サブプライムローンの問題については楽観論と悲観論があるだろう。私は問題の根は深いのではないか?と悲観論寄りの見方をしている。FTにこの見方をサポートする記事があったので紹介しよう。
- 米国のサブプライム・モーゲージ市場で損失が拡大し始めている。これは住宅価格が下落しているので、借入人が有利な条件でサブプライム・ローンを借り替えることが出来なくなっているからだ。
- ケース・シラー指数によると米国のトップ20の都市で住宅価格は7月に前年比3.9%下落した。これは過去10年間で最悪である。また政府統計によると、8月の住宅販売は4.3%下落したが、これはここ5年間で最低のレベルである。アナリストは住宅価格の下落を予想し、下落が2005年と06年にサブプライム・ローンを借りて住宅を購入した人に壊滅的な打撃を与える可能性があると推測する。アジャスタブル・レート・モーゲージという一定期間経過後に金利が大きく引き上げられるローンを借りた人の多くは、金利が引き上げられる前に住宅価格が上昇して有利な条件で借り換えが出来ると信じていた。アジャスタブル・レート・モーゲージというのは、金利の引き上げ頻度は毎月のものから5年に一度というものまでさまざまであるが、借りている期間中あがり続けるという共通点を持つ。
しかし住宅価格の下落と貸出条件の引き締めで、彼らが新しく住宅ローンを借りる資格を得ることは難しくなっている。
住宅ローンリスク評価会社~アメリカには色々な会社があるものですね~のある役員は「もしあなたがサブプライム・ローンを借りていて、住宅に含み益がないかあるいは含み損を抱えているとあなたは極めて困難な状態にいる」という。極めて困難な状態の原語はYou are in a deep spot 敢えて辞書を引かなくても、語感で「深みにはまっているなぁ」と分かるが、敢えて言うとin a (tight) spotで「ひどく困って」という熟語が出ていた。ただしdeep spotという用法は見当たらなかった。余談だがdeep spotという言葉は変な想像を招く可能性もあるので、会話などで使うべきかどうか迷うところだ。
- 話がそれたがサブプライムローンの支払遅延やデフォルトは過去の平均の4倍に達している。向こう18ヶ月の間に250万人が住宅ローン返済額の急増に直面することになる。 高い金利にシフトするサブプライムローンの金額は3500億ドルを超え、金利上昇で借入人のコストは3割以上増加するとクレディスイスは言う。リーマンブラザースは金利引き上げにより150万人が競売に追い込まれると見積もっている。
連銀は貸出金利を4.75%に引き下げたが、総てのサブプライムローンの借り手が恩恵を受けるわけではない。というのはアジャスタブル・レート・サブプライムローンの73%は6ヶ月Liborベースだからだ。銀行間の貸し借りに使われるLiborは銀行同士の信用懸念からやく5.1%に上昇している。
返済するまで金利が上昇し続けるとは何とも怖いローンである。リファイナンスの可能性を楽観的に考えて借りてしまうとまさに深みにはまってしまうという大変なローンだ。
その影響の大きさはまだ充分に見極めにくいというのが、謙虚な見方かもしれない。