金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

嘆かわしい防衛省人事

2007年08月15日 | 政治

「この瞬間にミサイルが日本の領域に飛んできたら防衛省は、どんな対応ができるのだろう」と今日(8月15日)の日経新聞の社説は書き出している。そう、在任4年を越えた守屋次官に退任を迫る小池防衛相と守屋次官の対立に関する社説である。

思い出すのは孫子の謀攻編にある「君(きみ)の軍に患(わざわい)となる所以(ゆえん)のもの三つあり」の中の「三軍の事を知らずして三軍の政を同じくする」というくだりだ。多少解釈を加えると「君主が関与が軍隊にとって災いとなることが3つある。その一つが軍隊全部の事情を知らないで軍政に口出しすることである」ということになる。

現在三軍というと陸海空軍のことだが、孫子の時代の三軍は「左翼・中央・右翼」等を意味し「軍隊全体」程度の意味だ。

さて君主が事情も知らないで関与するとどういうことが起きるか?ということについて孫子は「三軍既に惑(まよ)い且つ疑えば・・・軍を乱して勝を引くと謂う」と述べる。つまり軍隊全体が疑心暗鬼になり統率が乱れ、相手に勝利を与えてしまうということだ。

小池大臣に理があるか守屋次官に理があるか単純には決められないが、問題の一つは閣僚を上回る政治力を発揮してきた守屋次官を4年以上も同じポストに据えてきたところにある。軍政の乱れはまことに嘆かわしいことである。

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闇より吠える金融市場

2007年08月15日 | 金融

闇より吠える・・・とタイトルを付けたがこれは「ヤミ金融」の話ではない。昨今の欧米の金融市場で起きている金融市場の疑心暗鬼ぶりを見ていると蕪村の句を思い出したからだ。

おのが身の 闇より吠えて 夜半の秋  黒犬が自分の影におびえて秋の夜半吠えているという句で前にもブログに引用したことがある。

今欧米の中央銀行~そして日銀も少し参加したが~は、短期金融市場に巨額の資金を供給しているが、その理由は銀行間の資金取引が円滑に進まない懸念が出てきているからだ。エコノミスト誌からの引用だがリーマンブラザースによると銀行間の取引金利であるLIBORと連銀が資金を融資するFed Fund Rateの差が25bpに拡大している。2000年から現在までの二つの金利のギャップは8bpだったから、17bpがいわゆるプレミアムになっている訳だ。何のプレミアムかというと銀行に対するプレミアム。昔邦銀が外銀から外貨を借りる時ジャパンプレミアムを取られたことがあったがあの様なものだ。

今回の問題を1998年のLTCMの危機と比べると際立った違いがある。LTCMの問題は米国の30年国債取引に関わる問題だったが、今中央銀行が頭を悩ませている問題は極短期の金融機関同士の取引の問題である。

金融機関が相手を信用できなくなって高いプレミアムを取る様になっている。ところで相手を信用できないということは「相手が投資している金融商品のリスクが把握できない」「相手の金融商品のリスク測定方法の懸念を持っている」ということではないだろうか?

うがった見方をするとそれは自分も同じ様なリスク商品を抱えそのリスク測定に苦慮しているということなのかもしれない。そこで冒頭の「おのが身の 闇より吠えて 夜半の秋」の句を思い出した次第である。

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