今日4月1日から消費税は5%から8%に引き上げられた。3月末近くに近所のスーパーに立ち寄ると何かと前倒しで買い物をしている人が多かった。
消費税引き上げに備えた前倒しの買い物のことを英語でfront loaded spending ahead of the tax hikeということを榊原さん(元財務官)のCNBCによるインタビューで知った。
榊原さんによると過去2年間日本の経済成長率は2%。これは日本のように成熟した経済では極めて高い水準なので今ほど消費税を引き上げるに適した時はないということ。消費税引き上げにより一時的に消費は落ち込むが数か月後には回復・・・というのが榊原さんの見立てだ。マクロ的には正しいかもしれないが、個人の生活はマクロではなくミクロである。ミクロ的には3%の増税負担が極めて大きい家計があることに思いを巡らせる必要があるだろう。
17年前に消費税を5%に引き上げた時と今では環境が違うので、消費税引き上げにより景気低迷が長続きしないだろうという見方を示していたのはフィデリティの日本株アナリスト。
97年当時は1)金融システムが今よりもはるかに脆弱だった2)アジアの財政危機があった3)株式市場のvaluationが割高だったとのこと。
マクロの議論としてはこれも正そうだ。
ところで今日私はドコモのスマートフォン上のクーポンを持ってサンマルクカフェに行ってコーヒーを飲んだ。こちらは消費税引き上げ前と変わらず100円である。
他のネットクーポンは知らないが消費税引き上げ未対応(あるいは覚悟の価格据え置き?)が多いのではないだろうか?
それぞれの企業の思惑を混載しながらの消費税引き上げのスタート。株式市場は半年先を見ているというから、既に消費財引き上げ効果は織り込み済のはずだ。ただしその織り込みが正しいかどうかは分らないが。
個人的には消費税引き上げ前に前倒しで買い溜めするものが見当たらないので、front loaded効果に寄与することもないまま4月がスタートした。
消費税引き上げは日本の財政状態から考えると必須の選択である。それ以外の選択肢はない。ただし消費税引き上げが生活を直撃する層への本当の配慮がなされているのだろうか?という疑問は残っている。党利党略や過去のメンツなど捨てて政治家が庶民のレベルまで降りた対策を考えるべき時である。Front loadedなどは弥縫策にすぎない。