12月22日米国上院は米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の批准を承認。オバマ大統領は「過去数十年で最も生産的な会期だった」と超党派での相次ぐ政策実現を手放しでたたえた(24日日経新聞朝刊)
今朝米国のギャラップ調査を見るとオバマ大統領の仕事を評価(Obama job approval)する人は2%増えて48%、評価しない人は2%減って46%。評価する人がしない人を上回った。12月初旬の支持率は43%だったから5ポイント改善だ。
相次ぐ法案成立は民主党多数の旧勢力下における成果で、下院で共和党が多数となる1月以降も折り合いがつくかどうか見通しははっきりしない。しかし経済に対する危機感を与野党が共有していることをはっきり示す一連の動きだった。
米国の次の最大の課題は膨れ上がった財政赤字の改善に具体的改善策を示すことができるかどうかだ。これについて確たる見通しはないが、過度に悲観的になることはないと私は見ている。現実を直視する健全性が米国にある限り取り組めない課題ではない。
対照的に気になるのは、日本の国会の生産性の低さだ。法案可決度は過去最低レベル。マスコミを賑わすのは小沢一郎氏を政倫審に呼ぶとか、決議されてもいかない、それなら証人喚問するべきだとの与野党間のいがみ合いと党利を巡る争いばかりだ。
この違いはどこから来るのか?ということを考えてみた。
第一の違いは「与野党間の基本的な考え方の違いの差」だ。米国は民主党リベラル派(大雑把にいうと修正資本主義的な考え方)、中道派、独立系、共和党右派が、政治的スペクトラムを形成しているが、経済や外交の基本方針においてそれ程大きな差はない。基本政策に余り差がないから、選挙においては銃の所有だとか妊娠中絶のように比較的軽いテーマが争点になるとも考えられる。
一方日本は米国よりはるかに政治的スペクトラムの幅が大きい。二大政党体制が確立するためには、経済や外交問題に対する基本的な考え方の差が小さくなる必要がある。
次に「党議拘束」の問題。米国は党議拘束が緩い(議員は選挙民の意向を反映して行動する)ため、反対意見を取り込みながら柔軟な法案可決が可能だ。ただしこれは大統領制と議院内閣制の違いによるところも大きいので、日本は英国を参考にした方が良いだろう。英国は米国ほどではないにせよ、党議拘束はある程度緩い。
最後はやはり国会議員や国民の現実を直視する強さと危機感の差。今日の財政危機や年金危機の責任の多くは自民党にある。しかし民主党に替わっても問題先送りの姿勢は変わらない。この辺りの問題については日本はスェーデンやドイツに学ぶべきなのだろう。