「鏡リュウジ」といえば、よく女性雑誌で名前を見かけますよね?
ほら、「占いページ」で。「今月の運勢」なんていう欄で(すみません、男性雑誌は知りません。汗)。西洋占星術(星占い)で。
その方が書いた本なのですが、これがいたって学問的なのであります。本のサブタイトルに「こころの図像学」なんてついています(図像学ってなんだ?汗)。
この手の本は初めてよむのですが、なにやらとってもおもしろかったです。
「タロット」というと、「占い」のために使うカードというイメージだったのですが、むかしは「ゲーム」用としてつかっていたんだとか。タロットの500年にわたる歴史とか。タロットが神秘主義とむすびついたり。タロットを心理学的に理解した人がいたり。『民族』タロットがあったり。。。
……とにかく、知らないことばかり!汗。
はじめの章では、「タロットを読む」として、大アルカナ22枚の図像を鏡氏が読み解いていくのですが、本書の下に3種類のカードの写真がのっています。これらのイメージの変遷を追いながら、そのカードからどんな心の世界が読み取れるかということがていねいに述べられています。
*3種類のカードとは、「ヴィスコンティ・スフォルザ版」「マルセーユ版」「ウエイト版」のことをさす(*ガーベラによる註)
個人的にむかーし、タロットカードでひとり遊び(要するに占い!)をしたことがあったので、カードの大まかな 意味を読んだことはありましたが、鏡氏のこの解説を読んで、タロットの奥深さに触れたような気がします。
例えば、「愚者」!。
実は、あんまりいいイメージを抱いていなかったのですが、この本を読んで、「愚者」に魅力を感じてしまいました!
ウエイト版(20世紀に描かれたもの)によれば<経験を求めるスピリット>であり、ユング心理学でいうところの<永遠の少年>(理想に向かって大地から離れてゆく心性)の元型とつながっているとか。ウエイト版の構図もこころが解放されるようなもので、とてもいい。
しかし、15世紀までさかのぼったもの(ヴィスコンティ・スフォルザ版)になると、「悪徳」をあらわす図像で、「愚行」のモチーフだと思われるとか。16世紀になると(マルセーユ版)、少し変容して「道化」の姿をとる。
このように、カードの図像をはじめ、意味するところも時代によってかなり違うようです。しかし、すべてに共通する<日常の秩序やらを一気に無化させてしまう力をもつ>という共通点。<「外部」のまなざしがもつ魅力と危険を、同時に伝えている>という。扱いにむずかしい「愚者」。タロットの解説をよみながら、なんだか自分のこころのなかを探っていくような気になっていきます。
例えば「太陽」!
これは、<ルネサンスから現代までのどのカードを見ても、太陽のカードには、晴れやかなイメージが込められているように感じる><人に生命の躍動感と、生き生きとした無垢さ、神聖なる単純さを暗示しているように思える>と述べられています。そして、太陽の図像には「幸福なる子どものイメージの絵」がいっしょに描かれているのです(単に太陽だけというカード、恋人が語り合っているカードもある)。しかし、なかには、「太陽に向かって進む馬車から、落下する子ども」を描いたものが紹介してあり、読み物としてもおもしろかった。カードを多面的にとらえていかないといけないのだな、と思いました。
また、最後の章にはタロットを使っての「占い」について。そのやり方とカードの読み方、事例などがのっています。一枚のカードにもいろんな意味があり、それとともに他のカードとのかかわりを読んでいかねばならないようです(ひどく、むずかしそう)。
秋の夜長。タロットカードをひっぱり出して、「これからの自分」を占ってみようか?
……んー。いや、いや。こわいからやめておこう(苦笑)。
……それとも、自分勝手によい物語をつくってしまおうか(笑)。
あ、これは余談ですが。。。
つい先日たまたまテレビをつけたら、鏡氏がこんなことをおっしゃっていました。
とあるアメリカの最近のタロットについて。このタロットは、ふつうのと違うところがある。それは、枚数が多いこと!
なんのカードが多いのかって?
……それは、「恋人」のカードです!
ふつうこのカードには「男性と女性」が描かれている。が、これには「男性と男性」「女性と女性」が描かれたカード、2枚が多くはいっているのだとか。さすが、アメリカらしいエピソードですね!
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