この前ある方から「新興国への投資について気をつける点など御教授願えれば幸いです」という質問を受けたので、新興国投資について私が考えて実践していることをご説明したい。なお投資については「株式」「債券」に大別することができるがここでは「株式」についてのみ考えることにする。
まず投資の方法だが「個別株を買う」「投資信託を買う」という方法に大別できる。新興国では外国人投資家が現物株を買うことを制限しているところも多いので前者は余り一般的ではない。ただし香港株などは簡単に買うことが出来る。私も香港株やインド企業のADR(米国預託証券、一般の海外投資家がインド株を買うことはできないが、インド株を預託して米国発行される預託証券を買うことはできる)に投資しているが~ちょっと儲かったり含み損を抱えたりで~「趣味や研究」の域を出ないと考えている。
その理由は幾つかあるが最大のものは「分散投資が出来ない」ことである。現代の投資理論の大原則は分散投資によりリスクを抑えながら高いリターンを目指すことであるが、個人の限られた資金、情報、時間では個別株を使って新興市場に分散投資することは極めて難しい。
従って一般的には「投資信託」を選ぶことになる。この場合市場に連動するインデックス・ファンドとかETF(上場型投信)などのパッシブ運用が良いかアクティブ運用が良いかという問題がでる。「効率的市場仮説」によると、最も効率的な市場では総ての情報が瞬時に投資家に共有されるので、個々の投資家が市場を出し抜くことは不可能で、アクティブ運用より運用報酬が低いパッシブ運用の方が良いということになる。
これに対し私見ながら私は新興国の株式運用についてはアクティブ運用でパッシブ運用を上回るリターンを上げる可能性が高いと考えている。というのは新興国の株式市場は先進国の株式市場程「効率的」ではなく、情報通のファンドマネージャーが活躍できる余地が大きいと考えるからだ。ただしこのことについて十分実証したわけではなく、直感的な判断であることを重ねてお断りする。
以上申し上げたことをまとめると「新興国の株式投資についても分散投資~国、セクター、個別銘柄~を基本とするのが良い」「新興国については先進国よりアクティブマネージャーが活躍する余地が大きいだろう」という極当たり前の結論になってしまいました。
私は新興国への投資は、シュローダー・BRICs、シュローダー・チャイナ、ドイチェ・ロシア東欧の株式投資信託です。アドバイスに従い、このままの方針で進めることにします。先進国のハイイールドエクイティーなどは駄目ですねー。
さて、分散投資はリスクを下げることが重点であり、高いリターンを求めるのは無理ではないでしょうか。せいぜいローリスクでミドルリターンではと思います。