金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「山の日」制定雑感

2014年04月26日 | ニュース

昨日(4月25日)衆院本会議で「山の日」を制定する法案が可決された。参院審議を経て本国会で成立する見込みで再来年から8月11日が祝日になる。山の日の意義については「山に親しむ機会を得て山の恩恵に感謝する、とあるから登山愛好家の私としては歓迎するべき話なのだろうが、正直なところあまりピンとこない話である。

第一に日本に必要なことは休日を一日増やすことではなく、多くの勤労者がもっと有給休暇を取得できるようにすることが肝心である、と私が考えていることだ。

「海の日」があるから「山の日」も作ろうという話だったのだろうが、日本にはこの類の祝日が多過ぎる。山の日を入れて祝日は16日になるが、これはアメリカ(州によって若干異なる)やフランスの10日程度に較べてかなり多い。

ではアメリカ人やフランス人が日本人より休みを取っていないか?というと当然さにあらずで、彼らはしっかり休みを取っている。特にうらやましいと思ったのはフランスで、昨年ネパールであったオランダ人は「自分はオランダ人なのだけれどフランスで働いている。その理由はフランスでは5年間働くと1年間休職(無給だが1年後に前のポジションに戻ることが可能)する権利が得られるからだ」と言っていた。

フランスの方がオランダより給与水準が低いがそれでも自分は休みを重視するからフランスで働くことを選んだ、と彼は言っていた。1年間の休職を取る人はそれほど多くないかもしれないが、多くのフランス人は毎年4週間ほどバカンスを取っているようだ。4週間の休みがあれば、山に行きたい人なら毎年ネパールにトレッキングに行くことも可能だ。

本当に「山に登る日」を増やすのであれば、祝日を一日増やすのではなく、有給休暇の消化率を高めるような方策を官民でたてるべきなのではないだろうか?

有給休暇の取得が増えると当然人手不足が生じて、雇用が促進される。一方雇用増はコストアップにつながるが、休みを削ってコストダウン競争にいそしむ時代とはオサラバするべきだろう。少なくとも「給料は低くても安定していれば休みが多い方を選択する」といった選択肢のある社会を目指すべきだ。

次に「山の日」が制定されてその日に登山者が集中することは非常に好ましくないことである。

第一に登山道が混み合うので、落石やすれ違い時の転倒・滑落といった事故が増えることが予想される。次に混み合うと登山道や自然環境のoveruseで環境破壊が加速する可能性があることだ。恐らく「山の日」が出来たとしても本当の山好きはその日の登山は避けるのではないだろうか?

★   ★   ★

奥多摩など近くの山を歩いていて感じることは、「若い登山者は減って、中高年の登山者は増えている」ということと「若い人は山道を走ったり(トレイルラン)、マウンテンバイクを楽しんだりと多様な遊び方に取り組んでいる」ということだ。

山というフィールドは人々に様々な楽しみ方を提供する。尾根歩き・沢歩き・岩登り・雪山登山・山スキー・クロスカントリースキー・渓流釣り・山菜取り・トレイルラン・マウンテンバイク・キャンピング・キャニオニング・・・など実に多様だ。

このように多様な楽しみ方をする人に必要なことは、私は「空間と時間のすみわけ」なのだと思っている。つまりできるだけ休みを分散して、一時に一ヶ所に人が集中するようなことは避けるのが、人と山に優しい取組なのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新緑の青梅丘陵を歩く

2014年04月25日 | 

4月25日(金曜日)快晴。少しやらないといけない事務処理があるが、天気が良いのでGWの登山に備えて足慣らしに青梅丘陵にでかけた。

拝島で西武線から青梅線に乗り換え、青梅で奥多摩線に乗り換え。西武新宿線花小金井駅から7時40分頃の電車に乗って、登山口の軍畑(いくさばた)駅に着いたのが9時8分だから青梅丘陵は近い。

9時20分時々ダンプカーが走る舗装道路を歩き始めた。高水三山に向かう人たちが平溝橋から左に向かっていった。9時43分榎峠着。ここから山道が始まった。最初は急な木道が続いた。ひさしぶりの雪のない山は暑く、汗をかきながら登っていく。10時6分雷電山(494m)到着。ここが今日の最高峰だ。頂きの北側は開けていた。薄緑色の新緑がきれいだった。

Raidenyama

雷電山から地図には出ていないサブルート(尾根の北側)を通って辛垣城(からかいじょう)跡に向かった。

Signost

ここに戦国時代の山城があったことを示すものは一枚の立札だ。

Fortress

立札の奥には巨岩がある。城があったと聞くとこの巨岩が城塞の一部をなしていたような気がしてくる。ただ気になるのは水源がないことである。水はどうしていたのだろうか?

また随分僻地で城を取りあっていたのだなぁ、とも思う。ただしこれは現在の交通網や人の流れ・ものの流れを前提とした見方で、当時は物流などのかなめだったのだろう。

10時49分 名郷峠通過。

Nagopass

11時11分 北側 の見晴らしがよい(武甲山などが見えた)41番鉄塔(三方山手前)手前で昼食。11時30分出発。登山道は南から東に大きく方向を変えるあたりからかなり広くなりとても歩きやすくなった。12時5分矢倉台到着。

矢倉台から少し下ったところにつつじがたくさん咲いていた。

Tutuji

このあたりになると散歩スタイルで歩いてくる人にちょくちょく出会った。青梅の裏山そのものである。

金刀比羅神社があった。

Shrine

ここまでくるとJR青梅駅は指呼の間だ。12時52分青梅駅到着。

GPSの記録を見ると軍畑駅から青梅駅まで11km(沿面距離)を3時間42分(休憩込)で歩いていた。

「oumehill.oxps」をダウンロード

駅前の中華料理屋で「ザーサイ豆腐」を摘まみながらビールを1本頂き締めとした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緑の階調、三宝字池のトチノキ

2014年04月24日 | うんちく・小ネタ

今日(4月24日)午前中石神井警察に運転免許の更新に自転車ででかけた。距離は6.5kmmほど、自転車で30分ほどである。30分の講習で新しい免許を貰う。免許証の写真を見るとまた髪が少なくなっている。貰った交通教本を見ると「70歳以上の高齢者については・・・高齢者講習を受講していなければなりません」とあった。いくつかの例外があるようだが、簡単な講習(今のところ私はゴールド免許)で免許更新が可能なのは後1回か?と思うと多少の寂しさを禁じ得ない。

天気が良いので三宝字池に立ち寄り、池の周りを一回り散歩した。

草花ではシャガが目立った。

Shaga

だがより心に沁みるのは、木々の葉が織りなす緑の階調だった。

特にトチノキの葉はきれいだった。

Tochinoki

この時期のトチノキの葉の美しさは毎年変わらないだろう。

だが恐らく毎年新しい葉が鮮やかな彩を添えているのだ。

古人は「年年歳歳花相似たり 年年歳歳人同じからず」といった。

しかし毎年咲く花や芽吹く青葉は似ているけれどすべて新しいものである。

そういう意味では花や葉もまた年年歳歳同じではない。一方人間世界も巨視的に見ると古い花が枯れ春には似たような新しい花が咲いている。本当は花の世界も人間の世界も同じなのだろう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ひたち海浜公園、ネモヒラの丘を撮る

2014年04月23日 | まち歩き

今日(4月23日)はここ数日のぐずついた天気が終わり爽やかな春の一日となった。

ワイフがかねて観たいといっていた「ひたち海浜公園」にネモヒラを観に行くことにした。朝8時にマイカーで自宅をでたが、外環道が舗装工事で一車線に制限されているところがあり、50分ほど渋滞。公園に到着したのは11時過ぎだった。ネモヒラの咲くみはらしの丘に近い「海浜口駐車場」に車を止める。ネモヒラ満開だが、平日なので駐車場はガラガラだった。

貸自転車を借りてまずネモヒラを観に「みはらしの丘」へ。

Nemophila1

Nemophila2_2

 

緩やかな丘陵の 斜面一杯に咲く青い花ははっとするほど美しい。

丘の上に上がると太平洋から吹いてくる風がかなり強い。

Nemophila3

昼ご飯を食べた後はチューリップを見に「たまごの森フラワーガーデン」へ。

Chulip1

Chulip2

Chulip3

色とりどりのチューリップに日の光があたりとてもきれいだ。

自転車でネモヒラの咲く「みはらしの丘」の南西側に回ってみた。ここは古民家があるところだ。

こいのぼりとネモヒラもマッチすると思うし、菜の花とネモヒラもよく似合う。

Koinobori

Nanohana_2

今日は本当に気持ちが良い日だった。

ネモヒラやチューリップはとてもきれいだったし、天気も良かった。

だがワイフが「今、一番行きたいところ」「一番見たいもの」と思っていたネモヒラの丘に一緒に行けたことはとても良かったと思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GPIFの株式運用拡大、期待と懸念

2014年04月21日 | 投資

先週水曜日に麻生財務相が「6月にGPIFの動きがでて、それにつれて外国人投資家が動く可能性がある」と発言。この発言を受けて日経平均は400円を超す値上がりをした。私たちの年金資金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、6月に基本ポートフォリオを見直し、現状6割を超える国内債券運用を削減し、株式投資に資産を振り向けるのではないか?という憶測で日本株が買われた訳だ。

GPIFが株式運用を増やすことになれば、短期的には株価は上昇することは間違いないだろうから、(多少なりとも日本株を持つ身としては)歓迎したいところなのだが、単純に喜べないところがある。

その一つはGPIFから大量の資金が株式市場に流れ、株価が上昇するということで、今でも規律と緊張感を欠いている株を発行している企業が益々弛緩する恐れを感じるからだ。

先週金曜日に生保協会は「株式価値向上に向けた取り組みについて」http://www.seiho.or.jp/info/news/2014/0418.htmlという調査結果をリリースしている。

このことはWSJも取り上げていた。外国人投資家が注目すると思われる記事のポイントを紹介すると次のとおりだ。

  • 日本の金融機関は日本株の約3割を保有し、生保の保有比率は4%。今までのところこれら金融機関は企業が稼いだ金の使い方にあまり口を挟んでこなかった。
  • 金融機関を除く日本企業が保有している現預金は220兆円を超える。しかし生保協会のレポートによると、日本企業は純利益のたった10%しか自社株買いに充当していない(米国では純利益の半分以上を自社株買いに充当するのが一般的)
  • 生保協会は500社以上の企業を調査対象している(正確にいうと時価総額上位1,129社にアンケートを送り575社が回答してきた)が、その半分以上の企業がROE(自己資本利益率)の目標を定めていなかった。また目標を定めている企業でもその2/3以上の目標は10%以下だった。
  • 生保協会によると、米国企業のROEが16%なのに比べ、日本企業は5%に過ぎない。自己資本利益率が低い原因は、日本企業の売上高純利益率が2.1%と米国企業の8.5%に較べて極めて低いことに起因する。

なお生保レポート(サマリー)を読むと、配当水準については6割弱の投資家は「半分程度は満足できる水準」としているが、3割強の投資家は満足できる企業はあまり多くないと判断している。

投資家と企業で意見の対立が顕著なのは自社株買いだ。投資家の73%がもっと積極的に自社株買いを行うべきだと考えているのに対して64%の企業は自社株買いに消極的である。

話を本題に戻すと、もしGPIFが上場企業の株式全部を時価ウエイト比率で買う(つまりTOPIXに投資する)ような投資をすると、「株主から見て良い会社」の株価だけでなく「株主から見て悪い会社」(つまりROEが低く、株主還元度合いも低い会社)の株価もそれなりに上昇する可能性がある。つまりGPIFの巨大資金が「株主から見て悪い会社」の経営陣を甘やかすことになる可能性があると私は考えている。

もっともGPIFも単純なインデックス投資だけではなく、優良企業をピックアップしたJPX日経400などの新株価指数に投資するから、良い会社と悪い会社の株価の差は拡大するかもしれない。

GPIFの日本株投資が企業の株主への利益還元に対する緊張を高める上でプラスに働くのであれば歓迎だが、そうでないと我々国民が積み立ててきた年金原資は効率の悪い企業の延命策に使われる可能性もあるのではないか?というのが私の懸念だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする