形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

夏空

2014-08-23 14:02:53 | Weblog

海を知らぬ少女の前に 

麦藁帽のわれは両手をひろげていたり


               寺山修司(1935~1983)


からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/

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燃えない木

2014-08-18 12:51:11 | Weblog

昔、子どもがまだ小学生の頃、夏休みに軽井沢の国立キャンプ場へ連れて
行ったときのこと。 朝、キャンプ場の共同炊事場で、薪でご飯を炊いていた。

となりに団体で来ていたらしい、子どもたち4、5人が、火をおこそうとして
悪戦苦闘を始めた。  懸命に新聞紙を丸めたもので、かわるがわる
息を吹いているが、いっこうに燃え上がらない。 
あまり長く燃えないので、もしかと思い、子どもたちがひろい集めていた
枯れ木を、見せてごらんと見てみた。 
枯れてはいるが、断面がまるで黒いスポンジのような、例の木である。

山をよく歩いていた頃、見おぼえがある木だった。
この木、燃えないのだ。 ひろって折ると、ポキポキと
小気味よく折れるので、いかにも燃えそうな感じがする。 
でも焚き火に入れても、いつまでも、ブスブスといぶるばかりで
ちっとも燃えない、焚き火にはまったく向かない木だった。

私は折った木の断面を見せて、こういう木は燃えないんだよと
教えてやった。 ヘーッ! と子どもたちの目がソンケイの眼差しに
なったように感じ、私はちょっとだけ胸をはったような気がする。 
あまっていた薪をやり、それは勢いよく燃え上がって、
子どもたちは歓声をあげて炊飯を続けた。

長いあいだ、この燃えない木がいったい何なのか、
知りたかったが、枯れ枝では知りようもなかった。 
試しに最近、「燃えない木」で調べてみたら、なんとあった。 
ネットの検索はまことに便利なものだ。

あれはたぶん、ナナカマドの木だ。
夏に白い花をつけ、秋に美しく紅葉するあのナナカマド。
バラ科だそうだ。 7回かまどに入れても燃えないから、
ナナカマドという名前がついたという。
なるほど~ 

                   
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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[ 警告]当ブログ内に掲載されているすべての文章の無断転載、転用を禁止します。すべての文章は日本の著作権及び国際条約によって保護を受けています。Copyright shinso koisikawa. All rights reserved. Never reproduce or replicate without written permission.
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ヤブミョウガ(藪茗荷)

2014-08-16 16:40:10 | Weblog

* 写真は城址公園の堀沿いの道のもの。

ヤブミョウガは、少し日陰になった湿気の多いところでよく見る。 
城址公園でもあちこちで見かける。 
夏に写真のような白い可憐な花を咲かせる。 
初秋、この花はやがていくつもの濃い紫の実をつける。



ずっと前、この野草の名前を近所の方から教えてもらい勘違いした。
名前からてっきり、野生のミョウガだと思い込んでいた。
夏、そうめんの薬味にしようと、群生していたヤブミョウガの根元を、
さんざん探したが、収穫はゼロで、なぜないのか不思議に思っていた。

あとで、葉はミョウガの葉とよく似ているが、全然別ものと知った。 
こちらはツユクサ科の多年草で、ミョウガはショウガ科の植物。


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夏草

2014-08-15 13:51:58 | Weblog



       目に見えぬ 空のかなたゆく

       一羽の小鳥になりたい


       ただ一度聞いて

       いくたびも思い出される うたになりたい



       そよ風にゆれる

       ゆかの上のしらゆりの影になりたい


       すぎたむかしのすべてに値する

       愛のこだまになりたい   


       忘れはてて 二度とかえらぬ

       希望のその記憶になりたい       
                                』
                        


          クリスティナ・ロセッティ 『 のぞみ 』 
           イギリス女流詩人(1830~1894)
                   (三井ふたばこ 訳詩) 


        * 三井ふたばこの父は、詩人、西条八十。



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日本薄荷

2014-08-11 13:28:49 | Weblog

城跡公園を歩いていると、小川のほとりで
ふっと目に止まった野草があった。
どこかで見たような。 
ずっと昔、遠い記憶の中の野草。 

もしか・・・・
小さな葉を一枚摘んで香りをかいでみた。 
懐かしく、やさしい匂い。 
薄荷(ハッカ)だった。 正式な名称、日本薄荷。

昭和三十年代、私が小学生の頃は、
東京にも原っぱがたくさんあってよく見かけた。
縁日で売っているハッカのお菓子の匂いがした。
子供たちは甘いものに飢えていた。
遊んでいるときに見つけると、葉を摘んで指で揉み、
その匂いでハッカ菓子を思い出していた。

水辺に多く出る、シソ科の多年草。
淡いピンクの花をつける。
洋種のミントの香りよりも淡い匂いがする。


からだの形は、生命の器           
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八月の石

2014-08-09 13:38:32 | Weblog

『    
     
     八月の石にすがりて

     幸多き蝶ぞ いま 息絶ゆる

     わが運命を知りしのち

     たれかこのよく烈しき

     夏の陽光のなかに生きむ

     ・・・・・         
                  
                        』

伊東 静雄(1906~1953) 長崎県出身、詩人。
「 八月の石にすがりて 」


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