金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

新生、再生か転売か?

2007年11月21日 | 金融

以前このブログでサブプライムローン問題は弱い邦銀の再編を促すと予測した。その時新生銀行はJPモルガンの様な戦略的投資家Strategic buyerが買収すると考えていた。ところがまず現在の大株主の一人であるクリストファー・フラワー氏のグループが32.6%の株式を購入すると名乗りを上げた。

アナリスト達はフラワーグループの腹積もりを次のように読んでいる。「フラワー氏は新生銀行の株価が過小評価されていると信じていて再生可能と考えているかあるいは新たな戦略的買収者が現れるのを期待しているかだ」

新生銀行が再生できるかどうかは同行のCEO・Porte氏が「我々は専門性がある今のビジネスに固執する」言う今のビジネスモデルで競争力があるかどうかにかかわっている。野村證券の銀行アナリスト森山氏は「新生銀行は必ずしも彼等が得意とする分野で競争力を持っていない」と言うとFTは報じた。

私もこの意見に同感だ。新生がリテイルバンキングで競争力を出すことは難しい。JPモルガンの線は消えていないと言おう。

こんなことを言うと不謹慎かもしれないが、新生という名前が良くないのかもしれない。新生は英会話学校のノバを想起させる。いやあちらはシンセイはシンセイでも新しい星の新星だったが。

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三ツ星レストラン議論あれこれ

2007年11月20日 | うんちく・小ネタ

今日11月20日の日経新聞朝刊に「飲食店ガイド本・ミシュランの東京版が19日に公表された・・・・全体で150店がが星を得た。これはパリの64を大きく上回り、東京は世界で最も星付きレストランの多い都市になった」という内容だ。FTも同じニュースを取り上げている。ただしこちらは星の数で東京が世界一になったことに対して、かなり反論を寄せている。
ロンドンには三ツ星レストランはGordon Ramsay一軒しかないので、英国を代表する高級紙のFTとしては憤懣やるかたないのか?と疑いたくなる。因みに三ツ星レストランはパリで10軒、ニューヨークで3軒、東京は日本料理が5軒、フレンチは3軒だ。フランス料理でみる限りニューヨークと並ぶということになる。

FTは「星の大盤振る舞いは、儀礼を重んじる日本人の感覚に訴える作戦のように見えるが、フランスとミシュランを美食の伝道者と考えているグルメ達を困惑させる」という。またFTの姉妹紙Les Echosの東京特派員は「星を誰にでも上げるというのは極めて奇妙な政策に見える。恐らく商業上の理由だが、ともかくも失望させられる」といっている。

ミシュランのライバル・レストランガイド・ゴー・ミヨGault Millauの役員が「ミシュランのレストランランクは割り引いてみないといけない」と言っている。割り引いて見る(話を聞く)の原文はshould be taken a grain of salt。一粒の塩を取るというところがレストランの話と重なって軽妙さを出しているが、grain of saltの意味を知らないと話が通じない。英語という言葉は単語は簡単だが、熟語となると難しくなる場合がある。

ところでミシュラン側の責任者ナレNaret氏は次のように反論している。「東京のレストランは数と質の上で他を圧倒している。正しいレストランと分類されるものが少なくとも東京には16万軒ある。パリは2万軒ちょっとでニューヨークは2万3千軒しかない」「東京は近年伝統的な日本食のみならずヨーロッパ料理においても国際的にトップのレストラン地域になった」「最近少なくとも 20人のミシュランの三ツ星を持つシェフが日本主に東京で開業している」
「このレイティングに文句を言う人は東京に旅したことがない人だ。もし東京に来たならばファンタスティックな質を持つレストランを彼ら自身で見るだろう」

最後にFTはそうは言ってもコンラッドホテルに入っているRamsay(ロンドンで三ツ星を取っているレストランの姉妹店)は、ミシュラン東京版には入っていないので、大丈夫なのか?と皮肉っている。

さてここからが私のコメントである。まず東京のレストランの数がニューヨークやパリを圧倒している理由は何だろうか?

色々理由はあるが、私は食事を楽しむ女性が増えていることだと考えている。ためしに昼の銀座辺りのちょっとしたレストランをのぞいて見ると良い。この前ワイフと娘でマロニエ・ゲートにあるポール・ボキューズの店に平日の昼に入ったところ95%位は女性だった。若い人同士、中年の人のグループあるいは母娘と見受けられるカップル、兎に角女性女性である。

良く言えば女性の経済力があるということだし、悪く言うと銀座で美味いものを食う位しかやることがない~というと世の中の女性陣から「なによ!自分はお酒ばっかり飲んでいる癖に!」と猛反発を食うあろうが~ということだ。パリは知らないがニューヨークに昔暮らしていた時の感じでは普通のアメリカ人は滅多に高級フレンチなど食べに行かないのである。パブでちょっと飲む、あるいはまっすぐ家に帰ってスポーツクラブに行ったり、庭の垣根を補修したりしている。休みの日はボランティア活動や学校の行事に参加する人も多い。

もう一つは日本は他の先進国に比べて格差が少ないということだろう。従って誰でもが割りと気軽に高級レストランに行けるのだ。

ところでこれは私見だが、日本のレストランに沢山星を与えたのは「食を事業としている」フランスの産業政策かもしれない。つまりフランス人シェフやレストランブランドを輸出して商売とする・・・・というと余りにけちな見方だろうか?

アメリカが格付機関セットでサブプライム関連債券を世界中に売り、フランスはミシュランの格付を付けてフランス料理を売る・・・・

そういえばポール・ボキューズもフランスで三ツ星を取っているレストランだ。もっともこのようなけちな見方をしては「ミシュランの星を失って自殺する」まじめなシェフ達に叱られるかもしれないが。

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続・三丁目の夕日、ちょっと涙がでた

2007年11月18日 | 映画

年を取ると涙腺がもろくなるらしく、今日ワイフと見たAlways続・三丁目の夕日で小雪さん演じるヒロミが吉岡さん演じる売れない作家のところに戻ってくるラストシーンにはちょっと涙が出た。

この話は男女の三つの恋愛ストーリーが絡まっている。一番若い層は鈴木モーターの一人息子一平と暫く鈴木家が預かった親戚の娘美加との淡い淡い感情。二番目の組み合わせは鈴木モーターに住み込みで働く六子(掘北真希)と悪い世界に足を踏み入れそうになった同級生の淡い感情。そして最後がヒロミ(小雪)と茶川(吉岡)の純愛。

これを横糸としながら、茶川の芥川賞への挑戦が縦糸となる。

舞台は昭和33年の東京。昭和33年というと私は8歳、映画の中では一平や淳之介、実加などとほぼ同じ年代。子供達が野良犬をかわいがっている場面があったが、当時私も野良犬に近いような犬を飼っていた記憶がある。あの頃は本当に野良犬が多かったなぁ・・・などと懐かしい気持ちになった。

皆が物質的には豊かでなかったと思う。京都の奥地でプールは言うに及ばず安全な遊泳場がなかった私達の町では、夏にバスを仕立てて琵琶湖に水泳に行くのが唯一のまとまったレジャーだった。「三丁目」を見るとあの頃のおじさん、おばさんの姿に重なるものがある。

豊かではないが、皆がストレートに夢を信じて生きていた時代。時計の針を巻き戻すことは出来ないし、またその必要もないが、忘れ物を捜しに行くことはあって良いだろう。続・三丁目の夕日は忘れ物探しの旅の出発点である。

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新興市場は世界経済を救えるか?

2007年11月18日 | 金融

サブプライム問題で減速する世界経済を中国やインドの新興国経済が救うことができるか?このテーマは前にも論じたような気がするが、最近のエコノミスト誌が取り上げていたのでポイントを紹介しよう。恐らく投資信託等を行っている人にとって関心の高いテーマだと思う。

エコノミスト誌は米国は景気後退に入る可能性が高いという。「第三四半期の成長率は3.9%と元気が良かったがそれは過去の話だ」「この第四四半期には景気が停滞する幾つかのシグナルが出ている」「来年の早い時期までに生産高と雇用は低下する」「主な原因は内側に破裂している住宅市場である」「弱いドルは米国の輸出を促進するが、米国の輸出はGDPの12%を構成するに過ぎず、7割を占める消費の落ち込みを埋め合わせることはできない」

欧州・日本は為替が強くなるので、輸出が減速し成長速度は鈍化する。そこで世界の経済成長は新興国の経済成長にかかわっているとエコノミスト誌は言う。「新興国経済の世界経済の成長への貢献度は約半分であり、米国の3倍だ」「過去において新興国はしばしば先進国の助けを必要としたが、今回は彼等が救済者になる可能性がある」

米国の世界経済のおける重要性は減少している。2000年に19%を占めた世界の輸入に対する米国の割合は14%に低下している。今年の前半の中国とインドにおける国内消費の成長は米国のそれよりも世界のGDP成長率に貢献した。

しかし新興国経済で米国の穴埋めをできるわけではない。来年の中国の経済成長率はたった「10%」に低下するだろう。世界の経済成長率は過去5年5%だったが、来年は少し減速するだろう。それでも過去30年の平均でる3.5%を上回るだろう。

前にも書いたがもし米国の景気減速を中国やインドが救うことになると、2008年頃は後世世界経済の大きな転換点と呼ばれるだろう。

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野火止の小さな秋

2007年11月17日 | まち歩き

11月17日(土曜日)紅葉シーズンに少し早いのを知りながら、新座の平林寺まで車を走らせてみた。平林寺の前まで行き車の中から境内をうかがっても、ほとんど紅葉していないので拝観は見合わせた。平林寺は好きなお寺なのだが、その前で駐車場を経営している茶店が好きになれない。車を止めると待ってましたとばかりやってきて集金するおばさんが好きになれない。それとお寺の拝観料より駐車料金(5百円)の方が高いのも納得がいかない。という訳で平林寺は割愛して、近くの新座市の総合運動公園を散歩した。こちらは駐車料金も拝観料も不要である。

クヌギ林を抜けると野火止用水に出た。用水の岸には楓の木もあるが紅葉しているものは少ない。

Nobidome

新座といえば若い時にこんなことがあった。ある時住まいの話になり当時の部長にある部下が「部長はどちらにお住まいですか?」と聞いたところ部長は西武池袋線の大泉学園から通勤していると応えた。そこで止めて置けば良いのにその部下は「駅の北側ですか?南側ですか?」と聞いた。部長は北側だと答える。南は間違いなく東京都なのだが、北側は埼玉県にごく近く新座市からかよう人も多い。「ああ、しんざ側ですね」とその部下が言った時、まわりの人の目が点になった。部長は埼玉県に住んでいると言いたくなかったのに、新座(にいざ)をしんざと読み間違えていては傷口に塩をすりこむ様なものだ。温厚な部長も暫くむっとしていたことを今でも思い出す。

ところで新座だが江戸時代は新座郡を「にいくらごおり」と呼んでいた様だ。これは中村彰彦氏の小説「知恵伊豆に聞け」の中で「にいくら」とルビが振られていることによる。野火止用水が松平伊豆守により開鑿されたのは1655年のこと、360年位昔の話だ。中村氏の小説には「野火止用水は幅半間(0.9メートル)」とある。今もほぼそのままの原形をとどめている様に私は思った。

クヌギの林の中で紅葉したツタが秋らしい風情を出していた。

Tuta1

自宅に帰って自分のブログを検索してみると昨年は12月の10日頃平林寺の紅葉が見頃だったことが分かった。2週間程早かったことになる。

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