金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

勝手な想像、来年北朝鮮に激変が起きる?

2010年12月29日 | 国際・政治

中国が米空母を攻撃する地対艦弾道ミサイルDH21を実戦レベルに引き上げつつあることは前のエントリーで書いた。その延長線でものを考えると、中国にとって米国とのバッファーとしての北朝鮮の存在意義は大きく減少する。つまり東アジアにおける中国の軍事的優位性が当面明確になるので、緩衝地帯としての北朝鮮の役割は減少する。

無論北朝鮮に激変が起きるかどうかは、金正日の健康状態に大きく係わる。だが軍事的な米中のパワーバランスが変化したので、中国は専軍体制の北朝鮮の存続に拘る必要がなくなるとも考えられる。つまり中国にとってもっとも都合の良い時期と方法で北朝鮮問題を解決するフリーハンドを拡大したのではないか・・・と私は考えている。

だが読み切れないのは、中国が手に入れつつあるミサイル制海権をどのように使うかだ。東アジアの覇権を目指すかあるいは近隣国との友好関係を重視するか?

覇権を目指すと中国は国内に抱える巨大な社会的矛盾のために大混乱に陥る可能性がある。

来年も中国が話題の中心になることは間違いない。

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中国の東風21はアジアの軍事バランスを変える

2010年12月29日 | 国際・政治

今日のFTの記事で眼を引いたのは、米国太平洋艦隊のロバート・ウィラード司令官が「米空母を攻撃目標とする中国の地対艦弾道ミサイルDongfeng(東風)21が初期の実用段階に入った」と述べたニュースだ。

中国の地対艦ミサイルは最大射程距離3000km(一説2500km)。ミサイル基地の設置場所にもよるが、少なくとも日本列島の南西部は十分ターゲットとなる。ウィラード司令官が使った初期の実用段階initial operational capabilityとはペンタゴンの用例では「ある部隊が武器の配置を初め使用可能になった状態」を指す。

東風21は通信衛星、無人飛行機、視程外レーダーの組合せで米空母の位置を探査し、ターゲットを定める。分かりやすくいうと高度なGPSが組み込まれていると考えて良いだろう。

軍事アナリストは東風21は「ゲームチェンジャー」(世の中の流れを大きく変えるもの)だと述べる。つまり少し前まで米国海軍力は中国を圧倒していて台湾や日本に万一のことが起きた場合は直ぐにかけつけることができると考えられていた。しかし東風21の攻撃を米空母およびその護衛艦は防ぐことができないので、中国のミサイル防衛圏内に入ることができなくなると考えられる。

また事情通によると中国は原爆ミサイル基地を韶 関 市(広州周辺)南部に配置した。

中国軍に関する専門家・米海軍大学のErickson教授は「中国は世界で始めて地上基地から動いている空母を攻撃するシステムの開発に成功した」と述べている。ウィラード司令官は「このシステムを全面的に運用するには後数年のテストが必要(現在のところ地上テスト終了だが、海上テストはこれから)」と述べているが、防衛問題専門家は「現在のシステムでも米空母に対する脅威となりうる。何故なら命中精度の悪さを沢山のミサイル発射でカバーできるからだ」

☆  ☆  ☆

中国の韓非子に「矛盾」の話が出てくるが、東風21という矛を防ぐ有効な「盾」はいまのところない様だ。つまり攻撃は防衛より強いのである。

今年日本は防衛大綱を見直して、中国の脅威に備えるべく動的防衛ということを打ち出した。だが中国のゲームチェンジャー的ミサイル戦略を見ると甚だ心もとない。

いたずらに軍備競争を煽るつもりはないが、「専守防衛」的な発想は大勢の兵隊を乗せた艦船が日本列島に押し寄せる時どう防ぐかという議論をしているような気がする。相手が飛び道具で脅してくる時に盾を並べるだけでは勝ち目はない。米空母が駆けつけられない時どうするか?ということを真剣に考えるべき時期ではないだろうか?

コメント (2)
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