金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

【イディオム・シリーズ】Cyber Monday

2010年12月03日 | 英語

Cyberとは「コンピュータ・ネットワーク上の」という意味だが、米国でCyber Mondayというとサンクスギビング・ディ(11月の第4木曜日)の次の月曜日を指す。前週末にクリスマス・ギフトを買えなかった人がネットで買い物をするので、ネット売上が急増するからだ。Cyber Mondayという言葉が始めて使われたのは2005年の11月だった。

06年、07年は景気が好調で11月のオンラインショップは前年比2割以上増えた。しかしリーマンショックの08年は1割減少。昨年は横ばいから微増だったが、今年の年末商戦の出足は良い。

以下エコノミスト誌の記事:

インターネット調査会社comStoreによると今年のサイバーマンディ(11月29日)にアメリカ人はオンラインで10億ドルの買い物をした。これは1日の買い物金額としては史上最高額で昨年のサイバーマンディを16%上回った。好調なのはネットショップだけでない。先週末212百万人の人が買い物に出かけたと推定され、一人当たり消費額も昨年の343ドルから365ドルに上昇している。

エコノミスト誌の記事のタイトルはSpend,spend,spend(消費、消費、消費)だった。アメリカ人には節約より消費が似合う。

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積立金から基礎年金に回す発想の恐ろしさ

2010年12月03日 | 社会・経済

来年の予算編成を巡って議論になっているのが、基礎年金の国庫負担分2兆5千億円を保険料を財源とする厚生年金勘定から回そうという財務省の案だ。

厚生年金勘定は残高が120兆円もあるから、少しくらい回しても良いと考えるのはとんでもない誤りだ。何故かというと厚生年金勘定そのものが、積立不足の状態だからだ。

国民年金法と厚生年金保険法の規程に基き政府は5年毎に財政の見直しを行っている。09年2月の社会保障審議会作成の財政検証結果を見ると、09年の年度末積立金は144兆円になっている。ところが10年8月の厚生年金収支決算を見ると残高120兆円だ。つまり今後厚生年金を払い続ける上で必要と考えられる144兆円に対し24兆円も不足しているのだ。国民年金については09年の年度末に必要とされる積立金10兆円に対し、実際の残高は7兆5千億円。2つの年金合計で必要な積立額は154兆円だが実際にあるお金は83%の128兆円だ。

国民年金について単年度の収支計算を見ると、「見通し」では1千億円のプラスだが、実績は2千3百億円のマイナスだ。つまり「見通し」よりも保険料収入が少なく、年金給付が多かったのである(細かく検証していないが、給付増の影響が大きいと思われる)

必要積立額に対して年金勘定が不足している大きな理由は、運用不振の影響が大きい(09年度は9兆円のプラスだったが)。それに加えて5年前に作られた「財政見通し」が今となっては非常に楽観的なシナリオによることも「計算上の積立金」を増やすことになった。楽観的なシナリオというのは、例えば物価上昇率は1%、賃金上昇率は2.5%、運用利回りは4.1%というような条件設定だ。だが現実はデフレが続き、賃金も低下傾向。運用利回りは平均ではマイナス。

そして予見可能な将来このようなシナリオに戻るとも思えない。

勤労者と会社が折半で拠出した厚生年金は「給与の後払い的」性格を持っている。仮に財政状態が良く、貸したものを確実に返してもらえるなら一時的な用立てを行うことも考え得るが、返済原資の目処も立たないお金を貸しては、やがて共倒れになる。

厚生年金の積立金を基礎年金に回すなどという役人発想は、年金資金を軍事費に流用した戦前の政府と同じ発想なのである。

今必要なことは、直ちに消費税を引き上げて税収で国民年金の不足分を補うことなのである。

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