伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

ベッドの下のNADA

2011-05-16 22:16:08 | 小説
 持ちビルの地下で隠れ家的な喫茶店「NADA」を経営する39歳夫と35歳妻が2人の場では会話のないさめた関係から、夫の不倫、妻と常連客との微妙な関係、過去への思いなどを経て、思い直すような変わらないようなあんばいで続ける夫婦関係を描いた連作小説。
 夫の不倫に気がつきながら素知らぬ顔の妻、妻が常連客と「できている」(実際はキスしたところで止まっている)と聞いて心中穏やかならず常連客に微妙な当てこすりをしたり不自然に振る舞ってしまう夫。夫の方は2人の愛人と不倫を続けていて、妻の方は冒険してもキスまでというあたり、ダブルスタンダードが肯定されている感じですけど、同時に妻の方がよほどしたたか。やっぱりそういう組み合わせの方が多数派なんでしょうね。
 温泉旅行で半年ぶりにセックスして、それから毎日全裸で寝ることにした夫婦。「セックスしないときの、裸の肌と肌が触れ合う感触は、セックスするときとは違う。湿り気のない温かさと、匂いのないなめらかさがある。」(164ページ)って・・・最初はそうでも、しばらくすると汗でべたべたになるんじゃないかなぁ。


井上荒野 文藝春秋 2010年12月10日発行
「オール讀物」2008年10月号、2009年2月号、6月号、8月号、2010年4月号、9月号
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