形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

毒草・紫華鬘草(ムラサキケマンソウ)

2013-03-25 16:11:27 | 男の料理

城址公園を歩くと、つい先日まで葉ばかりだった紫ケマンソウが、
もう花を咲かせていた。 紫ケマンソウは、藪の縁などの、半日陰の
場所でよく見る。 私が見るあたりでは、全体が10~15センチほどで、
茎葉は黄緑色のやわらかな人参の葉によく似ている。 
食べられそうに見えるが、有毒植物の多いケシ科の毒草。
毎年、誤って食べて中毒する人たちがいるらしい。
見た目で判断するのは危険である。

若い頃、友人の結婚式に出るために、仲間たちと車で福島に行った。 
裏磐梯のスカイラインだったか、標高の高い、休憩した場所のそばに
小さな湿地があった。 その近くに黄緑色のみずみずしい、いかにも
食べられそうな野草が出ていた。 水芭蕉の幼い形に似ている。 
中の一人が、うまそうだなと言って、それを一本むしり取って生のまま
バリバリ食べてしまった。 再び車に乗って出発し、少したってから、
それまで元気だったその友人は吐き気がすると言い出し、ついには
ゲーゲー吐き始めた。

あきらかに先ほど食べた野草の毒に当たったのだ。
その頃は野草に興味もなく知らなかったが、たぶん、その野草は、
バイケイソウというユリ科の毒草で、よく山菜と間違えて中毒するようだ。

 梅草(バイケイソウ)

ムラサキケマンソウに近い仲間には、高山植物で有名なコマクサや、
観賞用に売られている、鯛釣草(タイツリソウ)がある。 
華鬘(ケマン)という名は、仏具の天井から吊るす飾りの形から
きているという。

 
からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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身欠きニシンとウドの味噌汁

2013-03-21 13:55:07 | 男の料理

スーパーに行くと、みずみずしいウドを売っていた。
野性のウドとは違い、色白でムロの中で栽培されたものだろう。 
ちょうど干物のコーナーに身欠きニシンも置いてあったので、
ニシンとウドの味噌汁を作り、久しぶりにコクのある味噌汁を味わった。

この味噌汁、山形でいくどかごちそうになって以来、大好物になった。 
山形の郷土料理と思うが、ほんとうのところはわからない。 
昔、流通がたいへん不便だった頃、山間部では、手に入る、
こうしたカラカラに干した魚の乾物をうまく利用した料理が多い。 
海の近くでは、乾物を使うまでもなく、新鮮な魚が手に入った
ろうから、むしろ山のほうでよく発達したのではないだろうか。

たいへんコクのあるうまい味噌汁だ。 
ナマ臭さいのではと思う人もいるかもしれないが、
それはほとんど感じられない。

<作り方>

身欠きニシンは、必ずカラカラに乾かした固いものを使う。
でないと生臭くなる。 もしウドがなければ大根でもよい。

1、身欠きニシンの裏表を軽く火で炙って臭みをとり、一口大のぶつ切りにする。
2、ダシ汁を入れた鍋に、ニシンを入れて、柔らかくなるまで煮る。
  * 途中でたくさん出てくる茶色い油とアクはていねいに取り除く。
3、ニシンがやわらかくなったら、短冊に切ったウドか大根を入れ、
  サッと煮て、味噌を溶き入れ出来上がる。

                        
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赤だし煮込みうどん

2012-12-17 19:30:35 | 男の料理

前にテレビで、山で採ってきたキノコを囲炉裏に掛けた鉄鍋で、
赤だし味噌で煮て食べるのを映していた。 味噌はカツオのダシで
溶いてあるそうだが、ドロドロの状態で、まるで泥でもからめるように
食べている。 それを肴に酒を飲みながら、出演者はとてもうまそうだった。

赤だしの味噌汁を初めてたべたのは、小学生のとき、おふくろの郷里、
桑名に行ったとき。 朝、出された黒いような色の味噌汁に驚いた。 
飲んでもっとびっくりした。 
ドロリとして、サラサラの味噌汁に慣れている私には、とても
味噌汁には思えなかった。 作った叔母は、カルシュウムを
とらせるためと思うが、ダシに使った煮干しまで細かく刻んで
入れていたので、ザラザラと喉に引っかかった。 
赤だしを飲めるようになったのは、ずっと大人になってから。

最近、簡単なので夕食に赤だし味噌の煮込みうどんを作ってよく食べる。 
一人で食べるので作り方はかなりいい加減だ。 水に多めの
ダシの素を入れ、始めから赤だし味噌を溶き、卵、鶏肉、油揚げ、
ナメコ、シメジなどをどんどん入れて煮る。 卵は固くなるまで煮る。
赤だしは塩加減がどうもよくわからない。 入れ過ぎと思っても
なぜか他の味噌より塩辛くならないのが不思議だ。 
煮える頃うどんを入れ、多めのネギと焼きカマボコをのせて
出来上がる。 これ、どういうわけか飽きない。

赤だしは個性が強いのか、他の味にはなかなか負けないようだ。 
最近、鶏肉がなかったので、冷蔵庫にあったシャウエッセンという
少しスモークしたウィンナーを入れてみたら、こちらのほうが肉の
うまみが抜けないのと、パリパリ感があって鶏肉よりうまい。 


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サンマ丼

2012-10-11 13:33:31 | 男の料理

サンマ丼は中学生の頃、オフクロが誰から聞いたのか、
秋の食卓にのぼるようになった。 それから家中で好きになった。

私も大人になってから、そのサンマ丼を思い出して幾度も作った。
調べるとレシピ本によくあるものとは、作り方が少し違っている。

違いのひとつは、おろしたサンマに小麦粉や片栗粉をまぶさないで、
フライパンで素のまま焼く。 もうひとつは、かなり徹底的に焼く。
本に出ているように、小麦粉をまぶして焼いたり、火が通る程度に
ふっくら焼いて食べてみたが、生臭味が強く、わが家式のほうが
ずっと食べやすいし、うまいと思う。


作り方。
1、サンマを3枚におろす。 頭と中骨は火であぶり、水に酒、醤油、砂糖、
  みりんで煮て味を整え、かけ汁を作る。 ワタは捨てずに、油を塗った
  アルミホイルにのせて別に焼き、酒の肴に。

2、おろしたサンマをフライパンに油をひいて焼く。 そのとき油が大量に
  出てきて、焼くというより揚げるのに近くなるが、そのまま焼き続ける。
  ふっくらぐらいだと生臭い。 箸で押さえて少し固くなるぐらいに焼くと
  油が抜け生臭ささがなくなる。

3、焼けたらすぐに、作っておいたつけ汁に放り込み、あとはどんぶり飯にのせる。
  上に酢につけた針ショウガをあしらい、あっさりしたサンマ丼の完成。


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イカの酒盗和え

2012-05-09 16:18:33 | 男の料理

私の料理歴は長い。 高校生のとき、オフクロが半年ほど入院し、
代わりに下宿人も入れた7、8人の食事を、朝と晩作り続けて以来だ。 
山岳部にいたので、食事を作ることは苦にならなかった。 

しかし昔の山の食事は、エネルギー補給のためのエサみたいな
ものだから、家のとなるとそうはいかなかった。
オフクロの持っていた料理本を読んで片っ端から作り、
レパートリーを増やしていった。 ゴボウのキンピラのような
家庭料理から、皮から作る水餃子やフランス料理も作った。  
忘れられないのはフランス料理だ。 やたらに時間がかかった割に、
マズくてみんなが残し、二度と作る気がしなかった。


イカの酒盗和えは、その頃おぼえた料理。 
よくある、酒盗とただ和えるものとはちょっと違う。 
おかずに、酒の肴にもってこいだ。
 
* 酒盗は生きのいい、カツオの胃や腸から作り熟成させたもの。 
そまま飯つけて食べてもうまいが、クリームチーズやカマンベール
チーズによく合い、それらに乗せて食べてもうまい。


作り方:

1、刺身用のイカをさばき、塩辛に使うぐらいの切り身にしておく。

2、小鍋に酒、カップ半分ぐらい入れ、そこに酒盗を大サジ3、4杯
  入れ、軽く煮立たせ、火から降ろしてよく冷ます。

3、この漬け汁にイカの切り身を入れ、和えたらできあがり。
  ユズがある季節なら、散らせば香りがいい。 
  日持ちがするので、冷蔵庫でねかせ馴染ませてもなおうまい。 
  酒盗とただ和えるものより、生臭味が少なく味がマイルドになる。


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キャベツの白漬け

2012-02-24 14:23:51 | 男の料理

キャベツの白漬けというのは、私が勝手につけた名前である。 
以前勤めていた病院は浅草に近い、蔵前のほうにあり、
近くに小さな中華料理屋があった。 下町らしいごく気さくな店だ。
 
ここは若いサラリーマンに人気がある。 うまいのも、うまいが
ボリュームが若い胃袋を満足させるからだ。 
この店、知らずに大盛りを頼むと、ご飯ものでも麺でも、
びっくりするほどの量が出てくる。 店のオヤジは、若い
サラリーマンがご飯の大盛りを頼むと、いたずらっぽく笑いながら、
丼ぶりに高々と山のように盛りつけているのを何度も見た。 
私も夏に冷やし中華の大盛りを頼んだら、ラーメン丼ぶりに
山盛りに出されて、食べきるのに往生したことがある。 

店には自慢の漬けものがある。 それは細長い店の奥に、デンとすえられた
大きな丸いガラスの容器に入った、キャベツの漬けものだ。 ガラス容器の
中は、まるで牛乳のような白い液で満たされていて、その中に、大きくザク
切りにされた大量のキャベツが漬けられている。

これがうまい。 客の多くが注文する。 一皿70円と安く、小皿にたっぷり
盛って出してくれる。 パリパリとした浅漬けの食感なのだが、味はただの
塩味ではなく、さわやかな酸味がする。 白い液の正体は、なんと日本酒を
発酵させたものだそうだ。 だが酒の匂いはまったくしない。

以前、これを自分で作ってみたくて、試したことがある。 日本酒を一升、
漬物用のガラスビンに入れて、キャベツを大ぶりに切って漬けてみた。 
結果はさんざんだった。 待てど暮らせど、キャベツは透明な日本酒に
ただ浸っているだけで、食べられるようなシロモノじゃなかった。


最近、スーパーの乳酸菌などを売っているコーナーで、カゴメの植物性乳酸菌
飲料のラブレというのを見つけた。 調べてみると、京都の伝統的な漬けもの、
スグキからみつかった植物性の乳酸菌だという。

ピンッときた。  あれを使ってキャベツの浅漬けを作ったら、あのオヤジさん
の漬けものに近いものができるんじゃないかな?
そこでやってみた。 キャベツを大ぶりに刻み、乱切りのキュウリを加えて
塩を振りもむ。 そこに、おぼろげな記憶を頼りに、少しの山椒の実と生姜も
入れ、ラブレ2本を加えてみた。 思ったとおりだった、漬け汁は薄く白濁し、
あのオヤジさんのキャベツ漬けにかなり近いものができた!

キャベツ1個にキュウリ3本で、塩小さじ2、3杯の塩加減。
あまり塩辛くせず、漬け上がって薄かったら塩を足す。 

この乳酸菌を入れると、軽い重石でも非常に早く水があがる。 
早く重石が外せるから、キャベツがスジっぽくならずにやわらかく食べられる。 
そして浅漬けなのに、ちゃんと乳酸発酵したうまい漬けものになっている。 
何日かすると、さらに酸味が強くなり、またうまい。 

食べきったら、その漬け汁を捨てずに使うと、さらに早く漬けあがる。 
水があがるのは、塩分の浸透圧で出てくるのだが、乳酸のためか、
菌の作用によるのかわからないが、ずいぶん早くなるようだ。 

                     
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絶品、揚げ餅の大根おろしがけ

2012-01-19 17:48:32 | 男の料理

揚げ餅に大根おろしをかけて食べるなんて、誰でも考えそうなものだが、
意外に知らない人が多いみたいだ。 私の家でも餅といえば、雑煮や
納豆餅、海苔餅、きな粉やあんころ餅ぐらいなもので知らずにいた。

中学生のとき、両親が栃木県出身の友だちの家に、正月、遊びにいき、
初めてこれをご馳走になった。 びっくりするほどうまく、それに大量に
作るのがじつに簡単なので、下宿人もいる多人数の家族だった私の家でも、
おふくろが大喜びで取り入れた。

この料理は餅の食べ方として、友人たちにも大好評の料理だ。
大根おろしさえ作れば、ただ餅を素揚げするだけなのでとても簡単。

<つくり方>

*、大根おろしを多めに作っておく。

1、餅を油で素揚げする。 ゴマ油を少し入れると香ばしい。
  餅はふくらんでも、もう少しキツネ色になるまで揚げ続ける。

2、冷たい大根おろしで、餅が少し固くなるので器をレンジで温めておく。
  揚がった餅を器に入れ、大根おろしをたっぷりのせる。
  
3、カツオ節をかけ、生醤油をかけて食べる。
  (カツオ節はなかったら、なくてもよい。)

たったこれだけなのだが、うまい!
大根おろしが入って消化がいいから、食べ過ぎにご用心。


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ひきずりうどん

2011-12-15 14:25:04 | 男の料理

ひきずりうどんは、山形の郷土料理だが、同じようなものが東北の
各地にあるかもしれない。 みんなで鍋をつつくような感覚の、
これからの寒い季節向きで、東京に住む友人たちにも大好評の料理だ。 
栄養のバランスもとてもいい。 ただ基本的に納豆が中心なので、
これが苦手の人は素通りしていただきたい。



<つくり方>

★ 納豆に生卵を割り入れてかき混ぜ、そこに粉末のカツブシを入れた
小鉢を、1人に一つづつ用意する。 これがベースになる。 
ダシになるカツブシは、スーパーで売っている安い粉末のものがいい。 
山形では場所によって、カツブシの代わりに、サバの水煮缶を崩して
使うところもある。 
納豆 + 生タマゴ + ダシになるもの + 醤油、これが基本になる。

あとは決まりはなく、ここに好みで、刻んだ菜っぱのおひたしや、ネギ、
モミ海苔、沢庵でも何でも漬物を刻んだものを入れる。 
山形だとオミ漬け、青菜漬けあたりか。 味付けは生醤油に限る。 
甘い蕎麦つゆはこれには向かない。

★ うどんを用意する。 私はこれに限っては、細目のうどんが合うと
思うが、それも好みで。 乾麺でも、生でも、冷凍うどんでもよい。

土鍋に熱い湯をはり、そこにゆでたうどんを入れて、みんなで上記の
小鉢にうどんを取ってからめ、食べるだけである。 ダシが足りなく
なれば、カツブシ粉を足す。 一人一玉では足りない。 予想外に
たくさんのうどんを食べてしまうので、多めに用意しておいたほうがいい。


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イカの山椒味噌

2011-11-29 13:19:44 | 男の料理

この料理は家の修繕に来た、青森の大工さんに教えてもらった。
それ以来、大好物になった。 青森にはうまいものが沢山ある。
熱い飯にのせて食べるもよし、酒の肴にももってこいだ。
売っている茹でイカを使えば調理時間、90秒。 じつに簡単。

< 作り方 >

生イカは、さばいてから、丸ごとサッと茹でて適当な大きさに切っておく。

ボールに酒を大さじ2、3杯、味噌を大さじ山盛り1~2杯ほど入れる。
さらに粉山椒を大量に振り込みかき混ぜる。
そこに切った茹でイカを入れ、箸でざっくり混ぜたら出来上がり。
時間をかけなくたって、うまい料理はできるという見本みたいな料理だ。


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