金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

エマージング市場投資の注意点

2007年09月26日 | 金融

この前ブログの読者の方の「新興国投資の注意点はありますか?」という質問に回答を述べたが、追加で一つコメントを申し上げたい。それは今エマージング市場への投資が急拡大してバブルが発生する懸念が無きにしも非ずという点だ。

サブプライム・ショック以降、新興国の株価上昇が著しい。FTの記事を見ておこう。

l          MSCIの新興国株価指数は月曜日に1,174.27と新記録を更新した。これは世界の信用市場が混乱した8月16日以降28%上昇している。因みに同期間に米国のS&P500指数は5.6%上昇したに過ぎない。米国の連銀は政策金利を0.5%切り下げたが、これにより新しい資産バブルが発生しているのではないかという懸念が出ている。

l          メリルリンチの新興国株式ストラティジスト・ハートネット氏は1980年代のラテンアメリカ危機、90年代のアジア通貨危機、ロシアのデフォルトの後の金融緩和は日本株バブルとITバブルを引き起こしたと言う。しかし何人かのアナリストは現在新興国市場が繁栄しているのには、ファンダメンタルな理由があると述べる。

l          アクション エコノミックス社のアナリスト・コーヘン氏は「最新の情報によると不確実性は高まっているものの、第三四半期のデータは新興国の強い経済成長を示唆している」と言う。新興国にプラスの要因は高い経済成長率に加えて、豊富な外貨準備とコモディティ市場の強さだ。

l          EPFRのファンドデータによると、新興国の株式ファンドには4週続けて資金の純流入がプラスで、先週は25億ドルの純増だった。この4週間で今年の資金純増額の6割を占めている。前述のハートネット氏は「現在の新興国市場は極めて大きな買いのチャンスだが、投資家の熱狂が将来の問題を積み上げている可能性はある」と述べている。「バブルは貪欲、レバレッジ(借入)、とんでもない株価算定によって引き起こされる。今のところ新興国市場を通じてそれらを見ていないが、それは行く手にある」

バブルの判定の難しさはバブルが発生し、崩壊するまで分からないことである。しかし株価収益率などを見ていると、ある程度の判定は付く。どうぞバブルにはご注意ください。

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福田首相は改革路線を堅持か?

2007年09月25日 | 政治

福田康夫氏が自民党の新総裁に選ばれたので、連休後半の新聞・テレビは関連ニュースが多かった。選挙の結果は投票前から分かっていたので、大半のニュースは聞き流していたが、外国人がどう見ているか?関心があったのでFTの記事を読んでみた。ワイフは「外人がどう見るかより国民のためになる政治をすることが大切でしょ」と言う。それはその通りなのだが、日本の株式市場は外国人投資家に牽引されているので、福田政権が改革路線を進めるかどうかについて外国勢がどう見ているか?ということはやはり大事なのである。さてFTのポイントは次のとおり。

  • 福田氏は先週「自分は貧乏くじを引いている」とインタビューで述べている。

貧乏くじを引くはDraw the short straw短い藁を引くという訳だ。

  • もし自民党が過去5年にわたる経済成長が最終的には選挙民の生活水準を改善するという希望を提供すことが出来なければ、次の総選挙(2009年には必ず行われる)で、政権の座から転落することになると幾人かの政治アナリストは述べている。
  • 第二次世界大戦以降最長の切れ間のない景気回復を享受しているにもかかわらず、多くの日本人はまだその恩恵を感じていない。幾つかの市町村では失業率は全国平均に比べて高止まりしている。三位一体改革の結果、夕張市に続いて幾つかの地方自治体は破産の懸念が出ている。
  • これらのことで自民党は1993年に一時政権を失って以来の最悪の批判にさらされている。しかし福田政権が小泉改革路線を変更することはない
  • 福田氏は社会的格差を是正し、自由過ぎる市場を引き締める必要性を論じている。しかし当面の政策方針について彼が後戻りしないことは明らかである。「世界は変わりつつある。我々が変わらないと我々は取り残される」と福田氏は言う。
  • 総裁選挙において小泉改革以前に戻ることを主張する総裁候補が出なかったことは自民党の基本路線が変わっていないということだ。

日本の公的債務はGDPの1.5倍の規模まで拡大しているので、政府が大盤振る舞いをすることは極めて困難である。ただ福田新首相は「高齢者医療における患者の自己負担を1割に据え置く」といったことは主張している。これは一見小泉改革に対する反動に見えるが、財政上の負担はそれ程大きくない。

福田首相はなけなしの財源を使って「自民党の人気回復」に努めることになるだろう。しかしながら小泉内閣で官房長官を務めた福田氏が90年代のバラマキ行政に戻ることはないというのがFTの見方だ。

今後個別政策では改革の行過ぎを是正し、人気回復に努めることはあるが、全体としては改革路線を守ると私も見ているが、この判断が正しいかどうかは確信に到るにはもう少し時間がかかりそうだ。

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連休は小さな木工遊び

2007年09月24日 | うんちく・小ネタ

私に木工の趣味はない。以前板を買ってきた本棚と整理棚のあいのこのようなものを作ったりしたことはあったが、出来合いの製品を買った方が安いので木工遊びは止めている。ところが少し前どこかの雑誌で天然木にスリットを入れただけの非常にシンプルな状差を見かけた。その後東急ハンズや幾つかの百貨店で探したが類似品すらない。そこで休みの日に自分で作ってみることにした。いや、正確に言うと瑞穂町のジョイフル本田で手頃な木の塊を見つけたので、自分で作ることにした次第だ。

Mokko

木の名前は忘れたが非常に固い木である。値段は800円強。この木に2cm間隔で鋸で切れ目を入れる。ただそれだけ。とはいうものの工具箱の中には糸鋸しかなく、糸鋸でゴリゴリやっていたが全くはかどらない。仕方なく近所の日曜大工の店で1,700円の鋸を買い上記のような細工をした次第である。葉書や薄いパンフレットなどを挿しておくには手頃だ。

ところで鋸を引くという作業だが、これが大変だった。何が大変かというと垂直に切り込みを入れることができないのである。右手で鋸を引くものだから切り口が左に曲がってしまうのだ。出来上がりは不細工でとても人様の目に留まるところにおける代物ではない。木工はやはり私の趣味にはなりそうもない。

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新興国投資について気をつける点

2007年09月24日 | 金融

この前ある方から「新興国への投資について気をつける点など御教授願えれば幸いです」という質問を受けたので、新興国投資について私が考えて実践していることをご説明したい。なお投資については「株式」「債券」に大別することができるがここでは「株式」についてのみ考えることにする。

まず投資の方法だが「個別株を買う」「投資信託を買う」という方法に大別できる。新興国では外国人投資家が現物株を買うことを制限しているところも多いので前者は余り一般的ではない。ただし香港株などは簡単に買うことが出来る。私も香港株やインド企業のADR(米国預託証券、一般の海外投資家がインド株を買うことはできないが、インド株を預託して米国発行される預託証券を買うことはできる)に投資しているが~ちょっと儲かったり含み損を抱えたりで~「趣味や研究」の域を出ないと考えている。

その理由は幾つかあるが最大のものは「分散投資が出来ない」ことである。現代の投資理論の大原則は分散投資によりリスクを抑えながら高いリターンを目指すことであるが、個人の限られた資金、情報、時間では個別株を使って新興市場に分散投資することは極めて難しい。

従って一般的には「投資信託」を選ぶことになる。この場合市場に連動するインデックス・ファンドとかETF(上場型投信)などのパッシブ運用が良いかアクティブ運用が良いかという問題がでる。「効率的市場仮説」によると、最も効率的な市場では総ての情報が瞬時に投資家に共有されるので、個々の投資家が市場を出し抜くことは不可能で、アクティブ運用より運用報酬が低いパッシブ運用の方が良いということになる。

これに対し私見ながら私は新興国の株式運用についてはアクティブ運用でパッシブ運用を上回るリターンを上げる可能性が高いと考えている。というのは新興国の株式市場は先進国の株式市場程「効率的」ではなく、情報通のファンドマネージャーが活躍できる余地が大きいと考えるからだ。ただしこのことについて十分実証したわけではなく、直感的な判断であることを重ねてお断りする。

以上申し上げたことをまとめると「新興国の株式投資についても分散投資~国、セクター、個別銘柄~を基本とするのが良い」「新興国については先進国よりアクティブマネージャーが活躍する余地が大きいだろう」という極当たり前の結論になってしまいました。

コメント (2)
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秋分の昭和記念公園

2007年09月22日 | うんちく・小ネタ

9月22日土曜日ワイフと手話記念公園で写真を撮りながらサイクリングをする。今日はかなり暑かった。正確に言うと明日から秋分の日で気温もかなり下がるらしい。「暑さ寒さも彼岸前」という俚諺が正しいとすると今日まで暑くても仕方がないということだろうか?

昭和記念公園は立川西口から入ったが入り口に近いところにフィソステラギアというトラノオの仲間の花が咲いていた。はじめて見る名前である。

Phisostegia_1 

この時期のお目当てはコスモスなのだ。原っぱ広場にはハッピーリンクという種類のコスモスが咲いている。これは余り背が高くなく花も小さくて見栄えが良くない。

Happylink

コスモスの本場は「コスモスの丘」なのだが、こちらは一、二分咲きというというところだった。

Gyakko

逆光に花びらを透かしてみた。コスモスの原産地はメキシコ、日あたりと水はけが良いと痩せた土地でも良く育つという。

熊蜂が蜜を吸うコスモスをアップしてみた。

Kumabachi

西立川口からほど遠くないところに彼岸花が咲いていた。誠に華麗にして複雑な花である。

Manjyushage_1

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