これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

高貴な白菜~台北 国立故宮博物院展

2014年06月29日 19時51分58秒 | エッセイ
 6月24日から「台北 國立故宮博物院」展が上野で開催されている。
 東京会場の一番人気は「翠玉白菜」(写真左)。これだけは7月7日が見納めなので、絶対に見たいと思った。ちなみに、九州会場の目玉は「肉形石」(写真右)だが、遠いのであきらめた。


  (ポストカードより)
「お母さん、白菜はいつ見に行くの?」
「うーん、28日かな」
「28日だったら大丈夫。ミキも行きたい!」
 世界史を選択している娘も、雑誌からこの展示を知り、相当気にしていたらしい。ちょうど、都合が一致してよかった。
「何時にしよう」
 翠玉白菜展示中は、夜8時まで開館している。待ち時間を検索してみると、27日の金曜日は、午前中からすでに「180分」などという、とんでもない数字が表示されている。
「うっそ、平日でしょ……」
 180分といったら3時間ではないか。しかし、昼には「190分」とさらに増え、「200分」をピークにして、「190分」「180分」と減っていく。夕方から夜にかけては、「80分」「70分」「60分」という短さなので、夕食つきイブニングコースに決定した。
 6月28日土曜日。ときおり雨が降り、傘の手放せない一日となったが、私たちはこの日しかなかった。17時に会場に着き、早速待ち時間をチェックする。



「よかった! 80分って書いてあるよ」
「楽勝じゃん」
 気をよくして、隣のブースへチケット購入に走る。



 荷物をコインロッカーに預け、いざ本館へ。翠玉白菜だけが本館にあり、その他の展示は平成館で行っている。
「あれじゃね?」
 娘が指さす方向を見ると、すでにたくさんの人がロープの内側に並んでいた。「最後尾」の看板を持つ男性を目指して歩く。
 会場までは4列に並んで待つ。娘がLINEで友達に「上野まで白菜を見に来ている」と送ったら、「スーパー行けよ」と返ってきたという。おしゃべりをしているうちに、列がどんどん進んでいく。展示室隣の部屋に到着すると、1分程度の動画があり、翠玉白菜の予習ができるようになっている。
 ポールとロープで、迷路のように区切られた通路をノロノロ進み、ようやく展示室に入る。入口には、「待ち時間60分」の札がかかっていた。
「あと60分だって」
「もうすぐだね」
 こちらも迷路状に人で埋め尽くされているが、同じ部屋にお目当てのものがあると思うと、待つのは苦でない。今度は3分の動画が流れている。白菜は「純潔」、キリギリスとイナゴは「多産」の象徴であり、清の光緒帝に嫁いだ瑾妃(きんぴ)の嫁入り道具であったという。早く子宝に恵まれるようにとの願いがこめられているのだ。
「次にご案内できますので、よくお聞きください。1列目で見る場合は、ゆっくりで構いませんから立ち止まらず進んでください。立ち止まってじっくりご覧になりたい場合は、2列目にお進みください」
 係員の男性が声を張り上げる。いよいよだ。
「どっちで見る?」
「やっぱり1列目でしょう」
 白菜は、わずか19センチメートル程度である。ここでは、1列目の至近距離から見ることをお勧めする。
「お待たせしました、ではどうぞ」
 男性にうながされ、1列目に進む。横から見ると、白菜は厚みがなくて薄い。主役に相応しく、スポットライトを浴びて、キラキラと輝いていた。写真には写らない、スターの風格が感じられた。
「きれい……」
 ガラスケースごしとはいえ、白も縁も、くっきりと見える。イナゴ、キリギリス、葉脈、葉、一つひとつの細工が精巧で、まばゆいばかりである。
 何と高貴な白菜!
 感動を目に焼き付けて、ケースの周りをグルッと回った。
「ああ、もう終わりだね……」
「終わりだね」
 通路の端まで来ると、白菜の見納めだ。名残惜しそうな顔をしたら、係員の女性が左手を上げた。
「2列目だったら、まだご覧になれますよ」
「えっ、いいんですか?」
 空いていたせいかもしれないが、1列目で見たあと、逆行して2列目に戻り、離れたところから白菜を眺めることができ、とてもありがたかった。オペラグラスがあればよかったのだけれど、1分ほど見て満足したら出口へと向かった。
「素敵だったね」
「うん」
 時計を見ると、列の最後尾についてから70分しか経っていない。待ち時間は多めに設定されているのだろう。本館出口におみやげが売られているが、平成館のほうが品数も多く充実しているので、あわてないほうが賢明だ。
「じゃあ、次は平成館だね」
「よーし」

 翠玉白菜以外の展示物はこちらからどうぞ!


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おめでとうございます! (Hikari)
2014-06-29 20:32:04
降り続く雨が幸いしたようでしたね。
我が家は明後日の夕方にしましたが、気になって、土曜日はツイッターの混雑状況を何度も見ました。
朝が一番すごかったみたいで、240分とかいう数字が!

砂希さんの白菜便りのおかげで、ますます気分が高まりました。
かばんに何か本でも入れて、並ぶことにしましょう。
白菜ストラップも是非、熊石ストラップは夫に買わせよう!
晩ご飯は中華ですね。
あー、楽しみ楽しみ。
返信する
240分! (砂希)
2014-06-29 20:44:57
>Hikariさん

何ですか、その数字は~!
4時間ってことですよね、ひええ。
白菜は、ストラップ以外にも一筆箋、ボールペン、マグネット、クリップと、何種類もありました。
目移りしちゃうかも(笑)
こちらは食べもの系にハマりました。
角煮が美味しかったのですが、脂ギトギトなのがちょっと…。
待っている間、読書がはかどることでしょう。
今日の夕方、行かれた方は気の毒でした。
雨の間、どうしていたのかな…。
楽しんできてください。
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Unknown (YUMI)
2014-06-29 21:19:42
80分でも無理〜。
白菜はホント綺麗だと思うけどね。
うちはどんなに美味しいお店でも並ばないから。
並ぶの待つの大嫌いで、美味しいお店とか行こうとしたら
予約できるところでないとダメ。
年寄りは並ぶ体力ありませんーん。
返信する
【教育】 (心機朗)
2014-06-30 08:02:46
う~ん…と唸るしがない
やはり日頃の、幼少期からの教育なのか?
高校時代に僕が親にココ連れて行かれても何も興味示さないんじゃないかなぁ。
見て来たものが違うんだなぁ~。
母娘で同じように楽しめるっていうのはいいですね。ミキちゃんもいい息抜き出来たのかな…。
返信する
國立!!! (片割れ月)
2014-06-30 17:26:27
東京ははあれやこれやの展覧会が目白押しで楽しめて羨ましい限りです。
やはり3時間並んでも価値のあるものなんでしょうね。
お盆過ぎに東京見物する予定ですが、何処で何をどう見たらいいのやら…
白菜は色がついているものを削ったのでしょうか?
人工着色料ではないですよねヾ( ̄o ̄;)オイオイ
返信する
行列 (砂希)
2014-06-30 19:55:54
>YUMIさん

80分に我慢できるのは、テーマパークで鍛えられたせいかもしれません。
どこもかしこも、60分以上の行列ですもの。
食事のときに待つのは、私もイヤです。
予約がスマート。
行列の中には、年配の方もたくさんいました。
ファストパスがあれば親切かも…。
返信する
趣味 (砂希)
2014-06-30 19:58:31
>心機朗さん

たとえば、私がいくら美術館に誘っても、ミキは印象派以外に夢中になりません。
今回の白菜はツボだったみたい。
世界史選択だからかも。
エジプト関連の展示にも突進しますよ。
受験生とはいえ、今じゃないと見られないから、勉強そっちのけで行きました。
さて、金曜からの試験はいかに?
返信する
天然 (砂希)
2014-06-30 20:06:04
>片割れ月さん

緑と白は天然色みたいですよ。
人と熊という展示もあったのですが、そちらも黒と白のツートンの石でした。
石を見て、作るものを決めるのでしょうね。
お盆過ぎの東京ですか?
やはり、皇居東御苑には行かないと!
お台場の日本科学未来館も楽しいですよ。
ガンダムも見てきてください(笑)
スカイツリーと浅草見物もいいですね。
上野ではパンダと美術館めぐりかな~♪
返信する
最初、この日記を何気なく見て (鹿島田の純)
2014-07-02 11:44:10
生の白菜だから腐るから7日までの展示?
なんで生の白菜がメイン?って思いましたよ!(笑)
ネットで調べて納得しました。天然の翡翠の白と緑の部分をうまく利用した彫刻で高さがやく20センチ弱
見事ですよね~!私は高校時代だとおそらく興味を示さなかっただと思います、それも3時間待ちなら尚更!
でも大阪万博や筑波万博の時は普通に3時間~4時間待ってましたね!やはり興味があるものには並ぶのにそんなに苦痛じゃなく楽しみの方が大きいからなんでしょうね!お疲れさまでした!
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道理 (砂希)
2014-07-02 19:41:13
>鹿島田の純さん

生の白菜(笑)
いやあ、たしかに筋は通っていますよ。
でも、3時間待ちの野菜はないかも。
かなりの人気ですよね。
ブロ友さんも、昨日あたり見に行っているはず。
筑波万博、私も行きました。
TDKの展示を2時間ほど待ち、中に入ったら映像に酔い気持ち悪くなりました。
他の展示にすればよかった~(笑)
懐かしいです。
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