形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

竹の子とリュウマチ

2012-04-26 13:25:17 | Weblog

私の住んでいるあたりは、孟宗竹(モウソウダケ)や真竹、淡竹
(ハチク)の竹林が多く、これから家々では竹の子ご飯や煮つけ
が盛んに食べられる。

東京なら、掘りたての泥つき竹の子などもらったら大喜びするのに、
ここらへんではヘタすると迷惑顔されかねない。 竹の子の
飛び交うこの季節には、食傷するほど食卓に出てくるからだ。

普通は竹の子堀りというが、私のは竹の子倒し。
東京から引っ越してきて、ちょうど五月の、竹の子の出る季節に、
市のはずれにある運動公園に遊びに行った。 そこに隣接した
市営地に、竹の子がゴソゴソ出ているのを見つけた。

誰も採らないから、出放題に出ているのだ。そういう光景を見るのは、
東京で育った私には初めてだった。 それから竹の子採りに凝った。

始めはテレビで見るように、地中に埋まっているものを掘るのだ
ろうとスコップで掘っていた。 だが地中を縦横に這う竹の根茎は、
ゴツくてスコップがなかなか入らず、掘り出すのに一苦労した。

あるとき面倒くさくなって、斜面に出ていた50センチほどに伸び
たものを、折り倒して家に持ち帰った。 そして掘り出したものと
食べ比べたら全然差が分からなかった。(ただ私はオヤジゆずりで
鼻があまりきかず、少々、味オンチだから確かかどうかは分から
ないが。)

それから掘るのがバカらしくなって、いつも斜面に出ているものだけを、
谷側に倒して採っている。 だから私の竹の子採りはいつもあっけない
ほど短時間で終わる。

テレビで見た、採りたての、みずみずしい竹の子の刺身というのも
試してみた。 だが舌を刺すようなエグミで、とても食べられたもの
じゃなかった。 あれはほんとうにうまいのかなぁ。 テレビ用じゃ
ないかと疑っている。


リュウマチの患者さんは竹の子は食べないほうがいいそうだ。 
これは漢方専門のお医者さんで、リュウマチの治療を得意に
している方から、ずっと以前に聞いたことがある。 
てきめんに、痛みや症状が悪化することをよく経験するのだという。
その先生のところでは、リュウマチの患者さんには食べないか、
食べるなら、風味が抜けてしまうが、よく水にさらして食べる
ように指導しているそうだ。

エグミに関係しているらしいが、はっきりしたことはわかっていな
いらしい。 山菜のアクの強いものも同じだそうだが、竹の子は
とくによくないという。 このことは、ほとんど知られていない。


からだの形は、生命の器
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ウグイスの発声練習

2012-04-21 14:37:59 | Weblog

三月のはじめの頃から、ウグイスが鳴き始めている。
毎年思うのだが、はじめのうちは鳴きかたが変だ。
今鳴いているウグイスもまだおかしい。
ホーホケキョのはずが、ホーケキョと真ん中のホが抜けたり、
始めと終わりだけの、ホキョ、ホキョなどと笑っちゃうような
鳴きかたをしている。

ウグイスは縄張りを張るそうで、ホーホケキョはその縄張り宣言らしい。
鳴きかたがまずくて、ナメられちゃたまらないから、練習も必死かもしれない。
今鳴いているのを聞くと、城址公園のウグイスも、家の裏で鳴いているのも、
たぶん同じウグイスでまだヘタである。

ホキョ、ホキョ、ホーケキョ、ホーケキョケキョ とやって、
たま~に、正規のホーホケキョが出る。 
見えないが、これが出るとウグイスがニヤリとしているのを想像し、
なんだかおかしくなる。 日がたって5月、6月になるとちゃんと
鳴くようになり、初夏の林に美しい声を響かせる。
最近読んだ本で、この慣れない鳴き方を「笹鳴き」ということを知った。


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風の花、二輪草(ニリンソウ)

2012-04-18 18:48:45 | Weblog

今年の冬は寒さが厳しかったせいか、いつもは順々に出てくる春の
野草がいっせいに咲き始めている。 まるで北国のあの春のようだ。

城址公園に二輪草が咲き始めた。
群生している二輪草が風に吹かれると、白い花がいっせいに揺れて、
小さな手をふっているよう。 だが花に見えるのはほんとうはガク。

だいぶ前だが、城跡公園の中の小川に沿って群生する二輪草を、
夜中に根こそぎ持っていった者がいた。 おそらく売るためだろう。
朝、散歩に行くとほとんどなくなっていて、散歩する人たちをがっかり
させた。 だが繁殖力が強いニリンソウは、数年後に復活し散歩者たちを
喜ばせた。


二輪草という名前は、一本の茎の先が2つに別れ、それぞれに白い
花をつけるところからきたというが、よく見ると3つ、4つの花を
つけたものもある。

フクベラと呼ばれる山菜でもあるが、同じキンポウゲ科の猛毒植物、
トリカブトの葉によく似ているため、誤って採り中毒を起こす人が
あとをたたないようだ。

トリカブトは山あいでよく見かける植物だが、春先に出たばかりの
トリカブトと二輪草の葉の区別をするのは難しい。 葉に深い切れ込み
の入っているところなど、たいへんよく似ている。




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蛇苺(ヘビイチゴ)

2012-04-05 18:15:58 | 昭和の頃

タンポポの咲き始めている、城址公園の草むらを歩いていた。
そこに混じって、同じ黄色い蛇苺の、五弁の花が咲き始めていた。 

小学校の頃、日曜日に友達4、5人と、多摩川の上流のほうに
探検に行くことになった。 前の日に母親に頼んでおいた、おにぎり
と水筒を持って、私たちは歩いて多摩川沿いの道を上流に向かって
いった。 道は時折、川から離れ、また一緒になる。

多摩川園に近づき、通りを外れて住宅街の中の小道を入っていくと、
立派な庭のある大きな屋敷が並ぶところに出た。 それは私たちが
住んでいた町とは違っていた。 右に左に小道を分け入って、
その先に何があるんだろうと小さな探検を楽しんだ。

屋敷の中には、誰も住んでいないような、庭の草がぼうぼうになった
洋館もあった。 たくさんある窓を見てると、暗い部屋のどこからか、
ワシ鼻でトンガリ帽子をかぶった魔法使いのおばあさんが、こちらを
じっと見ているような気がしてくる。

「これお化け屋敷じゃないかな~」
「ちょっとだけ庭に入ってみようか?」
「オレ、イヤだよ」

さんざん小道を歩いていると、蛇苺がたくさん出ている草むらがあった。
地面を這うように広がって、赤い小さな実をたくさんつけていた。

それが蛇苺という名前で、毒はないというのは遠足のときに学校の
先生に教えてもらって知っていた。 名前を聞いたとき、私は蛇が
食べる苺かな~と思った。 地面を這うヘビが、赤い蛇苺をうまそうに、
パクリ、パクリと食べる姿が頭に浮かんだ。



そこで私も一粒採って口に放り込んでみた。イチゴなんだから、
少しはその味がするだろうと思ったのだ。 ところがイチゴとは
名ばかりで、そんな味は全然しなかった。

指でやわらかい実を割ってみると、中は苺のみずみずしい果肉など
なくて、フカフカの白いスポンジみたいなものが入っていた。
それこそ味も素っ気もないイチゴだった。 バラ科の多年草。

                    
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山猫の目草

2012-04-04 17:52:58 | Weblog

城址公園の、木々の茂る崖の下には、縁どるようにアジサイが
植えられている。 その株元の日陰になったところに小さな
野草があった。 

調べてみると、山猫の目草(ヤマネコノメソウ)という名前で、
野草自体より、名前のほうに興味をもった。 同類にネコノメ
ソウ(猫の目草)もあるらしく、私が見たのは、こちらがほん
とうの名前かもしれない。

山猫の目草・・・・ いったい誰がつけた名前なのだろう。 
私にはこの野草から、山猫の目を連想できない。 
また、山猫の目がどんなものかもよくわからない。 
きっと山猫のいる地方の人がつけたのだろうな、
それはどのあたりなのだろうなどと、想像は広がっていく。 

新種の植物の名前は、植物学関係の学会などで承認されてつくそうだが、
和名の方は、その地方で呼ばれている名前がつけられるようだ。 
なので同じ植物でも地方によって名前が違うのはよくあることだ。

私が見たのは、長さ7、8センチで、土から太めのカイワレ大根が、
10本ほど束になって出ているみたいだ。 茎の先に付いている上向きの
複数の葉は、アジサイのあいだから降る、わずかな光を受けとめている。
この野草が、ユキワリソウ(雪割り草)科とあって、この光の受け方に
なるほどと思った。

花はつけず、葉の真ん中にある黄色いガクのところに、むき出しの
数十粒のこげ茶色の種が乗るようにできる。 この様子から、猫の
目に似ているので名前がついたという。

                     
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土木科って彫刻科?!

2012-04-03 22:08:18 | Weblog

11年前に亡くなったオヤジは、山形で生まれ育ち、三人兄弟の末っ子だった。
一番上の兄は、オヤジとはかなり歳が離れていて、昔の医学専門学校を出て、
山形で医者をしていた。 やはり医者をしていた父親を早くに亡くしたオヤジは、
この長兄に学校にいかせてもらった。

真ん中の若くして亡くなった次兄は、東京に下宿して美大の油絵科に通っていた。
オヤジはこの兄に憧れていて、自分は木を彫る彫刻家になりたいと思った。 
それで山形専門学校(山形大)の、なんと土木科! の試験を受けた。

なぜ土木科かというと、「土」をコネ、「木」を彫る、彫刻科と思ったのだ。
笑い話のような話だが、叔父から聞いたほんとうの話である。
(オヤジからこの話は聞いたことはなかった。) 
受けたら、受かってしまい、あとの祭り。
 
オヤジはそのまま学校に通い、無事卒業して土木技師になった。 
やがて長いサラリーマン生活が終わり、定年後、彫刻ではなく油絵を
趣味で始めた。 だがかなりヘタな絵で、家族の評判はすこぶる悪く、
じきに描かなくなり、好きな碁ばかりやっていた。

オヤジは土木科でよかったと思う。 そうでなければ、一家全員路頭に
迷うところだった。 それにしても、入学の日に教科書を渡されたときの、
オヤジの顔を見てみたかった。 
たぶん、アゴがはずれるほどびっくりしたと思う。


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