湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

青き狼よ、今いずこ!

2016年10月27日 | 詩歌・歳時記
今はむかしのことながら、20歳になったばかりのこと。勇躍上京し、ある短歌結社の歌会にでた時のこと。数日たって女流歌人の敬愛する先生からこう言われた。
  
「あんたのことを若い女性たちが、“怖い”と言っていたわよ!」と。
その時にはまったく意味が解らなかったけれども、それから4、5年を経てすべてがよく理解できるようになったものだ。
  君おもひ
  渚にひろふ貝ひとつ
  逢へるあてなき秋のかたみぞ
女の子たちはほんの趣味の範囲で、たしなみとしての短歌会のお勉強であったのだ。それに引き換え、当時のボクは命ギリギリの場所で、野心に燃えたぎり、作詞家の修行・歌人としての鍛練に目をぎらつかせ、飢えた狼のごとく、発言する人の言葉を、魂全体で吸収するべく肩を怒らせて捉えようとしていたのである。
ちょいと可愛い、貧しい青年ではあったのだ。
  
  秋ふかむ湖のほとりに
  独りいて
  つぶやくごとく歌は生まるる
けれども、かっての青い狼も今は老いて・・・黄ばんだ牙と目やにのたまった瞳のままに、秋の野をうろうろとさ迷うばかりである。

さて! 最期の素敵な遠吠えを、いかに叫ぼうか? その野心はいまだ健在である。
  

最新の画像もっと見る

コメントを投稿