形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

キャベツの白漬け

2012-02-24 14:23:51 | 男の料理

キャベツの白漬けというのは、私が勝手につけた名前である。 
以前勤めていた病院は浅草に近い、蔵前のほうにあり、
近くに小さな中華料理屋があった。 下町らしいごく気さくな店だ。
 
ここは若いサラリーマンに人気がある。 うまいのも、うまいが
ボリュームが若い胃袋を満足させるからだ。 
この店、知らずに大盛りを頼むと、ご飯ものでも麺でも、
びっくりするほどの量が出てくる。 店のオヤジは、若い
サラリーマンがご飯の大盛りを頼むと、いたずらっぽく笑いながら、
丼ぶりに高々と山のように盛りつけているのを何度も見た。 
私も夏に冷やし中華の大盛りを頼んだら、ラーメン丼ぶりに
山盛りに出されて、食べきるのに往生したことがある。 

店には自慢の漬けものがある。 それは細長い店の奥に、デンとすえられた
大きな丸いガラスの容器に入った、キャベツの漬けものだ。 ガラス容器の
中は、まるで牛乳のような白い液で満たされていて、その中に、大きくザク
切りにされた大量のキャベツが漬けられている。

これがうまい。 客の多くが注文する。 一皿70円と安く、小皿にたっぷり
盛って出してくれる。 パリパリとした浅漬けの食感なのだが、味はただの
塩味ではなく、さわやかな酸味がする。 白い液の正体は、なんと日本酒を
発酵させたものだそうだ。 だが酒の匂いはまったくしない。

以前、これを自分で作ってみたくて、試したことがある。 日本酒を一升、
漬物用のガラスビンに入れて、キャベツを大ぶりに切って漬けてみた。 
結果はさんざんだった。 待てど暮らせど、キャベツは透明な日本酒に
ただ浸っているだけで、食べられるようなシロモノじゃなかった。


最近、スーパーの乳酸菌などを売っているコーナーで、カゴメの植物性乳酸菌
飲料のラブレというのを見つけた。 調べてみると、京都の伝統的な漬けもの、
スグキからみつかった植物性の乳酸菌だという。

ピンッときた。  あれを使ってキャベツの浅漬けを作ったら、あのオヤジさん
の漬けものに近いものができるんじゃないかな?
そこでやってみた。 キャベツを大ぶりに刻み、乱切りのキュウリを加えて
塩を振りもむ。 そこに、おぼろげな記憶を頼りに、少しの山椒の実と生姜も
入れ、ラブレ2本を加えてみた。 思ったとおりだった、漬け汁は薄く白濁し、
あのオヤジさんのキャベツ漬けにかなり近いものができた!

キャベツ1個にキュウリ3本で、塩小さじ2、3杯の塩加減。
あまり塩辛くせず、漬け上がって薄かったら塩を足す。 

この乳酸菌を入れると、軽い重石でも非常に早く水があがる。 
早く重石が外せるから、キャベツがスジっぽくならずにやわらかく食べられる。 
そして浅漬けなのに、ちゃんと乳酸発酵したうまい漬けものになっている。 
何日かすると、さらに酸味が強くなり、またうまい。 

食べきったら、その漬け汁を捨てずに使うと、さらに早く漬けあがる。 
水があがるのは、塩分の浸透圧で出てくるのだが、乳酸のためか、
菌の作用によるのかわからないが、ずいぶん早くなるようだ。 

                     
からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/



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