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これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

困った新入社員

2012年05月10日 19時40分40秒 | エッセイ
 とんでもない新入社員の話を聞いた。
「指示を出してもメモを取らないから、メモに書くよう言っても『おぼえているから大丈夫です』と言い返す。でもやっぱり、間違えるんだよ」
 知り合いの社長がうんざり顔で、4月に入社したばかりの男子社員の愚痴をこぼす。
「しかも、同じ間違いを繰り返す。だから、社長室に呼んで、学生気分でいたらダメだと説教したら……」
 新入社員の小僧は話の途中で足を組み、靴ひもを直し始めたという。
「全然聞いていないんだから、イヤになっちゃう。今までそんな社員はいなかったんだけどな」
 仕事が途切れるとゲームを取り出し、注意するまで続けている。あるいは、職場からいなくなり、近くの公園で30分も1時間もボンヤリしている。そんなこんなで、ろくに働いてもいないのに、退勤時間が近づくとタイムカードの前に立ち、定時ジャストで打刻するのだという。あとは、挨拶もそこそこに、逃げるように家に帰る。
「馴染めないのかと気にして、先輩社員がランチに誘ったときもあるんだけど、まったく話が弾まなくてね」
 叱ったら、会社を辞めてしまうのではと心配になり、社長は厳しく注意しない。毎日、小僧が処理した伝票を見直し、やんわりと指導するだけだ。
 まったく、聞いているだけでも腹が立つ。逆に、優しくするから、つけ上がるのではないかと感じた。きつく言われないのをいいことに、小僧は「まだ大丈夫」と高を括っている気がする。ミスが重なり取引先を失うと、会社が傾き、減給や解雇につながることを理解していない。もっと厳しくすべきだと思う。
 そういえば、3年前の教え子にもそんな小僧がいた。
 見た目は地味で、教員の言うこともよく聞く。だが、入社早々に会社からクレームの電話が来た。
「残業で6時になったことがあるんですよ。そうしたら、お母さんが心配して電話を掛けてきましてね……」
「ええっ、6時でですか?」
「はい、そうなんです。そして、嘘をつくこともあります。『あの仕事はどうなってる?』と聞くと、『終わりました』と答えます。でも、確認すると、いつも終わっていないんです」
「……いやあ、まったく申し訳ありません」
「大声で叱ると、体を小さくして従います。でも、女性の言うことは聞きません。困ったものですよ」
 私のほうこそ、身を縮めてしまった……。いや、寿命も縮まったかもしれない。
 選考の段階で見抜けなかったとはいえ、企業にしてみればひどい「ババ」を引いてしまったわけだ。とんだジャイアント・ババである。新入社員というより、侵入社員で給料泥棒だが、簡単に解雇するわけにもいかず、今でも苦労して育てているらしい。
 いっそのこと、猪木の張り手で、小僧たちに気合いを入れてもらいたい。



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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (16)
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