今日(6月1日)GMは会社更生法を申請する予定だ。アジアの株式市場は既に更生法申請を織り込み済みで、世界的な景気回復の兆候を好感して上値を追った。だがこれは少し楽観的過ぎるかもしれない。
昨日の日曜日、東関東自動車道を走って潮来を往復した時感じたことが幾つかあった。一つは「休日の高速料金が1千円になったのに高速道路が空いている」ということ。これはたまたま天気が不安定で行楽日和でないことが影響していたのかもしれないが。次に「ランドクルーザーやパジェロのような大型SUVをほとんど見なかった」ことだ。この方面がアウトドアライフ愛好家のターゲット外ということかもしれないが。最後に「ブンブン車を飛ばす人が減ったなぁ」という印象。これらをまとめると「日本でも車愛好家が減っている」という印象を持った。
「日本でも」というのは前日にニューヨーク・タイムズで「自動車業界はアメリカ人の車離れを恐れている」という記事を読んでいたからだ。一昨年アメリカでは17百万台の新車が売れたが、現在では年間10百万台以下のペースまで落ちている。財務省のアドバイザーは当初昨年終わりには自動車販売が伸びることを期待していたが、現在では今年・来年とも需要拡大を期待していないし、5年後でもピークを下回る15百万台の米国内販売を見込んでいる。
ニューヨーク・タイムズはミシガン大学のエコノミスト・Grimes氏の予想を紹介している。それによると今年の運転可能年齢人口に対する新車販売割合は1970年以後最低となる。ニューヨーク・タイムズは車を手放した人の具体例を幾つか紹介している。個別の話は煩瑣なだけなので省略するが、要はカーシェアリングの利用などで車を未来永劫所有しないという人が増えているということだ。団塊の世代という自動車業界最大の顧客が退職により、車の所有台数を減らすというのも業界にとっては大きなマイナス要素だ。
景気回復の兆しとともに、ガソリン価格も上昇傾向にある。地球温暖化も気になるところだ。
個人的でかつ悲観的な予想だが、私は将来2009年前後の年が米国の大手自動車メーカーが会社更正法を申請した年であるとともに、地球上の石油がピークアウトした年として歴史に刻まれるのではないかと思うことがある。石油がピークアウトするとは、年間採掘量が史上最高量に到達しそれ以降は幾ら努力しても採掘量が増えなくなりやがて消滅することを意味する。消滅するまで年月は採掘開始時からピーク到達時までの年月に等しいというのがピークオイル仮説が告げるところだ。
もしオバマ政権がこのことを承知の上でGMの思い切ったダウンサイジングとハイブリッド車(あるいは電気自動車)シフトを加速するため国有化を進めたとするならば、卓見というべきであるが、私はそれを判断する材料を持ち合わせていない。