散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

私の場合

2012-03-14 13:50:42 | 思考錯誤







「もらい物があるのだけれど、いらないから貴方が欲しければついでがあるので持って行く」と言う電話がかかってきた。
取りに行きましょうといえば、近くまで行く用事があるのだから良いのだという。
83歳で一人で活動し続けている斉藤さんは目の具合が悪いというのに人の手助けを絶対というくらいに嫌う。
今日は展覧会が少し先に延びたので一息ついたらしい。
「私は年金も何にもないしね、兎に角やって行かなきゃならないのよ」という。
彼女の厳しい生き様は、ぬるま湯でふらふら生きる私とは大違いだ。一瞬大反省大会になるのだが
やっぱり私には『私の場合』と言うのがあるのだ、と思い直す。『私の場合』の中で私が出来る事があるのに違いない。
しかし私はそれを大いに利用して奮闘していない事を反省する。
「貴方いくつになったの?。。。。。ああ、若いわね。。。若いわ」と言いながら首を振った。
(確かに彼女から見れば大分若い)
「今度いつ会えるかわからないけれどね」といいながら斉藤さんは帰っていった。
「下に降りるにはエレベーターがありますよ」と言うと
「No. エレベーターは要らない」ときっぱり言い、ゆっくりと階段を下りていった。

私はたった今頂いた『日本酒』と『味醂』と『沢庵』を目の前に腕組みしながらしみじみ考える。













今晩は沢庵と野菜炒めでご飯を食べよう。