第12弾「バカだかクビにできないサルエ」
「おじゃまするだすよ」
「失礼します」
椅子クソ兄弟は午後3時になると、
マツメの屋敷を訪問し、さっさとあがりこみ、
どうぞと言われる前にソファーに腰掛ける。
「事件は解決しただすよ」
「も、もうですか」
「兄の言葉に間違いはありません。
その前にワインでも一杯」
かおむは驚いているマツメに向かってずうずうしく言う。
「サルエ、
先生方にうちにある最高級のワインをお出しして」
「あのー」
「兄はチーズが好物で」
「サルエ、チーズもよ。
もちろん、最高級の」
「あのー、最高級と言われましても、
奥様、チーズは」
「全部、見せてくれだす」
「兄が選びたいみたいです」
「サルエ、そうしなさい」
「かしこまりました」
「ウメナさんはどうしただすか」
マツメはあほむにそう言われたので、
キッチンへ行こうとするサルエを呼び止め
「サルエ、ウメナを呼んで来なさい」
「どちらを先に」と
サルエが動揺する。
「早い方でいいだすよ」
「早い方ですか」
サルエは首を傾げる。
「サルエ、ウメナを呼ぶ方が
早いに決まってるでしょう」と
マツメはいらいらして怒る。
「僕の言い方が悪かっただすな」
「サルエ、何をぼーっとしているの!
ウメナを呼んできなさい」
「はい、かしこまりました」
「すいません、本当にサルエは頭が悪くて、
本当は首にしたいんですが」と言いかけて、
マツメは黙り込む。
「何かクビできない事情があるんだすな」と
あほむは笑った。
(続く)
「おじゃまするだすよ」
「失礼します」
椅子クソ兄弟は午後3時になると、
マツメの屋敷を訪問し、さっさとあがりこみ、
どうぞと言われる前にソファーに腰掛ける。
「事件は解決しただすよ」
「も、もうですか」
「兄の言葉に間違いはありません。
その前にワインでも一杯」
かおむは驚いているマツメに向かってずうずうしく言う。
「サルエ、
先生方にうちにある最高級のワインをお出しして」
「あのー」
「兄はチーズが好物で」
「サルエ、チーズもよ。
もちろん、最高級の」
「あのー、最高級と言われましても、
奥様、チーズは」
「全部、見せてくれだす」
「兄が選びたいみたいです」
「サルエ、そうしなさい」
「かしこまりました」
「ウメナさんはどうしただすか」
マツメはあほむにそう言われたので、
キッチンへ行こうとするサルエを呼び止め
「サルエ、ウメナを呼んで来なさい」
「どちらを先に」と
サルエが動揺する。
「早い方でいいだすよ」
「早い方ですか」
サルエは首を傾げる。
「サルエ、ウメナを呼ぶ方が
早いに決まってるでしょう」と
マツメはいらいらして怒る。
「僕の言い方が悪かっただすな」
「サルエ、何をぼーっとしているの!
ウメナを呼んできなさい」
「はい、かしこまりました」
「すいません、本当にサルエは頭が悪くて、
本当は首にしたいんですが」と言いかけて、
マツメは黙り込む。
「何かクビできない事情があるんだすな」と
あほむは笑った。
(続く)