Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

Babyklappe(赤ちゃんポスト)は法律違反か?(2)

Babyklappeは法律違反か?(1)の続き

あるいは、相談が不足しているだけなのだろうか?
「なぜ女性たちは赤ちゃんポストを利用するのか」、ということに関してはほとんど何も知られていない。児童相談所の児童福祉司たちは、部分的ではあるが、詳細を知っている。例えば、カールスルーエでは一人の女子大学生が自分の新生児を赤ちゃんポストに預けた。彼女は、子どものことについて尋ねるため、預けてから数週間後に匿名で電話をかけた。その時、彼女は、相談しようという気持ちになることができた。その後、養子縁組の可能性のことをこの若い女性は知らなかった、ということが判明した。結局彼女は、匿名性に反することを決心し、非常に慎重に、規則通りに、自分の子どもを養子縁組に託することを認めたのだ。カールスルーエではさらにこんなケースもあった。子どもの父親が、子どもを赤ちゃんポストに預けるよう、母親に強要した、というケースだ。預けられた子どもはすでに生後数ヶ月であった。子どもの父親はもう養育費を支払いたくなかった、ということだった。児童相談所が幾つかのケースについて説明してくれた。ベルリンでは、次のようなことがあったというのだ。預けた女性たちの一人として絶望的な困窮状態に陥ってはおらず、子どもも全く危険な状況に脅かされていなかった。あるケースでは、一人の母親が、病院での出産後、帰宅途中に自分の赤ちゃんをその病院の赤ちゃんポストに置いてしまったのだ。病院の職員(看護師?)がその赤ちゃんの存在に気付き、母親に電話をかけた。彼女は、経済的に非常に厳しい状況のために、とっさにそうしてしまったのだそうだ。本当は、彼女は自分の子どもを育てたいと思っていた。だが、彼女はその他の子育て支援を何も知らなかった。赤ちゃんポストの運営者たちは、「多くの女性たちは自分の子どもと離れたい」、
とは思っていなかった。しかしまた、彼女らがそれ(離れたいということを)を望んでいたとしても、彼女らは匿名性を重要視しなかっただろう。彼女らは、相談することができたらすぐに、赤ちゃんポストとお別れするのである。

また、事例の数も、これまでのところ、赤ちゃんポストが子どもの死の止めてくれる、ということの証明にはなっていない。どのくらいの新生児が放り出されたかについての公的な統計はない。ただ、子どもの死が何かを示してくれてはいる。すなわち、1998年まで、これらのケースは、当時のパラグラフ217条(法律)に従って説明されてきた。それによると、1987年から1998年の間に、平均して、26人の新生児が母親によって殺された。全体的に逆向きの(後退)現象が問題となっていることは間違えない、と、メルゼブルクの高等専門学校のウルリケ・ブッシュ氏は言っている。すなわち、1954年以来、死者の数は五分の一にまで減少した。近年では、死者の数は、年間におよそ20~25人であった。ドイツ社会治療学・青年医療学会(DGSJ)のウーテ・タイイェンは、死の原因の統計を提示する。それによると、1980年以降、虐待やネグレクトや殺害などによって死亡した新生児の数はほぼコンスタントである。時折議論で取り上げられる実際の(統計上に現れない潜在的な)数値には根拠がないのである。実際の数字に基づいて、子どもの死の増加を考えねばならないのである。ドイツでは、2006年7月中旬までで、すでに20人の赤ちゃんが死体で発見されている。

赤ちゃんポストの有効性に関する意見は分かれている
反論者の見解によると、ただ単に数だけでなく、ケースそれ自体も、赤ちゃんポストの有効性を示していない。周知の児童遺棄のどれをとっても、「子どもたちは危険にさらされている」という事実は認められない、と、スヴィエンテック氏は語る。子どもたちは、温かい服を着せて、すぐに発見されるにぎやかな(人通りの多い)場所に連れて行けばよかったのだ。赤ちゃんポストの反論者たちは、「自分の子どもに生き抜いてもらいたいと思う人には、十分な可能性があるのだ。赤ちゃんポストは必要ない」、と言っている。それに対して、死んで発見された子どもたちの場合、ほとんどすべてのケースにおいて、実際の殺害が問題となる。遺棄の結果として死んでしまう子どもはほとんどいないのだ。他方、赤ちゃんポスト支持者たちは、こうした議論を軽率な議論だと考えている。彼らは、「安全な遺棄など存在しない」、と主張する。 赤ちゃんポストに向かう姿勢は分かたれている-だが、赤ちゃんポストはもはや法的なグレーゾーンに留まることはできないということに関する意見は、ドイツ連邦議会の各派閥の間でも見事に一致している。現在、立法者は、この議論を終わらせようとしている。そして、赤ちゃんポストの合法化の可能性を試そうとしている。このことは、CDUとSPDの間の連立の中で、取り決められたことでもある。

≪おしまい≫

ようやく翻訳終了~♪ 今回のこの記事は、どちらかというと赤ちゃんポストの法定化、合法化をめぐる議論が内容的な中心であった。この文章を読んではっきりと分かったことは、法や社会を専門にする識者と、現場で遺棄された子どもと日々かかわる実践者との深い対立がある、ということだ。おそらく、医者側からすれば、これ以上の児童福祉はない!と考えるであろう。だが、法学者や憲法学者は、「NO!だ!」と考えるだろう。データも真理であるならば、実際に見たこと・聞いたこともそれ以上にリアルであり、真理であるのである。今回登場した識者は、赤ちゃんポストの意義や価値について全く理解していないようにも思える。もちろん、正確な数値や結果を出すことも重要であろうが、それ以上に、目の前の子どもをどうするの?という視点も重要なのではないだろうか。ドイツも、予想以上に子ども殺しが起こっていた。まだまだ学ぶべきことはたくさんありそうだ・・・

zzzzz....

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