今日、上様邸に行ってきました。
今回で2度目の訪問です。
前回はHB-1を導入された直後の訪問でしたが、
今回はそのHB-1もかなりエージングが進み
以前とは比べ物にならないくらい良くなっておりました。

まずはHB-1をささえるスタンドが以前のアコリバから
キソアコースティックのHB-1専用のスタンドに変わっておりました。
そのスタンドにはスタンドのトップとHB-1との間にゲルを2重にして挟んでいます。
そして少し解りづらいですがスタンド下部の
スパイクとスパイク受けとの間にもゲルを挟んでいます。

アコリバのスタンドを購入して1週間もたたないうちに
HB-1専用スタンドがオーディオ南海西田辺店に到着して、
試しに借りたのが運の付きで即購入と言う運びになったそうです。
そのスタンド購入の決定的にならしめたのがこの大西順子のCruisinの冒頭のピアノの音だそうです。
なるほどこんな自然なピアノの音はかつて聴いたことがありません。
ぐっと伸びて沈み込んでいく左手の表現の素晴らしさは格別です。
当然余分な響きなど皆無です。オーディオに於けるピアノの音はいまひとつ自然さがなく原音とは大きくかけ離れておりますが、
今日上様宅で聴くピアノの音そのものでした。(少し言い過ぎました!)

この専用スタンドはHB-1の動きを全く制御しない方向で、
HB-1が鳴り易いように鳴らしてあげるのと同時に
垂直方向には圧倒的な支持がなされているようです。
しかし、このグリップ感は半端ではありません。
いつものように上様のデモンストレーションから始まりました。一聴して出てくる音が全く違います。
前回は圧倒的なエネルギーが部屋中に充満されて、
HB-1から放たれた音が我が耳から身体を突き抜けていくように感じられました。
ともするとラッパの音など耳が痛くなるほどに強烈でしたが、
今回はそのエネルギー感はそのまんまで出てくる音の柔らかいこと、
基音がしっかり再生されていると共に倍音がきれいに乗って音楽を奏でてくれます。
音楽の浸透性が桁違いに深くなっております。こんなに安心して(緊張感がある上での)
音楽に浸りきれるのは久々です。
暫く聴かせて頂いたあとに今回持参のCDを聴かせて頂きました。
前回は持参のCDなど聴く余裕も時間もないぐらいに圧倒されましたが、
今回は前回の教訓がものを言ってか比較的冷静に物事を受け入れることが出来たようです。
最初にヤマテツ邸でもかけた(つじあやの京都バージョン)です。
冒頭の(チェリー)ですが鴨川の堤防での録音で雑踏の音が半端ではありません。

2曲目の(結婚しようよ)は銅駝高校での録音ですが
ウクレレの胴鳴りもはっきりでて録音の違いが明確に解ります。
いちばん驚いたのは3曲目の(プカプカ)でした。哲学の道の近くにある法然院での録音です。
左から流れる小川の音や鳥の囀り、自転車のベルのリンリンと鳴らしながら通り過ぎる様も半端無く再現されています。突然に頭上を舞うカラスの鳴き声か聴こえてきました。
「こんなカラスの鳴き声入っていたんだ」と改めて確認することができました。
拙宅でもこれほどまでに細かい音が聴こえてくる事はありません。
当然に上様邸のシステムはコンピューターにリッピングしたものを
再生しているのですが、クロックは搭載されておりません。
リンクスのサウンドカードの優秀さなのか、はたまたリッピングの機器が優秀なのか私にはさっぱり解りません。
ただひとつハッキリしているのは今まで聴いたどのシステムよりも音数が圧倒的に多いということです。

上様はHB-1の優秀さが第一要因だと仰いますが、わたしにはどうしても理解が出来ません。
入っていない音は絶対に出てこないのですから・・・。
確かにHB-1のシステム構成から考えて、7000ヘルツまで賄っている帯域はフルレンジ同様ですから
ネットワークの弊害にも左右されないということです。
それに、大口径スピーカーにマスキングされる部分も全く無くて、
これほどまでに細かい音が表現されるのだと言うことです。そのこと自体は理解できるのですが・・・。
まぁ、FMの駆動力の影響も少なからずあるのではないでしょうか。

お決まりのリファレンスCDを聴かせて頂きましたが、
拙宅のシステムと大きくずれる事も無く一安心というところでしょうか。
それぞれに好みもあり追求している音が違っているのは当然ですが、
音楽の本心がずれて表現されることはあってはならないことだと思っております。

つぎにレコードを聴かせて頂きました。
当然EMTからの送り出しですがこれがまたはっきりとレコードの音がするのです。
拙宅のようにレコードをかけてもあまりレコードの音がしないシステムが多い中
上様宅ははっきりとレコードの音がしております。
CDと同じではレコードを聴く意味がありませんものね。
実在感といい、瞬発力といい良い意味でレコードの独壇場です。
ここで上様から先日のオーディオ南海での視聴会の話をして頂きました。
ただ、あのシステムの調整は尋常ではなく大変だったようです。
当然ながらリニアトラッキングアームの調整もアームの精度が上がれば上がるほど微妙な調整が必要で、
これを音を聴きながら行なうのですから十分な音楽と機器に対する知識と感性が必要だと言うことです。
ただお金があって機器を揃えてもあの音は絶対に出てこないとでしょう。
最後におきまりのエアチェックの音源を聴かせて頂きました。
拙宅ではFM放送の音が全くと言ってよいほどに鮮度感が無く、
何か圧縮音源を聴いているような音しか出ません。
送り出しの放送自体が悪いのではと言うことですが、
同じアキュフェーズのT-100とT-101ですから大きく違うはずが無いので、
後で色々と確かめてみようと思っております。
今回も上様邸の音にある意味打ちのめされた感じで、
暫くは拙宅の音を確認することが怖くて出来ない(ガッカリするので)かもしれません。
ただ、買ってきてホワイトノイズやバーンインCDなどでエージングした音とは決定的に違う
音楽を聴けたのが今回の大きな収穫でした。
拙宅ではまだまだ到達できない領域の音ですが、
少しづつでも近づける力を貰ったようで身も心も充実した1日でした。