カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

政治と教養の街ワシントンDC(5)マニアック・ツアーに参加

2008-09-18 16:16:26 | 旅行:東海岸主要都市周遊
8月25日(月)ワシントンDC観光2日目。

持ってきたクッキーなどで朝食を済ませ、午前7時にはホテルを出る。
目指すは印刷局Bureau of Engraving and Printing。米ドル紙幣の印刷工場です。

現在アメリカの紙幣はテキサス州フォートワースとここワシントンDCで造られてます。
(ちなみにコインはフィラデルフィアとデンバーにて製造されてます)
ここの、米ドル紙幣の印刷工程をガラス越しに見学できるツアーは人気が高いんですが、
整理券はネット予約ができず、チケットブースに並ぶしかない。
観光シーズンには非常に混雑するというので、
整理券の配布開始は午前8時ですが、7時半には到着するよう出かけました。
幸い、夏休みも終盤とあって
待っている人の列はそんなに長くない。
8時きっかりに配布が始まり、順番が回って来た時点でも整理券はまだ充分に残っていて、
希望した時間(午後2時)のが確保できました。

思いの他、早々に印刷局の整理券が入手できたものだから、欲が出た。
国会議事堂United States Capitolのツアーにもチャレンジしようという事になりました。
こちらも人気の高いツアーなんですが、やはり整理券が必要でしかもネット予約不可。
おまけに、印刷局もこの国会議事堂も、整理券は一人につき一枚なので、
“二人で分担して並ぶ”っていう技が使えないんですよ。時間のない観光客には痛い。

議事堂の整理券の配布開始は午前9時なので、表通りに出てタクシーを拾うことに。
しかし、タクシーが流している場所と違うのか、なかなかつかまらない。
歩くしかないかと諦めかけた時、一台のタクシーが寄ってきて「どこまで行きたいの?」
「国会議事堂Capitolだ」というと、後部座席のおじさんが「僕もだよ、一緒に行こう」
アメリカでは、こういう“タクシーの乗り合い”というのは珍しくないんです。
親切なおじさんに感謝!

国会議事堂前に到着すると、こちらはすでに結構な人数の列ができていました。
おじさんと一緒に列の最後尾についたのとほぼ同時に、
20人ほどの団体客が到着。
いや~実にいいタイミング!
午前9時ジャスト。整理券の配布が始まりました。
こちらは時間指定できませんので、30人くらいずつ、順次見学ツアースタートです。

まずは建物に入る前にID確認と手荷物検査。
缶、ビン、ペットボトル、飲食物、スプレー、大きな鞄は持ち込めません。
議事堂の中に入ると、再度X線検査機を通ります。形式的とはいえチェックは厳重です。

ガイドさんに連れられて、正面入り口からロタンダRotunda(円形大広間)に入る。
イタリアの大聖堂のような、ドーム型の天井は高さは55.8mで、
フレスコ画『ワシントンの礼賛Apotheosis of Washington』で飾られてます。
イタリアなら宗教画で飾られるところでしょうね。
ワシントン、既に神様扱いです。

ロタンダの壁の上方には、帯状にアメリカを象徴するような出来事が描かれている。
こちらはカリフォルニアのゴールドラッシュがテーマ
こちらは独立戦争の様子
他にもライト兄弟の初飛行とかコロンブスのアメリカ大陸発見とか、興味深い内容。
そういえばワシントンDCの“DC”はDistrict of Colombia
訳すと“コロンビア特別行政区”で、これはコロンブスに因んだ名前なんですよ。

その下には、アメリカ400年の歴史上の大きな転機を描いた4点の大きな絵画。
独立戦争時の
戦場のワシントン
こちらはピルグリム・ファーザーズを乗せたメイフラワー号

絵の脇にはワシントンやリンカーン等アメリカを代表する人物の像が置かれています。
ワシントンの像の横には、独立宣言書を複写した金属板が飾られていました。
書面が出来たばかりの頃に作られたコピーなので、
文面やサインがよく確認できます。

次に案内されたのは彫像ホールStatuary Hall
南北戦争の名称リー将軍や、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師など、
アメリカ50州がそれぞれに選んだ人物2名の彫像が寄贈され、ここに陳列されています。

この部屋には面白い仕掛けがあると言って、ガイドさんが我々を部屋の隅に立たせ、
自分は反対側のあるポイントに立ち、そこで床に向かって小声で話す。
すると、我々のところでもその声がはっきり聞こえるじゃありませんか。
説明を受けた後、自分達で試してみる見学者達

最初からそうと計画していたわけじゃないそうですが、ちょっと面白かったです。

議事堂内で見学できるのはこの2室のみですが、なかなか見応えがありましたよ。

国会議事堂
United States Capitol


East St.at 1st St.
Washington,DC20515

※ホームページ→こちら

国会議事堂の裏には、議会図書館Library of Congressがあります。
世界最大の蔵書数を有する国立の図書館で、収蔵品の展示も行っている。
メインのトーマス・ジェファソン館は、ツアーで内部が見学できます。
次のツアーは10時半から。時刻もちょうど良いので参加してみました。
上品そうな老婦人が案内役。物静かな語り口で館内の装飾について説明してくれます。
手すりの彫刻や、
床面の細工や、
壁面や天井を飾るモザイク、

確かに見事です。が、、、
説明が長いっっ!
長すぎる~!!


英語がよく分からないせいもあって、途中からちょっと(かなり)退屈~になりました。

2階に上がって(ここでも延々、装飾の説明があります)、ようやくお待ちかねの部屋へ。
映画『ナショナルトレジャー』にも登場した円形閲覧室です。

他のツアー客もコソコソ映画の話をしてました
壁面上部にはアメリカの偉人達の像が並ぶ。
天窓の装飾も見事です。
この部屋、実は写真撮影禁止なんですが、
ツアーの一行が部屋を出る間際にこっそり撮っちゃった!ナイショ!!
この閲覧室は会員でないと利用できません。
また先ほどの展望室もツアーに参加しないと入れないです。

これにてツアーは終了。
解散後、展示室を見学しました。これはツアー参加でなくても見学できます。
『グーテンベルクの印刷術による聖書』は、世界史の授業にも出てくる逸品。
『独立宣言書の草稿』には、起草者ジェファーソンの手書きの修正痕が見られる。
本の虫だったという“ジェファーソンの図書室の復元”は圧巻でした。
議会図書館
Library of Congress


10 1St.SE,
Washington,DC20540-5240

※ホームページ→こちら

時刻は12時半を回りました。朝が粗食だったので、お腹がペコペコ。
それに見学ツアーでずーっと立ちっぱなしだったので、けっこう疲れた。
ランチ休憩しましょう。

Independence Ave.をはさんだお向かいにあるジェームス・マディソン記念館
ここの上にカフェテリアがあって、一般の人でも利用できるんですよ。穴場らしい。

入り口でID確認と荷物検査を受け、エレベーターでレストラン階まで一気に上がる。
ショッピングモールのフードコートのように、いろいろなメニューのコーナーがあって
個々に好きなものを選んで、最後にレジでお会計。
サンドイッチとパスタです。
なかなか美味しかったよ~

元々は職員用だからでしょうか、お値段も良心的でした。
ビルの最上階なので見晴らしもよくて、のんびりしちゃう。

1時過ぎまでゆっくり過ごして疲れをとったら、次に向かいます。
お次は印刷局Bureau of Engraving and Printingの見学ツアーです。

集合時刻の“開始15分前”に行ってみると、既にツアー開始を待つ人が列を成していた。
そこへ白人4人組がふらりと現れ、係員に見学したいと交渉するも、あえなく玉砕。
先ほどの国会議事堂や議会図書館、この印刷局などの内部見学ツアーは、
外国人観光客よりむしろアメリカ人に人気があるようですね。
この日はまだ(一応)夏休み中なせいか、親子連れが多かったです。社会科見学って感じ?

ツアー開始時間になったらチケットの確認、手荷物検査をして入館。
通路にはお札が出来るまでの工程説明などの説明展示が並んでる。
こちら裁断前の1ドル札の束

しめて100万ドル也!

ツアーではまず、印刷局についてのビデオを見ます。その後、内部の見学がスタート。
といっても工場内に入れるわけではなく、見学用の通路から室内を見て歩くだけだけど。
それでも辺りにはインクのにおいがするし、機械音が響くし、臨場感たっぷりです。

ツアーでは1ドル札が1シートに32枚ずつ何段階かに分けて印刷され、乾かされ、
検査官の肉眼(!)による厳重なチェックを受けた後、シリアルナンバーが入り、
1枚ずつ裁断され、100枚の束にされ、帯封され、40束で封印され、出荷される、
その工程を順番に見ていきます。
なかなか生々しくて興味深いんですが、残念なことに、内部はすべて写真撮影禁止。
ダンナが隣で「写真撮りたい~」と悶絶してました。
そもそもこのツアーは、ダンナの希望だったもんねぇ。

要所要所では、ビデオなどで解説(英語)が入ります。
1ドル札の寿命は約1年半だとか、1枚のお札を印刷する経費は25セントだとか、
印刷局を出荷されたお札はまだ実際には使用できず、
FRB(連邦準備銀行)に送られ、ここで出荷ケースのバーコードを読み込み登録して
初めて流通通貨としての効力を発揮するんだとか、
ところどころトリビアもあって面白かったです。

そして意外に楽しかったのがおみやげ物コーナー
定番の?お札ロゴのTシャツや記念硬貨などの他に、お札に関するお土産が並ぶ。
『お札で折り紙』なんて本も売ってました。(誰が買うんだ・・・)

各ドル札のシート(注:額面より高い&切っても使えない)を売ってたので、
日常生活でまずお目にかかれない2ドル札のを買ってみました。
お札のナンバーが7や8が並んだ“吉利銭”は、中国人向けのお土産のようです。
これまでにここで印刷されたお札や債券などの展示
(非売品)
シュレッダーされたお札を
お土産として売ってた。
商魂たくましい?
(結構買っている人が居ました)

こちらは「あなたの身長は何ドル相当?」というコーナー。

左側の筒は、シュレッダーされた100ドル札が入っています。
高さによって金額が表示されていて、自分は幾ら分の身長なのかがわかるというもの。

ちなみにウチのダンナのお値段は158万4,400ドルでした

意外に遊び心たっぷりの印刷局ツアー、お時間のある方は一度お試しくださいませ。
印刷局(造幣局)
  Bureau of Engraving and Printing


14th and C Sts.SW, Washington,DC

※ホームページ→こちら

こちらのツアーは荷物の持ち込み制限が厳しいです。
クロークはありませんので、どうしても荷物を預けたい人は、
お隣のホロコースト記念博物館を利用するとよいでしょう。