金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

新生銀行の外人が辞める背景

2007年08月08日 | 金融

ファイナンシャルタイムズ(FT)は世界で最も権威のある金融専門紙でカバーする範囲は米国の連銀議長の演説の解釈から中国の地方政府に対する暴動まで広範囲だ。そんな中で「新生銀行の外人スタッフが次々と辞めている」という記事があった。最近日本で余り面白い記事がないので埋め草的に掲載した話かもしれないし、何かが起こる予兆を示唆しているのかもしれない。

まず記事のポイントを見てみよう。

  • 新生銀行は成功するビジネスモデルを確立すべく苦闘しているが、モラルが低下する中で過去数ヶ月間に幹部職員が続いて退職している。新生銀行の担当者が言うには特にリテイル部門の退職者が多い。
  • 最近の退職者が多い背景には、同行が産業界に長期金融を行っていた長期銀行jからインターネット時代の銀行に転換することの難しさがあると事情に詳しい人は述べている。
  • 新生銀行のビジネスモデルは「リテイル銀行業務」「機関投資家向け業務」「消費者金融」の3本柱だが、どれも今までのところ銀行に大きな貢献をしていない。その結果自己勘定投資を含む投資銀行業務への依存が高まっている。

証券会社が提供している四半期決算の簡単な分析によると、新生銀行は第一四半期に自己勘定投資等で昨年同期の2倍の業務純益を稼いでいる。しかし株式市場は自己勘定投資による稼ぎを評価せず同社の株価はピーク時の半分程度になっている。

  • 最近同行を退職したある幹部は「ビジネスモデルが機能するかどうかが問題だ」と言い又別のものは「新生銀行は方向を失っている」と言う。
  • 日本人の職員も辞めているが、目立つの外人幹部が辞めていることだ。

私は外国人というのは「沈みかけた船の鼠」ではないかと思っている。船が沈む前に嗅覚の鋭い鼠は船から逃げると言うがこのことが新生銀行で起きているのかもしれない。FTの記事はこの後最近退職した外国人幹部の個人名を数名列挙しているが省略する。かなり内部事情に詳しい人間がFTに話をしたのだろう。

クレディスイスのアナリストは「新生銀行の困難さは、商業貸付を伸ばすことで消費者金融部門の不確実さをカバーできないことにある」と言う。

新生銀行の株式部門のヘッドや不動産融資のヘッドの外人達は新生銀行を辞めてドイチェ証券に行ったとFTは書いている。鶏口となるも牛後となるなかれという諺は英語ではIt's better to be a big fish in a little pond than a little fish in a bing pondと言うそうだ。しかし小さな池でも水がある内は良いが、将来の水の量に不安を感じると魚は大きな池を求めるのかもしれない。はしっこい外国人の動きは要注意なのだ。

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庄内の風を活かす日は来るか?

2007年08月08日 | 社会・経済

この前月山と鳥海山を登りに行ったが、台風5号と低気圧の影響で激しい風や霧に会い途中で登頂をあきらめた。下山した後時間があるので、庄内平野をドライブしていると時々巨大な風力発電の風車を目にすることがあった。風力発電が行われているということは強い風が吹くということだ。

旅から帰って調べてみると、何と日本三大悪風と言われる強い風がありその一つが庄内町の清川あたりに吹く「清川だし」ということが分かった。(後の二つは岡山県那岐山麓で吹く「広戸風」、四国山地を吹きおろす愛媛県伊予三島 付近の「やまじ風」)

庄内町ではこの強い風を利用して風力発電を行っている。風力発電は北日本の日本海側で多く行われている。山形県の風力発電量を調べてみると、発電設備容量は2万キロワット強で、青森県の18万キロワットや秋田県の12万キロワットに比べるとかなり少ない。地方別の発電容量を見ると東北地方が日本全体の31%を占め、北海道の16%がこれに次いでいる。(NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構のHPによる)

ところで日本の風力発電だが、世界のトップを行くドイツの1/20程度、第2位の米国の1/10程度だ。太平洋側の大都市圏を中心に風力発電の可能性を調査して、日本には風力発電に適した風が少ないという結論を出していたことによるらしい。ところが東北地方の日本海沿岸では風力発電に適した風が沢山吹いている。これは風の強い日に鳥海山や月山などの独立峰に登ると直ぐ分かることだ。

といっても鳥海山や月山の上に風力発電の巨大が風車が回るのも景観上甚だ問題である・・・などと考えていた時、米国では空中風力発電の研究が盛んになっていることをネットで知った。さらにその元ネタを探るとエコノミスト誌に簡単な記事が出ていた。そこをちょっと紹介しよう。

  • 最も大胆な試みはシェパード社長が率いるスカイ ウインドパワー社が研究開発している空中発電機で凧とヘリコプターの中間の様な形をしている。それは4つの回転翼を持ち、浮遊するとともに回転翼が回ることで発電し、発電した電力を地上に繋いだ電線で送電するというものだ。

ご参考までにスカイ ウインドパワー社のURLを紹介しよう。http://www.skywindpower.com/ww/index.htm

どれ位の高度に空中発電機を上げるかということだが、同社のHPで見ると1万5千フィート約4,500mだ。富士山よりかなり高いが、この位の高さになると風の方向が安定し強力な風力が得られるということだ。また同社のHPによると発電コストの面で他の発電方法に比べて最も安いということだ。

気になる点はそんな高いところにある発電機と地上を結ぶケーブルが飛行障害にならないのか?ということだが、これも同社のHPによると既に米国では数千メートル上空に監視用のケーブル付気球が打ち上げられているということだ。

以上のように見てくると空中発電というのは荒唐無稽な話ではなく、現実性の高い話かもしれない。折を見てもう少し勉強したいものだ。鳥海山の上で巨大な風車が回るよりは、鳥海山の上2千メートル位のところに「発電凧」が上がっている方が目立たなくて良いような気がする。

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