形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

毒草・タガラシ(田枯らし)

2012-05-22 13:59:39 | Weblog

タガラシは以前書いた、キツネノボタンと同じキンポウゲ科の野草で
たいへん似ている。 出るところも同じで湿気の多いところだ。 

タガラシは"田枯らし"と書くのかと思っていたが、"田辛子"という説も
あるようだ。 タガラシもキツネノボタンと同じく毒草である。 
その毒成分で、噛むと辛いから田の辛子、田辛子となったという。 

そこで葉っぱを1枚かじってみた。 全然、辛くない、無論、マズイ。
毒草には違いないのだろうから吐き出した。 そこで田辛子は間違いで、
正解は田枯らし説と勝手に決めた。

田枯らしというのも、田んぼを枯らすほど繁殖するという説と、田枯らしが
よく生える田んぼは、栄養が足りなく、稲があまり育たないからという説も
あるようだ。 キツネノボタンとの見分け方は簡単で、タガラシは葉が厚く、
縁の切れ込みが丸みを帯び、ツヤツヤしている。


からだの形は、生命の器 
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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岩清水

2012-05-21 14:29:26 | Weblog


   清水のむ 底まで透るさびしさに


               柴田白葉女(1906~1984)

 
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ジシバリ(地縛り)

2012-05-16 15:03:31 | Weblog

地縛りは別名、岩苦菜(イワニガナ)ともいう。 日当たりのいいところなら、
どこにでも見る。 山の岩のわずかに積もった土にすら生えていることがある。 
縦横に細い茎を這わせ、そこから根を出して拡がっていく。 
その様子から、地を縛るという意味のこの名前がついたそうだ。 

茎を折ると白い液が出てくる。 苦菜というぐらいだからなめると苦い。 
だが毒はなく、この苦味成分からか、民間では健胃薬として使われてきた。 
茹でて食べられるそうだが、私は試してみたことがない。 
葉は野菜のつまみ菜によく似た、小さな丸い形をしている。 
キク科の多年草で4月頃から7月にかけて花を咲かせる。


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オニタビラコ(鬼田平子)

2012-05-14 12:54:30 | Weblog

この野草は野原や路傍などでもよく見かける。 家の近くでも、
少し高台になった日当たりのいい斜面に群生し、季節になると
黄色い花を咲かせている。 地面に近いところに葉叢をつくり、
細長い茎を伸ばして花をつける。 最近、治療所のある小石川でも、
アスファルトの小さな割れ目からひとつ出ているのを見つけた。
雑草の持つたくましさには驚かされることがある。

名前の由来を調べてみると、「田」んぼの「平」たい「子」という、場所と
形からきているようだ。 「鬼」というのは、鬼ワラビのように大きなもの
につけられることが多い。





     * 写真は鬼タビラコのロゼット
  
「平」は、ロゼット葉を作る姿からきている。 ロゼットというのは、
タンポポの葉のように、地面に平たく展開する葉のことで、
その名前の由来は、「バラの花のかたち」だという。 
鬼タビラコもタンポポと同じキク科の仲間。 

春の野草、ナズナは別種のアブラナ科の植物だが、同様に冬は
ロゼットを形成して越冬し、春になると茎葉が上に伸びてくる。 
正月の七草のひとつ、ホトケノザは鬼タビラコの小型種、
小鬼タビラコでロゼットの形から仏の座とされたそうだ。
今はホトケノザはまったく別種の植物の名前になっている。


地面に平たいロゼット葉をつくるのは、調べてみると、茎をつくる分の
エネルギーが省略されるとか、冬の寒い時期、とくに南面の土地では、
土中に蓄えられた地温を受けるのに都合がいいなどの利点があるよう
だ。 ただ背の高い競争相手がいるところでは、陽の光を受けるのに
不利で、ナズナのように時期になると茎を伸ばして、葉を上につけて
いくものもある。 自然の知恵というしかない。


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勝負術

2012-05-11 12:49:19 | Weblog

将棋のプロ棋士の方と話していると、勝負は勝ちグセをつけないといけないという。
そのためには、どんな小さな対局でも全力で勝とうとしないとだめだそうだ。 
私が勝ちグセというのは、勝ち運のことですかと聞くと、そういうことばかり
じゃなくて、信用を失くさないことなんですという。

「信用?」
「そう、信用です。この人は手を間違えないという信用です」

それがあると、この人には無理な手や、無謀な手は到底通用しない
からと出来なくなるのだろう。 相手がのびのび指せず、手が縮む
ということもあるかもしれない。

反対にそうした信用を失くすと、ひょっとして間違えるかもしれないと、
逆転を狙った無理な手も指してくる。 棋士は持ち時間のこともふくめて、
ぎりぎりの勝負をしているから、対応を間違えると無理が通ってしまい、
ひっくり返されることもあるのだろう。

羽生さんなどはそういう意味で、とても信用があるそうだ。
人間同士の勝負だなと思い、とても興味深く話を聞いた。

以前、世界コンピューター選手権で優勝した、コンピューターソフト<ボナンザ>
と渡辺竜王の闘いは面白かった。 だが未来に、コンピューターがプロ棋士を凌ぎ、
ついにコンピューター同士の頂点の闘いになっても、それを見たり棋譜を並べて
みたいとは思わない。 乾いた数式だけの、闘いというより比較に過ぎないからだ。
そこには人間劇のさまざまなものがすべて欠落し、心を揺さぶるものがない。


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イカの酒盗和え

2012-05-09 16:18:33 | 男の料理

私の料理歴は長い。 高校生のとき、オフクロが半年ほど入院し、
代わりに下宿人も入れた7、8人の食事を、朝と晩作り続けて以来だ。 
山岳部にいたので、食事を作ることは苦にならなかった。 

しかし昔の山の食事は、エネルギー補給のためのエサみたいな
ものだから、家のとなるとそうはいかなかった。
オフクロの持っていた料理本を読んで片っ端から作り、
レパートリーを増やしていった。 ゴボウのキンピラのような
家庭料理から、皮から作る水餃子やフランス料理も作った。  
忘れられないのはフランス料理だ。 やたらに時間がかかった割に、
マズくてみんなが残し、二度と作る気がしなかった。


イカの酒盗和えは、その頃おぼえた料理。 
よくある、酒盗とただ和えるものとはちょっと違う。 
おかずに、酒の肴にもってこいだ。
 
* 酒盗は生きのいい、カツオの胃や腸から作り熟成させたもの。 
そまま飯つけて食べてもうまいが、クリームチーズやカマンベール
チーズによく合い、それらに乗せて食べてもうまい。


作り方:

1、刺身用のイカをさばき、塩辛に使うぐらいの切り身にしておく。

2、小鍋に酒、カップ半分ぐらい入れ、そこに酒盗を大サジ3、4杯
  入れ、軽く煮立たせ、火から降ろしてよく冷ます。

3、この漬け汁にイカの切り身を入れ、和えたらできあがり。
  ユズがある季節なら、散らせば香りがいい。 
  日持ちがするので、冷蔵庫でねかせ馴染ませてもなおうまい。 
  酒盗とただ和えるものより、生臭味が少なく味がマイルドになる。


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桜貝

2012-05-08 15:55:30 | Weblog

          あと
   ひく波の 跡美しや桜貝



松本たかし(1906~1956)
宝生流の能役者の家に生まれる。
病弱のため能役者を断念、その後、俳人に。

 
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植木屋の爺ちゃんビリヤードハスラー

2012-05-07 19:43:26 | Weblog

高校3年頃、寝てもさめてもぐらいビリヤードに凝った。 
夜、布団に入ると、天井にビリヤード台と球が浮かんできて眠れない。
この球の配置だと、こう突いて、球をここにもっていってと、布団の中で
考えて目が冴えてしまう。 しまいには枕元に紙と鉛筆を置いて、
四角い枠に球を書いて考えるほどだった。 その頃のビリヤードの主流は、
今のようにポケットではなく、ほとんどが玉同士を当てて何点の四つ玉だった。

学校をサボって、開店の午前10時から閉店近くまでやっていたことも
たびたびあった。 おかげで担任の先生から、このままいくと留年だとおどされた。
キュー(球を突く棒)もバイトでお金を貯めて、自分のキューを持っていた。
能書きは今でも言える。 最高のキューはカナダ産のカエデの芯材。
キューの頭の玉を突くところ、タップは、どこか忘れたが、どこそこの鹿皮のもの。 
滑り止めのチョークは、イタリア産の火山灰を固めたものが最高。

あるとき、ビリヤード場で一人で練習していると、角刈りの60歳半ば
ぐらいの、見慣れないお爺さんがふらりと入ってきた。 小柄で細く、
セルの黒くて丸いメガネをかけていて、顔は浅黒く日焼けしていた。 
仕事の途中に寄ったのか、地下足袋をはき、職人の長い紺色のハッピを
着ていた。 どうやら植木屋さんらしかった。

そのお爺さんから、ボーヤ、ちょっとやろかと声をかけられた。
一人でいた私は、少し退屈していたので、お願いします!と二つ返事。
お爺さんは、オレ、悪いから片手でやるからという。 どういう意味か
わからなかった。 

その植木屋のお爺さん、なんと台のフチにしゃがみ込んで、目玉を台の
上にちょこんと出し、肩にキューをかついで片手で突くのである。
それがまた、ベラボウにうまい。 たちまち私は負けた。
幾度かやったが、全然勝てなかった。 その頃、私は初心者ではなく、
夕方になるとサラリーマン相手に、1時間100円のビリヤード代を
賭けて、あまり負けたことがなかった。 お爺さんは、その体勢から
どうしても突けないと、球を突きにくいようにバラして、こっちに渡すのだ。 


あとになって、ビリヤードの元プロだった店のマスターに聞いたら、
そのお爺さん、若い頃は賭けビリヤードで飯を食っていたこともある、
セミプロの人だという。 あとにも先にも、あんな爺ちゃんハスラーは
見たことがなかった。          


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毒草・イラクサ(棘草)

2012-05-01 14:29:02 | Weblog

二十年ほど昔、東京から千葉県に引っ越してきてまもない頃、
家の裏手の草むしりをしていた。 少しすると、手のひら一面が、
まるで細かいガラス片でも刺さったかのように、痛みだしてきた。 
じゅくじゅくする非常に不快な痛みだった。 見えないようなトゲでも
刺さったかと思い、家に入って虫メガネで手のひらを見たが何もない。

手を何回洗っても痛みは消えず、不思議な思いで図鑑で調べてみた。
痛みの原因はこのイラクサだった。 引き抜いていた雑草の中に、
イラクサが大量にあり、それを知らずに素手でつかんでいたのだ。 
痛みは半日以上続いた。

イラ(棘)とはトゲのことをいう。 トゲといってもバラのような見える
トゲではない。 この草の葉は極微の刺毛に覆われていて、そのトゲは
中が中空になっているらしい。 そしてまるで注射のように、アレルギー反応を
おこすヒスタミンや、神経に作用する物質が注入され痛むそうだ。

中国ではイラクサを蕁麻といい、蕁麻疹(ジンマシン)という名前は、
この草に触れて腫れた状態に似ているところからきているという。
驚いたことに生薬に入っている。

この野草は山菜として有名な、ミヤマイラクサ(深山棘草)と同じ
仲間のものだ。 ミヤマイラクサのほうは、私の生まれた東北地方
ではアイコと呼ばれ、クセのないうまい山菜である。

ミヤマイラクサは深い山に出ているが、イラクサのほうはどこにでも
生えている。 両方とも半日陰のところに群生していることが多く、
多年草である。 決して毒々しいような野草ではなく、葉は見ての
とおりシソの葉によく似ている。 以前書いたオドリコソウの葉が、
イラクサによく似ていて、同じような場所を好むのか、混じっている
ことも多い。 なので踊り子草も花が咲いて確かめられるまでは、
怖ろしくて触れない。

イラクサもアイコと同じように、茹でると刺毛がとれて食べられる
そうだ。 食べられるのかもしれないが、あのときのいつまでも
続く痛みが忘れられず、城跡公園に沢山出ているが、採って食べる
気がしない。 軍手では刺毛を通すそうだから、ゴム手袋をつけて
採ればいいようだが・・・・ つまり、コリゴリしちゃったのだ。


からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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