金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Love Hotelは英語になった?

2007年11月14日 | うんちく・小ネタ

Love hotelという言葉は完全な和製英語だと思っていたが、どうもかなり英語になりつつあるらしい。
英語版のインターネット百科事典Wikipediaには極めて詳しいLove hotelの説明が載っている。もっとも私が重宝しているインターネット上の英語辞書Dictionary.comには「Love Hotel 正しくつづられているけれど該当する言葉なし」と英語で返事が来る。

とこで最近Love hotelが益々英語として認められそうな出来事がロンドンで起きていることを FTとyahoo Newsで知った。その話というのは日本のラブホテル会社「日本レジャーホテル」Japan Leisure Hotelsが英国のAIMで最大1億ポンド(約220億円)の資金調達を行うと発表をした。因みにAIMとはThe Alternative Investment Marketの頭文字で、ロンドン証券取引所にぶら下がった 新興証券取引所で海外企業の上場もある。

FTとyahooの記事によると、同社は現在ボニタのブランドで5つのホテル計195室を所有しているが、今後3億ポンド(700億円弱)の資金を調達して5年以内に3000室から3,500! 室に拡大する計画を持っている。 投資利回りは8%を目指すそうだ。

日本レジャーホテルは日本国内でも小規模のファンドを立ち上げていてその目標利回りは8.4%から12%になっている。もしこの利回りが安定的に達成されるなら、Love hotelは完全に英語として定着するだろう。FTによると、日本には約25,000軒のLove hotelがあり、大人の2%が毎日利用していると推定されるそうだ。(本当かなぁ)
Love hotelの年間売り上げは175億ポンド約4兆円で、英国全部のホテル市場に匹敵するということだ。

英文Wikipediaは「Love hotelは若いカップルで使われることが多い。何故なら日本で若い人は親と一緒に住んでいるからだ。またLove hotelは売春にも使われている」と説明している。

ところでLove hotelが和製英語だとすると、本当の英語でLove hotelは何というのか?というとその様な英語はない。何故ならlove hotelというタイプのホテルそのものが英米にはないのである。私が各地を旅行した経験では香港の近辺の島々にはそれらしいホテルが幾つかあった。聞くところによると親との同居が多くて家が狭い香港では若い夫婦が利用するということだった。しかし外国でそれ以外にこの手の施設を目にすることはなかった。

Love hotelが国際的な投資対象になることは初めてではない。今までにそのキャッシュフローを利用した仕組み債は何本かローンチされている。これは私の推測だが、サブプライムローン問題からストラクチャー物が敬遠されるようになり、
Love hotelが投資のメインストリームに開き直って堂々と出てきた様に思われる。
しかしLove hotelが英語になる程有名になることは日本にとって少しshameな話かもしれない。
若い人達が独立して暮らすことが出来るサラリーを提供できない企業社会、高過ぎる家賃あるいは若い人の独立心の欠如といったものが、Love hoelの存在理由になっているとしたら日本の社会はどこかゆがんでいるのではないだろうか?



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様変わりの日本の不動産投資

2007年11月14日 | 社会・経済

12日のFTは今年の夏、北海道ニセコの花園スキー場が豪州のディベロッパー・ハーモニーリゾートから香港の大物リチャード・リーに譲渡されたが、これは外国人同士による日本の不動産取引の珍しい例という書き出しで日本の不動産投資の状況を報じている。

この花園スキー場は20048月に東急不動産からハーモニー・リゾートに売却されているので、ハーモニーは3年ほどで転売したことになる。一部の地域で不動産価格が上昇しているにも関わらずリー氏のような外国人投資家が日本の不動産投資を続ける理由は
日本の不動産投資利回りが国債利回りを上回っている世界でまれな市場だからだ。

FTは日本のプライムなオフィスビルのキャップレートは約3%で国債イールドは1.6%と紹介しているが、双方とも低下傾向だ。

それにしてもバブルの頃は日本の不動産市場は利回りでは投資できず、値上がり益を見込まないと投資できない世界でも稀な市場と言われていたが、今では全く逆になっている。

日本の産業用倉庫物件等に投資している米国のプライベート・エクイティ・ファンド カーライルのマネージャー・ジェイソン・リー氏は「日本の市場では大部分の投資家は利回りに焦点を当てている。値上がりはたまたま起きたに過ぎない」と言っている。

ドイツ証券東京は日本の不動産市場はポジティブ・イールドなので、当面外国人投資家の投資が途絶えることはないという。

昔日本で不動産融資をやった後、米国で不動産融資を行っていたがあの頃の米国不動産特にWarehouseを中心とした産業用不動産は利回りで投資できる物件だった。つまり10年程度の投資で元利金が完全に回収できるのである。

ところがこのような物件は日本人投資家(今思うと素人)には人気はなく、日本人はプライムなオフィスやホテルを追いかけていた。しかし今日本に目を向けている外国人投資家はプライムな物件を追いかけているばかりではない。例えばAMB Propertiesは全世界
20億ドルの産業用不動産ポートフォリオを組んでいるがその約3分の1を日本に振り向けている。カーライルは倉庫や老人ホームへの投資を行っている。これらの物件に利回りが高いからだ。

いつの間にか日本の不動産が世界の模範的な?不動産市場になっている。世の中変われば変わるものだ。

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