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【イディオム】Cap off 米国、雇用は堅調でも株価は下落

2016年01月10日 | 英語・経済

Cap offは「完了する」というイディオム。先週金曜日(1月8日)の堅調な米国雇用統計を報じる米紙(ボストン・グローブ)に次のタイトルの記事が出ていた。

December jobs report caps off robust year. 「12月の雇用統計はしっかりした1年を締めくくった。」

12月の非農業部門雇用者増は292千人で、2015年全体では約2.7百万人が新しく職を得た。前年の雇用増は3.1百万人だったので2年間の雇用増は5.8百万人でこれは1998-99年の6.2百万人の雇用増依頼の強い数字だった。

エコノミストの予想では、今年の雇用ペースは若干減速するものの、今年も毎月平均184千人ベース(2015年は220千人)で雇用は増加するとのこと。

12月の失業率は前月横這いの5.0%で、昨年の失業率の平均は5.3%だった。今年は失業率は4.8%まで低下するとエコノミスト達は予想する。

雇用統計は堅調だったが、株価は下落した。雇用統計発表後は高く寄り付いたものの、引けにかけて下げて、ダウは167.65ポイント(1%)下落した。

米国経済自体は堅調そうだが、どうして株は売られたのだろう?

多くのコメンテーターは、中国経済を初めとして世界経済の弱さを指摘する。だが米国経済は個人消費を中心として7割が内需に依存する構造で、世界経済鈍化の影響をもろに受ける訳ではない。

ただドル高や原油安の影響は来週から発表される第4四半期の企業業績に表れそうだ。予想ではS&P500社の利益は前年同期比4.7%減少する見込みだ。

またPERもまだ過去平均に比べて高い。FactSetリサーチによると、過去10年のPERは15.7倍だが、現在S&P500は17.4倍で取引されている。

年初来6.2%(1,078.58ポイント)下落して始まった米国株式市場。多くの投資家は堅調な雇用統計を見て、米国経済の先行きに安心感を持ったことは確かだろうが、株を買う決断までは至らなかったようだ。

長期的には強気の投資家でも、当面はまだまだ中国発の悪材料で相場が荒れて、もっと安いところで株を買う機会があると判断している、というところだろう。

 

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