天皇誕生日をはさむ三連休である。この時期の三連休というと通常はスキーなのだが、今回はちょっとした事情からスキーは見送って自宅で過ごしている。天気が良いのに遠出をしないので暇である。暇だから本を読む。その中に「徳川四百年の内緒話」という本があった。
中々面白い本で、特にに目に留まったのは「慶喜(最後の将軍)が二十以上の趣味に没頭し、大正時代まで生きた」という話だ。
長寿命化が進む現代、老後の趣味を充実させないと暇を持て余すことになりかねない。慶喜の話の中には参考になるところがありそうなので紹介したい。
まず本が紹介する慶喜さんの趣味を列挙してみよう。
もっとも熱中したのは「写真」で次に「乗馬」「投網」「油絵」「囲碁」「弓」「和歌」「外国語(フランス語)」「サイクリング」「狩猟」「釣り」「車」「刺繍」「工芸」「陶芸」「打毬」「放鷹」「将棋」「能」「書」「俳句」「日本画」「鶴の飼育」「楊弓」「小鼓」と「徳川四百年の内緒話」は書き「このどれもが、プロも舌を巻くほどの腕前になったというのだから、慶喜という人はやはり異能の人であったのだだろう」と結んでいる。
列挙された趣味は読めば大体わかるのだがちょっと説明がいるのは「打毬」(だきゅう)だろう。調べたところ馬に乗って毬を打ち合うポロのような競技らしい。慶喜は馬術の名手だったから打毬も得意だったのだろう。
慶喜の趣味の中にはこの「打毬」や「放鷹」「楊弓」などのように現在では簡単にできないものが幾つかある。一方現在のシニア層が趣味にしている「写真」「囲碁」「釣り」「将棋」「和歌」「俳句」「絵画」など身近なものも多い。
「慶喜さんはお金持ちだったから色々なことができた」というのは事実だがお金があれば色々な分野でプロが舌を巻く腕前になれるか?というとそれは難しいだろう。
慶喜をそれ程趣味に駆り立てたのは、鬱屈したエネルギーがあったのではないか?と思うがこの本はその点には言及していない。ただ「将軍職からおりて、静岡で謹慎生活をおくるようになると、『毎日が日曜日』だからとにかく暇を持て余し、ほとんど趣味の百科事典のようになっていった」と書いている。
また「負けず嫌いだからとことん熱中しどの趣味もプロといえるくらいの領域までいった」ということだ。
プロの領域に達することは困難だが、どんな趣味にしろ熱中することは大事だと思う。熱中して小さなサークルなどでリーダー格になって仲間を増やすような活動ができると老後は充実するだろうと改めて感じた次第だ。