佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの暗示学212――チャートを読んで推理力をつける

2005-07-09 06:28:00 | ビジネスマンの勉強法

今日は6月29日「リーダーの暗示学202――分析から統合へ」のなかで出題した問題の解説編です。まだ、そちらを読んでいない方は、まず29日分を読んでからの方がいいと思います。Coモン図職人さんに、どうなったのと催促されてしまいました。いつかやらなきゃと思っていたのですが、すみません。今日は決心して解答例を示します。といっても、正解があるわけではないのです。要はチャートを見ながら、その背景には何があるかを考える、推理する、空想するということですね。それによって、推理力をつけようという訓練法なのですから。ブレーンストーミングと同じ感じで、肩肘張らずに、気楽にやるといいでしょう。


問題 
「20世紀におけるユーラシア大陸の大震災」のチャートを見ながら、その背景に何があるかを推理してください。

私の解説

 


 では、このチャートを見ながら以下の文をお読みください。地震の発生を年代別に色分けしてみました。空想ですから、あまりまじめに受け止めちゃダメよ。

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 ヒマラヤこそ世界の王者だ
 ユーラシア大陸の中心はヒマラヤ山脈だ。ヒマラヤはかつてアフリカ・南極から切り離されて、流れてきたインド大陸が、ユーラシア大陸と衝突して、その反動でできた山脈だ。ヒマラヤは今も年間数ミリの勢いで成長している。

 世界で最も高い山ということは、世界のどこよりも、ヒマラヤに地殻エネルギーが集まっていると考えるべきである。ヒマラヤこそ、世界のへそなのである。

 この地殻エネルギーが解放されることによって生じるのが、ユーラシア大陸の大地震であると、私は考えている。

 1900年代の初頭には、ユーラシア大陸の中央部――インドの北部と中央アジア(ソ連・アフガニスタン国境)で大きな地震が発生した。

 20年代に入ると、地震は東に進んで、中国西部で地震が発生した。23年にはユーラシアの東の端、東京まで達した。関東大震災である。

 30年代に入ると、地震は西の方に戻っている。インドとパキスタンがやられた。

 その後、しばらく小休止のあと、60年代には地震はイランまで進んでいる。

 70年代になると、地震はいったん東に戻り、中国西部がやられた。

 70年代後半から、再び西に進行し始め、イランやトルコが襲われた。80年代以降も、地震は西に進み、99年にはトルコ西部で大きな地震が起きている。


 巨竜のきしみ
 ユーラシア大陸は巨大な竜である。私にはヒマラヤ山脈が竜の背骨に見える。

 インドは竜の腹、中国は肩、日本は頭だ。中近東は腰であり、ヨーロッパは足だ。

 巨竜の振動が背骨を通して肩や頭に伝わり、その波が今度は足の方に向かって戻っていく。

 ユーラシアという巨竜がのたうつたびに、竜骨が軋み、そこから音が聞こえてきそうな気がする。乱気流に巻き込まれたジェット機が、みしみし音をたてるようなものだろうか。

 興味深いのは、地震と地域紛争との関係である。特にはっきりしているのが、中東紛争が激しかった、60年代から80年頃までの時期と、イランが地震に襲われたときとが、ぴったり重なっていることだ。90年の湾岸戦争の直前にも、イランで大地震があった。

 中国では20年代に大地震が頻発しているが、これは共産党成立意向の動乱と関係するかもしれない。

 中国では70年代にも2回、大きな地震があったが、この時代は、中ソ国境紛争や文化大革命、さらには「四人組」の失脚などの動乱の時代であった。

引用:佐藤直曉『先見力訓練法』(文芸社、59-62頁)

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 というわけで、たいへんなこじつけでございました。要はチャートを見ながら楽しむことですね。こういう馬鹿馬鹿しい積み重ねが、あとで役に立つと思いますよ。(ホンマかいな)。

 今、韓国や中国で反日運動が騒がしいですが、東アジアに大地震が起きるのではないかと、少し心配しています。

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 これを書いてから少し時間がたった今、補足をしておいた方がいいと思いました。

 私の空想には、私なりのパターンがあります。別に、これでないといけないというのではなく、私の個性ということです。

 1 時間的な推移、傾向を理解したいと思っている
 2 事態のプロセスを検証し、そこからそれが生じる原因を探ろうとする(因果関係の理解)
 3 別の現象との関連付けを考える(地震と紛争の関係)

 まあ、こんなところでしょうか。これはふだんから私は割とよくやってますね。自分の癖のようなものでしょう。

 分析のフレームワークは個性ですから、どんなものでもいいと思いますよ。ただ、教科書で学んだ理論だけではダメです。現場で使い物になりません。

 いざというとき使えるのは、自分で頭を絞って蓄積したものから醸成されて出てきたものだけです。そういうものは、たとえアカデミックな理論とはかけ離れたものでも、いざ実践では使える武器になります。 

 それから余談ですが、地震と人間行動の関係については、カテゴリ「心と体と人間行動」のなかの「リーダーの暗示学87――猫招きの真実?」(3月6日)をご覧下さい。以下からアクセスできます。
 http://blog.goo.ne.jp/satonaoaki/e/df21f68f7428c5337ec04c1b77d940de

 

 

 



 

 



 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
詳しい解説ありがとうございます。 (Coモン図職人)
2005-07-11 16:30:39
督促してしまったようで、かえって恐縮しています。

ヒマラヤをユーラシアのヘソと見立てて、地殻エネルギー

の放出によって起こる大地震や地域紛争や動乱は、まさに巨竜のうねりの結果だなあと感じました。別々の現象の間に何か関係線を見つけて、そこから発想を広げていくという方法にも大変共感しました。

こうして情報を繋げていくと、新しい物語がどんどん生れていきますね。



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Coモン図職人様 (佐藤直曉)
2005-07-11 20:12:28
督促したなんてとんでもありません。私がいつ着手しようか、ぐずぐずしていただけですから。

たまには浮世離れした話題もいいかなと思いました。思考の枠を少し緩めるのも必要かと。

 もっとも私のように、いつも枠が歪んでいると、物事を正視できなくなる嫌いがあります。
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