かなり昔に販売開始された投信と新しい投信ではどちらがパフォーマンスが良いか?という質問にあなたはどう答えますか?
直観的に「販売直後のファンドは運用者が力を入れるのでパフォーマンスが良いのではないか?」と答える人が多いと思う。私もそう思っていた。だがこのようなテーマもデータを集めて分析すると立派な研究対象になる。
WSJにシカゴ大学のLubos Pastor教授とペンシルバニア大学のLucian Taylor教授のこの問題に関する研究が紹介されていた。それによると、「古い投信」と「新しい投信」の明確な基準はないが、年数の経過とともに投信の運用成績は劣化していくことが分かった。研究は1979年から2011年にかけて組成された3千以上のアクティブファンドをそれぞれのベンチマークと比較して行われた。つまり「小型割安株ファンド」は「小型割安株ベンチマーク」と比較して運用成績が評価された。
その結果発売後3年未満の投信は、販売後10年以上経つ投信に較べて平均的に約1%運用成績が上回ることが明らかになった。
Pastor教授は「古い投信が古い投資戦略を採用しているのに比べ新しい投信は最新の投資戦略を採用するのでベンチマーク(市場平均)を凌駕する可能性が古い投信より高いのだろう」と結論つけている。
新しい投信が古い投信よりパフォーマンスが良い一つの理由として「新しい投信は残高が少ないので、自分の売買により株価を動かすリスクが少ないので小型株に投資するなど機動的な動きができる」ということが考えらえるが、ファンド規模を調整した後でも結論は変わらなかった。
また「若いファンドマネージャーは名声を得るためより大きなリスクを取っているのではないか?」と推測する筋もあるが、それを示すデータはなかった。また別の研究によると若いファンドマネージャーの方が古いファンドマネージャーより保守的だということが言われている。
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これはアメリカの投信に関する研究なので、日本の投信について同じことがいえるかどうかは分らない。というのはアメリカでは、新しい投信は「最新の運用手法を学んだファンドマネージャーによって運用されている」ということと「新しい投信で運用成績が悪いファンドは古くからあるパフォーマンスが悪いファンドより早期に閉鎖される傾向が強い」ということがあるからだ。
なおこの研究のメインテーマではないかもしれないが、この研究はアクティブファンドが市場平均を凌駕することがいかに困難かを示しているそうだ。