読み応えのある本だった。本書には<小学3・4年生以上>と記されているが、はたしてこれはどんなものか?たしかに、この年齢では少々むずかしいのではないかなどと思ったり(9月6日の海ちゃんのコメントにもありましたね!)。
魔女が出てくるのだが(といってもほんとは主人公の女の子・エリザベスと同い年の子)、その魔女をどうとらえるか?というのがひとつのポイントなのではないかと思った。
<魔女=ジェニファー=エリザベスのゆいいつの友だち>と読むこともできるし、
<魔女=ジェニファー=エリザベスの影の部分>とも読めないだろうか(穿ちすぎか?)
……と、途中まで読んで思っていたのだがラストを読んだら、やっぱり穿ちすぎだった(笑)。
本当は「~したくない」と思っていることも、状況に応じてやってしまうエリザベス。
本当は「~したくない」と思っていることも、お母さんや先生の前でだけやるシンシア。
本当は「~したくない」と思っていることはうまくかわすジェニファー。読書家でなんでも知っている。まるで孤高をたもっているかのよう。
自称<魔女>のジェニファーと、魔女になりたいエリザベスが、いっぽいっぽ距離を近づけていく様子がていねいに描かれている。しかもふつうに友だちになるのではなく、<魔女>と<魔女見習い>としての役割の中で少しずつお互いを出し合っていく。ふたりともかなり警戒心の強い子のように思える。お互い自分の考えを主張し安易に妥協しない。が、そこで途切れるのではなくうまく話を転換させながらちがう方向で決着点をみつけていく。
自分の要求をどれだけのむのか? どれだけ真剣にこたえられるのか?
魔女であるジェニファーはつねにエリザベスに難題をつきつけてくる。
<「ほんきで魔女になりたけりゃ、なにをしたってつらいなんて思うはずないのよ。ほんきじゃないと、なにをしてもつらく感じるの。なるのか、ならないのか、返事なさいよ。」
わたしはこたえました。「なるわ。」
「きょうからはじめるのよ。」>
ジェニファーはエリザベスのほんきを確かめてくるのである。そして、その難題にエリザベスは見事にこたえていく。
毎日なま卵を食べること。ジェニファーにも毎日一個もってくること(しかも固ゆで!)。砂糖ぬきのコーヒーを飲むこと。生のタマネギを食べること。などなどの<魔女見習い食>を食べること!魔術の本を読むこと。土曜日の○時に図書館に来ること。ねむるとき、けっして枕をつかわないこと。けっしてかみの毛をきらないこと。などなど。。。
そして魔女見習いから昇格して、<魔女の助手>になるのである。すべてジェニファーの采配で。
エリザベスが望んでいるとはいえ、こんな完全なる主従関係(いや師弟関係か)の二人が最後にどうなるのか?
……結論からいうとラストがいい。ふたりの関係性がぶちやぶられるシーンが。
そして、本書の最後はこんな文章で締めくくられる。
<もう、ふたりとも魔女のふりなんかしません。いまでは、ありのままのわたしたちで、たのしいのです。―ほんとうのジェニファと、ほんとうのわたしで―仲よしなのです、わたしたち。>
ふたりでわらいあうシーンがあるのだがそこもとてもよい。胸がすかっとする。
また、個人的に好きな場面は魔女になるための儀式をふたりでやるシーン。魔法の輪を描き、呪文をとなえ、目をとじ三回まわって魔法の輪の中に二人で入り。。。ピンで指をついてお互いの血を鍵の上にたらし。。。ロウソクで火までつけている。なかなか凝っている。その場面の挿絵(白黒)もよかった。
<友だちになるってどうしたらいいんだろう?><友だちってなんだろう?>ということも考えさせてくれる本だった。
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