形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

コジュケイ(小綬鶏)

2011-06-24 18:12:15 | 自然と野遊び

城址公園の雑木林のどこかでコジュケイが鳴き始めている。
たいへん用心深い鳥で、めったに姿を見ないが、鳴き声だけは
はっきり聞こえてくる。 
この鳥、かん高い声で「ピー!ピー! ピー!」から始まり 
最後に「 ちょっと来い、ちょっと来い 」 と鳴く。
いったんそう聞こえると、それ以外には聞こえないから不思議だ。

愛犬レオはもともと音に敏感で、この「 ちょっと来い 」が聞こえると
鳴き声のするほうに向かって吠えまくる。 早朝鳴くことが多いから、
こっちはたまらない。 たちまち眠りを破られる。 
「 ちょっと来い 」に、「 なにー! 」 のつもりか。
コジュケイより、レオのほうがよっぽどうるさい。
「 うるさい! 」 私の怒鳴り声で、レオは吠えるのをやめる。





鳴くのはオスで、繁殖期の今頃がその時期。
キジの仲間で、温暖な地方の雑木林の多いところや里山に生息する留鳥。


形之医学・しんそう療方 東京小石川
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ザリガニの味

2011-06-22 15:46:52 | 自然と野遊び

小学校低学年の頃、東京駅までおふくろに連れていかれ、
初めて一人で汽車に乗って、おふくろの郷里、桑名まで行った。 
といっても一人で行ったのは名古屋までで、名古屋駅には
おふくろの姉の旦那、イサオおじさんが迎えにきてくれていた。

イサオおじさんは頭がきれいに禿げていたが背が高く、
とてもほがらかな人だった。 駅で私を見たとたん、
「おお!一人でよく来たな~!」  
と大きな声をかけてくれた。

名古屋で桑名行きの電車に乗ろうとしたら、乗客が降りないうちから、
みんながド~ッと乗り込んで行った。 降りるほうは必死で、泳ぐように
して降りていた。 イサオおじさんも、大きな体にまかせて先に乗り込み、
小さい私はおじさんにしがみついて一緒に乗った。 当時の日本は今と違い、
マナーがメチャクチャ悪かったが、人々のバイタリティーは凄かった。

翌日から大好きな網でやる魚獲り三昧の生活が始まった。 
その頃は都会でも田舎でも、子どもたちは集団でよく遊んでいた。 
リーダー格の年長の少年が、みんなをまとめて面倒を見、小さな子も
リーダーにくっついて遊んでいた。 

連れられて行って驚いたのは、田んぼのそばの小川に、ザリガニが
たくさんいたことだ。 濁った水の中に垂れ下がった、アシの葉っぱに
つかまって、遠い向こうまでズラーっと並んでいた。 
もっと驚いたのは、子どもたちがザリガニを見向きもしないことだ。 
東京じゃ考えられなく、みんなが獲ろうとしているのは魚だけだった。

その魚獲りも、私から見たらシロウトの獲りかたじゃなかった。 
東京の子どもが、竹の棒の先についた丸い網で、頼りなげに獲るのと
違うのだ。 連中は手慣れたふうに小川に入り、柄のない大きなザル
みたいな網をアシの茂みの中に受け、サッと片足で茂みを反対から、
ガシャガシャとかき混ぜ、網の中に逃げてきた魚をすくい取る。 
なんでもU字の形に穴があって、片方から脅すと反対側から飛び出してくる
そうだ。 魚は大小のナマズやフナ、鯉、雷魚、たまにウナギが入った。

私はザリガニが気になってしかたなく、リーダーのマサシちゃんに
獲ってよと頼んだ。 みんなはなんでこんなものを?!みたいな、
びっくり顔で私を見たが、それでも獲ってくれた。

簡単である。 ただ網を持って、アシの葉っぱにつかまっているザリガニを
道を歩きながら、ザーっとすくい取るだけだ。 2、3回すくって持っていった
バケツにいっぱいになった。 私はバケツを持って帰り、叔母に茹でて食べ
させてくれるように頼んだ。

夕食にそれが出てきた。 真っ赤に塩茹でにされたザリガニは、竹の大ザルに
山盛りでうまそうだった。  ところが食べてみると意外に身がなく、
けっこうな大きさのものでも、尻尾のところにほんの小指の先ほどしかないのだ。 
それにかなり泥臭かったが、全部食べた。 夜中になってお腹を下し 
何度も便所に駆け込んだ。


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錦鯉でガックリ

2011-06-10 15:17:31 | 自然と野遊び

千葉の片田舎、佐倉に来た当初、友人たちがよく来て、
小さな川で一緒に魚獲りをした。 子どもの頃にやった
魚獲りを、またやってみたいというのだ。

私の住むところは、広い印旛沼に直接、間接につながる、
中小の川が網の目のようになっている。 魚の多そうな
小川で、挟みうちにして魚を獲ろうと、いつも手製の大きな
網を2つ持っていく。

向こうで友だちが網を構え、こちらからも挟みうちで、
互いに近寄っていく。 すぐ近くまで来ると、網には
逃げ場を失った大きな魚が網にぶつかり、ゴツゴツと
当たる感触がたまらない。

あるとき、よ~し、せーの と一気に網を上げると、
なんと友だちの網に、他の魚に混じって、紅白の錦鯉が
入っていた。 30センチぐらいものだが、なんだかガッカリした。 
自然の魚を獲ってるのに、なんで錦鯉?  という気分なのだ。 
錦鯉はどこかの庭の池でしか見たことがない。 
赤と白の模様は、どこか人工の匂いがして自然の場所に合わない。 
川や沼にいるのは、あの黒っぽい野性的な鯉だ。 
きっとあの錦鯉は、どこかから逃げ出してきたのだろう。 


子どもの頃、台風などが来た後には、ちょっとした楽しみがあった。
今のようにマンションなどなく、家々では、庭に小さな池をつくっている
家がずいぶんあった。 池には縁日の金魚すくいで獲った、金魚などが
入れてあった。 私の家でも、コンクリートでできた、オヤジの手作りの
ひょうたん型の小さな池があった。 

当時は今のような、大きな下水道がなく、道の脇のドブが下水みたいな
ものだった。 だから大雨が降ると、すぐに水があふれ、池とドブが
つながり、金魚が逃げ出して、ずいぶん離れたドブに泳いでいたりした。 
いつもは家庭から流される、黒っぽいドブ水だけで生き物がいないから、
赤い金魚が泳いでいると、なんとなく不思議な感じがした。 
金魚はすくって、家の池に入れ、儲かった気分になった。


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