ハーバード・ビジネススクールの教授による交渉学のテキスト。
著者らの主張の主眼は交渉のために十分に準備をし、事前及び交渉中の情報収集を重視し、複数の論点に目を配りながら、冷静に交渉を進めること。嘘をつくことは、少なくとも長い目では割に合わず、嘘を見破ってもそれをあからさまに指摘したり非難することは(多くの場合嘘ではないと信じ込んでいる)相手を不機嫌にし、また相手の面目をつぶし、関係を損なう。書かれていることは大筋納得できることですが、経験上、そこまでの情報収集のコストや手間をかけられることは少なく、現実にはなかなか冷静でいられないものだと思います。
指摘されて、そこまで分析していなかったなと思うのは、交渉に当たっては交渉がうまくいかなかったときに他のどういう道を取れるのか(BATNA=best alternative to a negotiated agreement)を分析し、どういう条件で交渉を離れるのかを、自分についてと、相手について必ず検討すべきということ。自分についても、そういう検討はしていませんでしたが、相手についてまでそれを考えろ(その前提として可能な限り相手の状況について情報を収集しろ)というのはハッとさせられます。現実には難しいでしょうけれど、指摘自体はなるほどと思いました。
そういうことも含めて、仕事柄、興味深い話が満載でした。
こういう本を読んだからそれで交渉に強くなれるというほど甘くはないと思いますけど。
原題:NEGOTIATION GENIUS
ディーパック・マルホトラ、マックス・H・ベイザーマン
監訳:森下哲朗、訳:高遠裕子
日本経済新聞出版社 2010年5月20日発行 (原書は2007年)
著者らの主張の主眼は交渉のために十分に準備をし、事前及び交渉中の情報収集を重視し、複数の論点に目を配りながら、冷静に交渉を進めること。嘘をつくことは、少なくとも長い目では割に合わず、嘘を見破ってもそれをあからさまに指摘したり非難することは(多くの場合嘘ではないと信じ込んでいる)相手を不機嫌にし、また相手の面目をつぶし、関係を損なう。書かれていることは大筋納得できることですが、経験上、そこまでの情報収集のコストや手間をかけられることは少なく、現実にはなかなか冷静でいられないものだと思います。
指摘されて、そこまで分析していなかったなと思うのは、交渉に当たっては交渉がうまくいかなかったときに他のどういう道を取れるのか(BATNA=best alternative to a negotiated agreement)を分析し、どういう条件で交渉を離れるのかを、自分についてと、相手について必ず検討すべきということ。自分についても、そういう検討はしていませんでしたが、相手についてまでそれを考えろ(その前提として可能な限り相手の状況について情報を収集しろ)というのはハッとさせられます。現実には難しいでしょうけれど、指摘自体はなるほどと思いました。
そういうことも含めて、仕事柄、興味深い話が満載でした。
こういう本を読んだからそれで交渉に強くなれるというほど甘くはないと思いますけど。
原題:NEGOTIATION GENIUS
ディーパック・マルホトラ、マックス・H・ベイザーマン
監訳:森下哲朗、訳:高遠裕子
日本経済新聞出版社 2010年5月20日発行 (原書は2007年)