これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

お雛様がいっぱい

2018年02月18日 21時44分48秒 | エッセイ
 目黒雅叙園のイベント「百段雛祭り」のチケットをいただいた。
 大学3年の娘を連れて行ってきたが、ここには独特のタイムスリップ感が漂っている。



 今年は「近江・美濃・飛騨」がテーマとなっていた。





 エレベーターを下りたところから、お雛様がお待ちかねだ。





 真打はこの先の展示室である。出入口でブーツを脱ぎ、スリッパに履き替えた。
 穴の開いた靴下は、履いてこないようにしましょう。
 いくつか撮影可能スポットもあるので、カメラも用意しましょう。
 さあ、お雛さまツアーの始まり、始まりぃ~!
 百段階段をちょっと上ったところに最初の展示室があった。中に入ると、かなり年季の入ったお雛様が鎮座していたが、どの人形も重々しいオーラを背負っている。
「やだ、このお雛様。怖い」
 娘が拒否反応を起こした。
「だって、お雛様は持ち主の身代わりとなって、災いを受け止めてくれるものなんだよ。厄災を背負ってきたから怖いのかもね」
「ふーん……」
 雛人形のいわれを説明しても、娘は展示室から出てしまった。
「ミキのお雛様の方がずっとキレイじゃん。もう来年は来なくていい」
 あらあら。
 冒頭からこれでは先が思いやられる。
 私は次女ということもあり、雛人形を持っていない。妹も同じだ。わが家にあった雛人形は長女である姉のもの。身代わりはなかったけれど、きっとご先祖様が守ってくれたのだろう。無事に大人になれてよかった。
 二つ目の部屋。人形の衣装も、顔つきも、今風ではないところが新鮮だ。
「ねえ見て。どの人形も首が前に伸びてるよ」
 怖いと言いつつ、娘が新たな発見をして喜んでいる。これが当時の流行だったのか、人形の姿勢が全部前のめりになっていた。すごく貴重なお雛様を見たようで、得した気分である。
 人形たちが身代わりとなって守り抜いたのは、由緒正しい生まれのお姫様に違いない。姫は妻や母となり、やがて寿命を迎えて鬼籍に入る。でも、残された人形たちが、現代まで大事に保存されているのは、役目を果たしたご褒美なのかもしれない。
 人形たちは、相変わらず妖しげな気を発していたが、娘も慣れてきたようだ。撮影可の部屋では、スマホを出してシャッターを切っていた。







 年配の来客もたくさんいた。百段階段は厳しいだろうが、楽しんでいたようだ。
 最上階の展示室が最後だった。下りの展示室はない。スリッパからブーツに戻り、ホテルをあとにした。
 帰りに気づいたのが、「お七の井戸」である。



 お七とは、江戸時代の八百屋お七。
「ああ、火事で避難したとき知り合った男を好きになって、また火事になれば会えると思って放火した人でしょ」
 意外なことに、娘もお七を知っていた。
 ここにも妖気が立ち込めているような……。
 本当は怖い目黒雅叙園?


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6 コメント

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立ち雛 (砂希)
2018-02-23 20:06:51
>ヤッギーさん

そういうお雛さまもあるんですね。
珍しい雛人形には惹かれます。
吊るし雛も可愛いし。
百段は階段の数でした。
ちゃんと番号がふってあって、20段くらいにひと部屋の割合で展示室がありました。
高齢者の方には厳しいと思います。
返信する
勝浦 (砂希)
2018-02-23 20:03:58
>ZUYAさん

勝浦……海水浴で行く場所でしょうか?
シーズンオフは別のイベントで集客を図るようですね。
鴻巣でも雛人形タワーを作って客寄せをしています。
こっちのほうが近い(笑)
しかも駅ビル。
調べてみると、各地でイベントをしているんですね。
いいことだと思います。
返信する
お雛様 (ヤッギー)
2018-02-23 08:57:56
もうありませんが子供の頃のお雛様は立ち雛でした。

雛段のあるお雛様があるのは嬉しいですね。

そうそう百段であって百体ではないのですね。
返信する
そうそう... (ZUYA)
2018-02-23 08:29:02
タイトルを見た時、“あっ!見たかったヤツだ!”と思いましたが別物でした~

砂希先生は勝浦の雛人形のイベントに行ったことがありますか?一度行ってみたいのですが、遠いんですよね~
返信する
ホラー (砂希)
2018-02-19 21:33:08
>片割れ月さん

2年前に雛人形の修理を依頼しに、岩槻に行ったことがあります。
暇つぶしに人形の博物館なる会場に入りました。
客は私だけ。
古いお雛様は周りにぞろぞろ並んでいます。
見られてる感が強くて、背筋がゾゾゾとしましたよ。
それに比べたら、客が多くて騒がしいこの展示はどうってこたあない。
八橋人形は怖い雰囲気がありません。
柔らかい印象を与えますね。
ところで、八百屋お七は実在したのかしら。
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怖がり (片割れ月)
2018-02-19 18:22:12
我が家の二女も雛人形に限らず自分のものがほとんど無いので恨み言を言いますよ(笑)
古い人形はやっぱり怖い気がします、持っていた人の魂が宿っているのかも…
画像からもひしひしと伝わって来ます。つい後ろを振り帰ったりして(笑)
陶器の人形は秋田の八橋人形に似てますね
http://yabase.wixsite.com/yabaseningyou/yabaseningyou
お七の井戸、防火水槽になっていたら可笑しいですね…
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