湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

桜の邑…清滝

2013年04月10日 | 詩歌・歳時記

                       

今年も伊吹山の麓、清滝の邑へ「道誉桜」に逢いに行ってきました。


ばさら大名・佐々木京極道誉お手植えの「えぞ彼岸さくら」樹齢300年と言われてはいるが、

ちょっと年数が合いません。おそらくは2代目の桜でしょう。

青空からやわらかい滝の水のように、枝垂れ咲くちいさな花がかれんであります。

          清滝やまづ出迎への花吹雪

その横の3代目の若木も、この20年で樹高が伸びて、勢いは盛んです。

          静けさや花より生るる蝶ひとつ


                        

毎年、花を見るたびに「これが・・・最期かも」の感慨にふけります。

10句を得て、左側に清流が流れる参道のゆるやかな坂道を降りていきました。

          花吹雪いのち透きゆくごとくなり

            


伊吹山・退屈男

2013年04月06日 | 詩歌・歳時記

   

伊吹山の残雪が日ごとに消えて行き、やがて山容を人の顔に見立てるならば、額のあたりに

三日月の文様の最期の雪が耀くころには、里にも待望の春が訪れるのである。

その頃には決まって思い出す。 

「この額の傷をなんと見る!」 御大・市川歌右衛門の右手人差し指が指し示す、額の三日月の

傷あとである。 「直参旗本、早乙女主水之介の諸羽流正眼崩し、見事破ってみせるか!」

かっかっか・・・と笑う旗本退屈男の優美な殺陣を思い出しながら、伊吹山を愛でる季節である。

          近江とは水の王国風薫る

          散りゆくも花のいのちと思ひけり