形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

紫鷺苔(ムラサキサギゴケ)

2013-04-25 17:40:52 | Weblog

朝、散歩に行くと紫鷺苔がさかんに花を咲かせはじめていた。 
この野草は地を這うようにランナー(匍匐茎)を出して咲き広がる。 
城址公園でも、少し湿り気が多く日当たりのよい場所で多く見る。 

苔(コケ)というと、古い樹木や岩を覆うあの苔を思い浮かべるが、
それとはまったく別のもの。 以前書いたイヌノフグリと同じく、
ゴマノハグサ科の植物だ。 おそらく日本では地を這うような植物を、
苔と総称したのではないだろうか。

花の名は羽をひろげた鷺の形からつけられたと思う。
1、2センチほどの大きさで、アヤメの3枚からなる花の、
1つだけをそっと地においたような姿をしている。
清楚な美しい花だ。

                    
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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キクラゲ(木耳)

2013-04-23 19:07:30 | Weblog

佐倉に引っ越してまもない頃、城址公園を散歩していると、
枯れた木にキクラゲのようなものがたくさん出ていた。 
中華料理の炒め物に入っているキクラゲによく似ている。 
持ち帰って図鑑で調べてみるとやはりそうだった。 
生の食べ方がわからないので、味噌汁に入れて食べてみた。 
中華のキクラゲと同じで味らしきものはなく、こりこりした
食感がつよい。

その後、少しレパートリーが増え、炒め物に入れる他、
佃煮もうまい。 キクラゲを細く切り、フライパンで
軽く炒めたあと、醤油、みりん、酒、砂糖を入れて
煮汁がなくなるまで煮る。

写真は少し乾燥したキクラゲだが、雨降りのあとのキクラゲは
少し透明がかり、ぷくぷくした褐色の耳たぶみたいだ。
きっとそれで、「木耳」 と書くのだろう。 
乾燥したキクラゲをもどしたものより厚みがある。

このキノコ、雨の少し多いときなら、冬以外よく出る。
木の幹や枝に不規則に並んでいることも多い。 
キクラゲを探して歩くと、どうしても上を見る。 
多くのキノコを探すときは、下を見ながら歩くのとは大違いだ。 
枯れて間もないニワトコの枝によく出る。 
養分がなくなるからか、枯れた木が古いと出ていることは少ない。 

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踊り子草

2013-04-16 17:10:04 | Weblog

踊り子草が咲いている。 今年は寒さが続いたせいか、
例年より草丈が低いまま花をつけている。
この野草は、道ばたや藪の縁などに沿うように出る。
城跡公園でも、紫陽花の植え込みのふちを彩るように咲く。 
ちょうど今頃から、少し長い花期になる。
花は白いものから、淡紅色のものまであり、派手さはない
がかわいい花だ。

編み笠をかぶった踊り子が、外向きの輪になって踊っている
ように見えるところから、この名前がついたそうだ。 
よく見ると、ほんとうに踊り子のように見えてくる。 
踊り子たちは、段々になったやぐらの上で、下から
上に順に花を咲かせていく。



以前書いた、触るとひどいめにあう毒草の、棘草(イラクサ)の葉に
よく似ているので、触らずにいたが全然別の植物だった。 両方とも
シソの葉によく似ているが、踊り子草は細長いハート型で葉先が細く
尖っている。 イラクサはイラクサ科、踊り子草はシソ科の植物。


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毒草・クサノオウ

2013-04-01 13:17:12 | Weblog

仕事場のある小石川で、昼休みに散歩しているとクサノオウが咲いていた。
白山通りという大きな道路の植え込みに、いろいろな野草を寄せ植えにして
いるところがある。 花ではなく野草の植え込みとは珍しいが、秋には
ミズヒキが咲き、なかなか風情がある。 その中にクサノオウが混じっていた。 
明るい薄緑の葉に4弁の黄色い花をつけ、かろやかに咲いている様子は涼しげである。

このクサノオウ、毒草だが同時に薬草でもある。 これは他の毒草でも
よくあることだ。 たとえばジギタリスは、不整脈を起こす心臓毒を持つが、
おもしろいことに不整脈やうっ血性心不全に使われる薬草でもある。 
また体内に入れば心停止をおこす、猛毒で有名なトリカブトは
処理されることで、附子(ブシ)という生薬になる。

クサノオウの名前は、"草の王"(薬草の王)、"草の黄"(茎を折ると
黄色い液が出る)、"瘡の王"(瘡・クサ、またはカサというのは、皮膚の
できもので、これに薬草として使われた)と、いろいろな説があるようだ。 
ただしこの毒成分はアルカロイドのかなり強い毒で、素人判断で使うのは
たいへん危険である。 茎を折ると濃いオレンジ色の毒液が出る。


             (タケニグサ)

少し標高の高いところでよく見る、タケニグサ(竹似草)とどこか感じが
似ていると思っていたら、同じケシ科の植物だった。 こちらも毒草。 
クサノオウはせいぜい6、70センチほどの大きさだが、タケニグサは
2メートルを越す大型植物だ。 タケニグサは真っ直ぐに伸びる太い茎を
持ち、その先に白い房のような花を咲かせる。 ここはクサノオウと違う。 
だが菊の葉に似た葉や、茎や葉裏が白いところはよく似ている。 
クサノオウは白いうぶ毛だが、タケニグサはまるで白い粉をふいたような
独特の白さがある。

                       
からだの形は、生命の器 
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