今月のウクライナ軍の反撃でロシアは占領していたハルキウ州の大部分を失った。だがロシアが失ったのはそれだけではない。ロシアが失ったものは、武器輸出国としての信頼性だ。
ロシアはアメリカに次ぐ世界第2位の武器輸出国で主要な輸出国はインド、中国、エジプトといったところだ。だが今年2月のウクライナ侵攻以来、ロシア軍はキーフ侵攻に失敗し、今回はハルキウ州で強烈が反撃を受けた。
ウクライナ軍反撃の有効な武器はアメリカが供与した戦略拠点をピンポイントで攻撃できるハイマースというミサイルシステムだ。
だがこれはハードウエアの問題だけではないかもしれない。情報収集とそれに基づくピンポイント攻撃には、情報活動や連係プレーに関する練度が必要だ。
このようなソフト面を含めてロシアの武器は西側諸国に較べてかなり劣ることを露呈したのが、ハルキウ州での敗北だった。
その結果、ロシアとの武器購入契約を廃棄したり、見直す国が増えている。
このことはロシアの経済力を弱めるとともに、同盟国の間での発言力を低下させる。経済力の低下や発言力の低下はやがてプーチン大統領の国内での発言力の低下につながっていく可能性が高い。
だがおそらくことは図式どおり簡単には進まないかもしれない。
ロシアのような独裁色の強い国では、支配者は強いと思われている限りは強いが、弱いと思われるとクーデターで追放されることをプーチンは熟知しているから、強い支配者でいることにしがみつこうとする。
そこに窮鼠かえって猫をかむ、怖さがある。
レピュテーションの低下に対してプーチンがどのような手を打つか?が次の見どころだろう。