散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

夢遊 Ⅳ

2005-10-13 20:13:57 | 夢遊
その森は冬でもないのに殆どの木は裸だ。
私は複雑な歩き方で木々の間を蛇行しながら向こうに見える明りに向って歩いている。虫が灯りに誘われるように何が何でも急いで光源に辿りつかねばいけない気持ちになっている。
あたりは裸の木はかりなのだから頭上は明るい筈なのにどうしてか薄暗い。
だから前方の光は目が眩むほどだ。グルグルグルグルと渦巻きながら歩くので光源は近づいたり遠ざかったりしながら、なんとなく前進してはいるらしい。遠いなあと思ったその途端に明るみに放り出された。
そこは知らない寂れた村で、突き当たったのは商店街らしい。。。らしいというのは私の視線方向以外は眩しくてハレーションを起こした写真のようでよく見えないからだ。
私はある店の前に立っている。それは古臭い鄙びた店で白地の看板に黒ペンキで“たたたたたたた”と書いてある。“た”が7回続いていた。
店を眺めるとそれは本屋で、昔行ったことのある古本屋によく似ている。
中に入って本を見たいと思ったが、背表紙の字がよく読めないので選ぶ事が出来ず、途方に暮れていたら目が覚めた。
あの本には何が書いてあったのだろう?
開けると“た”しか書かれていなかったのかもしれないのだけど。
                 

8階建ての建物から外を眺めている。ああ、向こうに見える緑は水神様だろうか。左手はるか向こうに高層ビルが見えている。
(ドイツに来る前、私は西早稲田の都電面影橋前のマンション8階に住んでいた。)
ふと上を見上げると空に大きな、実に大きな“地球”があって、それは私の視界の4分の一程を占めているくらいに大きく手を伸ばせば触れられるかのようだ。
地球儀のように日本は黄土色で焦げ茶の陰をつけて真っ青な海の中に存在しているのが見える。「ああ、あそこに彼等がいるのだなあ」と思いながら、すぐに届くから大丈夫だなあ、と心に思う。
視線を水平に戻した時、右のほうに気配がしてそちらを見るとまた別の惑星がゆっくりこちらに向って動いてくる。月だ。
目の前を通り過ぎて間もなく今度は火星が通る。その後水星、木星、金星も土星もそれぞれゆっくり通り過ぎる。どうやらマンションの周りを回っているらしく何度も回ってくる。中にはビーチボールで出来た星もあったりするが、一定の速度で回って行くのだ。それはいつまで見ていても飽きない光景で、目覚めた時には「ああ美しいものを見た。」と幸福感が残った。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
!! (Hummel)
2005-10-13 20:28:28
ああ、面白かった。次はどんな夢?
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Hummelさんへ (seedsbook)
2005-10-13 20:51:06
次は。。。

どんな夢かお楽しみに。

今朝も美味しい魚を食べた。美味しかった。

よっぽど食いしん坊なのか?私?

でもおかげでバスに乗り遅れた。

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偶然ですが、 (lapis)
2005-10-14 01:19:09
僕も夢の記事を書きましたので、TBさせていただきます。

それにしても、後半は、壮大な夢ですね。僕にCGを作る技術があったら、是非とも映像化してみたいところです。一度くらい、これくらいスケールの大きな夢を見てみたいものです。

次の夢も期待しています。

僕の場合は、悪夢だったので、途中から夢から離れてた内容になってしまいました。(苦笑)少し夢からずれていますが、よろしくお願いいたします。
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Lapis さんへ (seedsbook)
2005-10-14 01:39:50
偶然"夢”でしたか。それは面白いですね。

私も映像に再現して見たいものだと思いますが。。。

それではこれからそちらに伺います。TB有難うございました。
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Unknown (shigeyuki)
2005-10-14 21:58:29
「たたたたたた」と言うと、「北斗の拳」という漫画を思い出しますね。

ところで、seedsbookさんの生まれ育った面影橋から程近い、地下鉄高田馬場駅近くに、「キノコノクニヤ書店」という、頓知の利いた名前の古本屋があります。で、その古本屋は何件も、例えば「象のあし書店」とか「本とうです。」とか「猫の手書店」とか、そういうふざけた名前の系列店を持っているのですが、中の一つが「あたた書店」と言うのです。。。祐天寺にあるようです。
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shigeyukiさんへ (seedsbook)
2005-10-14 22:11:07
キノコノクニヤ、象の脚、猫の手、あたた。。。。

素敵ですね!

それぞれにちょっと毛色の変わった品揃えになってたりするとさらに面白いんだけど。今度帰った時には訪ねて見ます。

私が育ったのは巣鴨なんです(その後引っ越しましたが)生まれが雑司が谷で大人になってから面影橋。。。なかなか情緒のあるところを回っているのです。(笑)



たたたたたたた書店はまさか無いでしょうね?
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Worpswede (artshore)
2005-10-17 14:23:48
---その森は冬でもないのに殆どの木は裸だ。



という出だしの一文で、ふと最近見た

ヴォルプスヴェーデの芸術家たちの展覧会を

思い出しました。

北ドイツの泥炭地にある村で、銅版画などを

ことこつ作り続けた人々の姿は

実際に見たことはないのに

なんだか幻覚的な記憶として残ってます。



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artshorさんへ (seedsbook)
2005-10-17 15:59:44
ヴォルプスヴェーデの芸術家達の展覧会。。。

オットー・モーダーソンやパウラ モーダーソーン=ベッカー等ですか?

実はWorpswedeにはまだ言った事はないんです。

Bremenやその近辺には言った事ありますが。。。

そのあたりは湿地帯で荒涼としたところだと思います。

その土から出てくる芸術って言うものがありますよね。
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Worpswede 続 (artshore)
2005-10-17 18:46:03
モーダーゾーンにハインリッヒ・ヴォーゲラー、

フリッツ・マッケンゼン、ハンス・マム・エンデ

といった人たちです。

銅版画が面白いですね、“土”の感じが濃厚で。

たにかに荒涼としていて、でも森の神話みたいな

ものを感じさせてくれます。

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土と空気 (seedsbook)
2005-10-18 00:49:34
。。。はやはり浮き上がって来るようです。

森の神話と言う感じもわかる気がします。

昨日森を散歩してきましたが、ああいった作品が生まれるのがとても自然なのだと納得したりしました。





風土によって同じテーマでも表現様式の変化が現れるののきづくとき蛾、とても面白いなあと思います。

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