ある本から抜粋したこの絵は、あるドイツ人のリビングルームである。この絵は、ドイツ人と彼らのリビングルームについて、人々が抱く印象を教えてくれている。ドイツ人のリビングルームは、整理されていて、綺麗で、よく手入れされており、すべてが無駄なく使用されている。それゆえ、この大きな部屋には、最終的に、応接セット、戸棚、本棚、机の間に、食卓の部屋とテレビ機器に続く細い小道が残るだけである。家族の役割も、近代的な社会の発展には動じていないかのように見える。子どもたちは、すでに整頓された子ども部屋に愛情深く連れていかれ、もしかすると「アルプスの少女ハイジ」のラジオドラマのテープをまだ聴いているかもしれない。母親は、アイロンをかける前に一口分の酒を飲んで、一日の疲れを十分にすっかり取り払ってしまう。父は、休養し、テレビを見て、ワインを一杯飲む。一杯だけだけれども。
そして、もしこうした家族たちが死に絶えていなかったとしたら、彼らは今日もなお生き続けているだろう(=こうした家族はすっかり死に絶えたのだ)。
“wohnen”というドイツ語は、言語史的には、古代アイスランド語の“una”からきている。この語は、満足を感じている、満足している、満足したままである、という意味である。この満足的なものは、「くつろげる家庭にまさる幸せなし(Trautes Heim, Glück allein)」ということわざの中にも見て取れる。こうした絵やことわざによって示されるドイツ人の満足感やドイツ人の住居の牧歌的風景は、むろん、現実によってとっくの昔に解体させられている。
90年代初頭、ドイツの家賃は生活費よりもはるかに上昇してしまった。住居の需要は、およそ270万の供給を超えてしまったのだ。人々の多くが住居を探している。これと共に、住まいの市場は引き裂かれた。値段の高い住居はかんたんに入手できるのだが、収入の乏しい家族は住居を手に入れることができない。90年代初頭の西ドイツでは、家賃のために自分たちの収入の23パーセントを充てることができた。特に人口密集地域(デュッセルドルフ、ケルン、フランクフルト)の家賃は、支払えないほど高騰し、一平方メートルにつき15マルクに達してしまった。また、住居空間の高い需要は、この25年の間におおよそ120パーセント、650万人の単身者所帯の数の増加によるものでもある。それに加え、住居空間の要請も高まってきている。90年代初頭、西ドイツの平均的住居面積は、37平方メートルで、東ドイツは26平方メートルであった。ドイツでの住居不足の戸惑いは、とりわけ、年金生活者や失業者や公的扶助を受けている人など、収入の低い人間にある。したがって、満足する住居の夢は、ドイツでは、非常に高くつくのである。
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