今朝(2月17日)の日本株市場は日経平均が280ポイント(1.2%)以上下げて取引されている。昨年10月~12月の実質GDPが前年比▲6.3%と5四半期ぶりにマイナス成長になったことに対する失望やコロナウイルス問題の先行きに対する不透明感から、株が売られているのだ。
先行きの不透明感が高まると株を売り、信用度の高い国債など債券を買うのが投資家の常のパターンで、これら安全性が高いと思われる資産はSafe havenと呼ばれている。
前段で先行きの不透明感が高いと株は売られると書いたが、これは一般論で現在の状況を見ると、「世界的には株式相場はぱっとしないが、アメリカの巨大企業の株は集中的に買われている」という現象が起きている。
下のグラフはCNBCから借用したもので、米国の巨大企業の株式で構成されるETFと世界の優良企業に投資
するグローバル・ダウETFのパフォーマンスを示している。
グラフを見て一目瞭然のとおり、今年に入って米国巨大企業ETFのパフォーマンスの強さが際立っている。
ではこのETF(Vanguard Mega Cap Growth ETF)の構成銘柄を見てみよう。
マイクロソフト5.21% アップル5.09%、アマゾン3.38% アルファベット(グーグル親会社)3.4%・・
ジョンソンアンドジョンソン1.66%などとなっている。
リストアップした銘柄の内ジョンソンアンドジョンソン以外はハイテク銘柄だ(アマゾンをハイテクと見るか小売業と見るかは議論のある問題だが、投資家目線はアマゾンのクラウドビジネスを注目していると判断)。
このことから「不透明な時期にはハイテク株が強いのか?」という結論を引き出す人がいるかもしれない。
それは半分当たりで半分外れである、と私は思う。
外れの部分は何か?というとこれ等の企業は格付的に非常に優良な会社だ、ということだ。
格付が一番高いのはマイクロソフトとジョンソンアンドジョンソンで最上格のAAAだ。米国でAAAの企業はこの2社しかない。いや全世界でAAAの格付を得ている企業はこの2社しかないのだ。因みに日本国債の格付はA+に過ぎない。格付会社は「借りたお金を返す能力」については日本国よりもマイクロソフトとジョンソンエンドジョンソンの方が信用できると判断しているのだ。
アップルとアルファベットはAA+でアマゾンは少し劣りAA-。これはトヨタ自動車と同格だ。
債券格付は債券を発行する場合、その債券の元利払いの確実性の度合いを示すもので将来の株価を示すものではない。だが高い格付は、所属する業界の成長性、業界地位、自己資本の厚さなどを総合的に分析して与えらえる。従って不透明な時期に高格付企業の株式が選好されるのは「安全資産への逃避行動」ということができる。
一国の国民の福利は、国や社会が提供する様々な商品やサービスで決まってくる。米国社会については格差問題等色々な問題があることは間違いないが、一方で資産形成や老後資金の運用を考える人に高格付企業の株式やそれらの株式で構成されるETF(上場型投信)という魅力的な投資ツールを提供している点では素晴らしい国ということもできるだろう。