館山から木更津で途中下車(ま、お仕事でなんですけども…)
いいタイミングでした。悪麺友らんちばさんが先日木更津の老舗店の記事を書いたばかりだったので。
http://blog.livedoor.jp/lanciba/archives/51875960.html
これにはやられました。いかんせん、このお店の前を僕はもう何度も通り過ぎていましたからね。存在自体は知っていましたが、素通りしていました。あー、全然まだまだ「見る目」がないなぁ、と激しく反省しましたね。
こちらのお店は駅すぐ。駅から2分くらいかな。改札からだと3分かかるかな、という絶妙の距離にあります。店頭に立つと、、、
なんともそそるミニ看板が掲げられております。ラーメン一杯500円って。。。
お店に入ると、気さくそうなおじちゃん店主さんがおられました。かなりアットホームな感じです。まさにローカルに根付いた地元のラーメン屋さんといった感じ。木更津の海側はかつてはとても栄えていたそうです。店前のアーケードには人があふれ、活気があったそうです(タクシーの運転手さん談)。高度経済成長期は本当ににぎやかだったそうです。
しかし、現在の木更津駅前は本当に静かです。人が郊外に住むようになり、それも反対側の陸側に人が移っていきました。そういうこともあって、昭和の面影を残しながら、とても静かな街になっています。そんな街の片隅に今はひっそりと立っているお店という感じでした。このお店の先には、ラーメンが美味しい『木村屋食堂』もあります。
そんなローカルなニュー東京ですが、創業60年の老舗ラーメン店です。現在は二代目。二代目のお父様が開業されたそうです。味は当時のまま(店主さん談)。値段は500円ですが、創業当時は50円くらいだったとか。
メニューは、、、
色々とありますね☆ まずは、ラーメンでしょう!
出てきた瞬間に、「うわ~」と、しみじみ嬉しくなりました。このヴィジュアル、もう溜息ものです。単にノスタルジックだからとか、そういうのではないです。「本当に美味しい一杯」を感じるヴィジュアルなのです。なんてことないんですけどね。だって、のり、メンマ、チャーシュー、ねぎだけですからね。それだけ。なのに、吸い込まれるような美しさがあります。
お味は… すっとするすっきり感があります。豚骨主体かなと思いきや、なんと豚骨100%なんですって。で、醤油味。しかも、醤油タレではなく、醤油そのまんま。つまり純粋な豚骨醤油ラーメンなのです。世間では「豚骨醤油」=こってりというイメージがあるかと思いますが、違うんですね。店主さんは、「これが豚骨醤油だよ!」とおっしゃっていましたが、その通りで、これが豚骨醤油の基本であり、ゴールであると思います。豚骨=白濁だと思っている人は、是非こちらで「ホンモノ」のあっさり豚骨醤油ラーメンを食べていただきたいです。
僕はずっと、「醤油」をそのままタレとして使うことをNGだと思ってきました。そして、ラーメン=油だとずっと思ってきました。が、館山のお店でもそうでしたが、房総の老舗店では、醤油をそのまま使う傾向があるのです。竹岡ラーメンは、逆に動物ダシを使わず、チャーシューの煮汁をお湯で割ります。どちらにも共通しているのは、シンプルで、それほど複雑ではない、ということです。時代性もあるのでしょう。いかに低コストで美味しいラーメンを作るか、と。そういう「思考」が働いていたのだと思います。現在は食材に凝り、大量の食材を投入することで、クオリティーを高めています。「原価率」という言葉も飛び交います。ですが、その考え方自体、本来のラーメン作りとは違う発想なのだと思いました。
スープを味わっていると、「昔ながらの味だなぁ」としみじみ思います。舌の肥えた食通的なラーメンフリークの人には、「なんだよ、どこにでもある味じゃん」と思われるかもしれません。都会的なラーメン、80~90年代以降のラーメンに慣れた人には、陳腐な味に感じられるかもしれません。けれど、目を閉じて、舌先に神経を集中させて、味わってみてほしいです。醤油+豚骨のピュアな味わいがダイレクトに感じられると思います。
それから、麺。こちらの麺は、内房でおなじみの「文明軒」の麺です。が、他のお店で茹でられている麺とは明らかに触感が違います。店主さんも、「麺は同じでも、うちのは違うだろ?! 茹で加減が難しいんだよ」、とおっしゃっていました。本当にそうなんですね。同じ文明軒でも、全然食べた時の印象が違うのです。僕も文明軒の麺には幾度と出会ってきました。ですが、「おお!」と唸るような麺ではありませんでした。が、こちらニュー東京で食べる文明軒の麺は、絶妙でした。ちょっと乾麺っぽい触感というか、ポキポキで、コリッとした噛み心地というか、そういう麺になっていました。
そして、チャーシュー。500円にして、この大ぶりチャーシューが二枚も入っています。このチャーシューもまた「手本」となりそうな逸品でした。こういうチャーシューって、ホントノスタルジック系ラーメンにあいます。というか、こういうスープのために、チャーシューが作られたのではないでしょうか。らんちばさんの「チャーシュー不要論」ではないですが、イマドキのラーメン屋さんのチャーシューは、スープを引き立てたり、スープをより美味しくさせる機能を果たしていない気がしますね。こういうスープだからこそ、チャーシューが映え、また、こういうチャーシューだからこそ、スープがより引き立つのだと改めて実感しました。
謎のみそラーメン!?!
昭和の面影を強く感じるワンシーンを見ている気がしました。
昭和の映画の世界に立っている気持ちになりました。素敵です☆