとんどのテーマでまだわかっていないということが繰り返されるのは、意外であり、また刺激的です。
地球と太陽系以外のさまざまな惑星の成り立ちと環境条件を考察することで、宇宙と生物の生存条件についていろいろなことを考えさせてくれる本です。
井田茂 岩波新書 2017年2月21日発行
太陽系外の惑星を発見/観測する手法/技術の進展の説明が、地味ではありますが、私にはむしろとても興味深く思えました。恒星と惑星が共通重心を中心に回るため恒星がわずかに軌道を描いて回り、その際に地球から遠のく動きと近づく動きを周期的に繰り返すことによる発光波長の変化(ドップラー効果)を観測する視線速度法(短周期の方が観測しやすいので公転周期が短くなる恒星に近い惑星が発見しやすい)で変動周期から軌道半径を求めるとともに波長変化から速度→質量を推測、惑星が恒星の前(地球側)を通るときの「食」から観測する「トランジット法」(食を起こす頻度から考えてやはり恒星に近い惑星が発見しやすい)で惑星の大きさを求めるとともに大気を推測するなど、地道な観測が知識を広げてゆくところがいいなと思います。高校生の頃にいっときそういう道に進んでみようかという思いを持ったことがあり、こういう話は夢があっていいなと。
太陽系の成り立ちに関するモデル/理論のところは、太陽系の惑星は今ある軌道で別々にそれぞれできたのではなく地球型惑星(水星、金星、地球、火星)は地球軌道ないしその少し内側でまとまって形成され跳ね飛ばされて軌道が移動した、ガス惑星(木星、土星)と氷惑星(天王星、海王星)も同様という新説(100~101ページ、104~106ページ)を始め、さまざまな仮説/説明が加えられ、ほとんどのテーマでまだわかっていないということが繰り返されるのは、意外であり、また刺激的です。
地球と太陽系以外のさまざまな惑星の成り立ちと環境条件を考察することで、宇宙と生物の生存条件についていろいろなことを考えさせてくれる本です。
井田茂 岩波新書 2017年2月21日発行