今日の日経新聞(電子版)に「地銀にできる金融大革命」という記事がでていた。趣旨は「日本の金融はバブル崩壊の後遺症もあり情報技術改革から取り残されてきた」「デジタル化が進むと銀行や取引先のバックオフィスが雑用から解放されて、生産性が向上する」「地銀の中には取引先が家電量販店でパソコンを買うところから手伝っている」「究極の金融革命はキャッシュレス化を進めることだ」ということだ。
キャッシュレス化に向けて金融取引の電子化を進めるという趣旨には賛成だ。だが地銀の担当者が取引先のパソコン購入までお手伝いするという話は事実であれば首をひねる話だ。
金融取引の電子化のスタート点がパソコンなど電子ディバイスの導入と金融機関との接続にあることは間違いない。
そして金融機関の職員が「囲い込み」目的で取引先のパソコン購入支援から面倒を見るというのも営業戦術的に納得のいく話である。
だが次の点について疑問を呈しよう。
まず金融に関する電子取引がパソコンを経由するという点だ。現在のモバイルバンキングの世界的な流れはパソコンからスマートフォンに移りつつある。もっとも規模の大きい会社の場合は、パソコンからのインターネット取引が多いと思うが、規模の小さな会社や個人の場合はスマートフォンの利用の方が便利だと思う。
次に導入する側についていうと「面倒でも自分でやる」ことが大切だと思う。というのはパソコンは一般家電とは違い、色々不具合を起こす可能性の高い機器だ。ウイルス・迷惑メール・ハングアップなどの問題を時々起こす。ハードディスのクラッシュリスクを避けるためバックアップやクラウドサービスの利用が必要だ。
これらのことは多少授業料を払いながら自分で身に付けていかないと、トラブルが発生した時お手上げになってしまう。
トラブルが発生した時は、ハードウエア・ソフトウエアのベンダーに相談することになるが、トラブル内容を適確に伝えるためには自分である程度システムを理解している必要があるだろう。
企業がIT化を進める目的は、金融取引の効率化にあるのではない。IT化の本当の狙いは、企業内外の情報の共有化と効率的な情報発信にある。金融取引のIT化はその派生的効果ではないだろうか?
まずは本業の生産性を情報技術の活用に高めるべきなのである。そのためにどのようなシステムを構築していくか?という話が先行するべきだと思うのだが・・・・